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June 02, 2007

日本代表サッカー2題

Number_679_osim

 モンテネグロ戦は、なんていうか、ドイツワールドカップのブラジル戦以来、初めてマジメに見ました。録画でしたけど。

 ぼくにとっての日本代表は、ベストファーレン・スタジアムで中田英が寝ころんで空を見上げていた瞬間から、記憶が止まってしまったようで、その後のオシム監督の就任、何試合かの親善試合、テストマッチはあったけれども、どれもちゃんと見ていませんでした。何を語っても虚しいという感じがして。もっと言えば、ドルトムントのWestfalen stadionで行われた試合の後半8分、ジュニーニョが放った無回転のシュートが川口をかすめてゴールに吸い込まれた瞬間から「夢にまで見た黄金世代がワールドカップ本番で世界を相手に互角に渡り合う」というヴィジョンが壊れ、何も日本代表には仮託できなくなっていたように思います。ある人が「ヴィジョンという言葉は日本語に置き換えにくい」と言っていたんですが、確かに「幻想」と一言でいってしまうと違うような気がしますし「理想や志を夢のように思い浮かべる事」なんていうのもまどろっこしい。まあ、そんなことは置いておいて。

 いまの日本代表に少しでも関心を持とうと思い直したのは、逆説的にいえば『Number 679』の特集「日本代表の論点 オシムに問う。」でした。この号はハッキリいってサギです。表紙にオシム監督のクローズアップ写真を持ってきて「オシムに問う」と朱く大書し「日本サッカーを再生できるか」「巻誠一郎はなぜ必要とされるのか」「小野伸二はこのまま招集されないのか」「松井大輔は試練を生かせるか」「アジアカップで優勝できるのか」と問いを並べていたら、誰でもオシム監督へのロングインタビューを期待しちゃうじゃないですか。

 吊り広告を見た瞬間、本当にオシムはこんな質問要旨を事前にもらったインタビューを受けたんだろうか、という冷静な疑問も沸いてきたんですが、とりあえずKIOSKで買ってみると、オシム監督には何も聞いてない。それぞれの問いに対して、当事者である巻、小野、松井が答えるというサギみたいな内容でした。文春もこんなことやっていたんじゃ信用なくしますよ…。まあ、『Number』はサッカー特集が売れなくなっているとは聞いてましたが…。もう、よっぽどじゃないと『Number』のサッカー特集は買いません。

Osim_japan_by_asci

 そんなことがあった後、本屋さんでアスキーが出している新書シリーズに『オシムジャパンよ! 日本サッカーへの提言』フィリップ・トルシエが平積みされているのを見たんですが、凝りもせず反射的に買ってしまいました。まあ、どうせ田村修一さんあたりの、本来は雑誌マターぐらいの企画本かな、とは思うのですが、結局は釣られてしまったのですから、トルシエという名前はまだ個人的には大きいんですな。

 本人自らオシム・ジャパンの試合は生で観戦しておらず4試合だけをDVDで観ただけだ、と正直すぎるほどに書いているのには笑っちゃいましたけどね(p.84)。

 ただ、一点、マンツーマンディフェンスを敷いていることに疑問を呈したところは、これだけでも740円の価値はあるな、と思いました。あと、中村憲剛選手に関して《彼が俊輔と血の繋がりがないと聞いてちっょと驚いている。顔付きから何から、他人にしてはよく似ている。右利きと左利きの違いはあるが、プレーの感じもちょっと似ている》(p.105)というのも笑いました(もっとも、俊輔や松井、いい時の小野には及ばないとも書いているのですが)。

 あとセレクションに関しては《オシムはジーコが断ち切ったA代表とその下のカテゴリーの繋がりを再び統合し》《ユース代表にも五輪代表にも入らない世代の人材の発掘ーこれまでの国際舞台で脚光を浴びることのなかった国内の選手達のテストを彼はおこなったのだろう》(p.81)《2006年彼が試したのは24~25歳の選手たちー4年後のワールドカップで20歳代後半の最盛期を迎える選手たちだ》(p.83)というのは、当たり前すぎるけど良いまとめだと思います。

ということで、昨日の試合ですが、前半は坪井が相手の1トップにマンマークで張り付き、事実上の2トップを構成する中澤は時々、狂ったようにオーバーラップをかける、といった印象。遠藤、中村、鈴木の中盤でのブロックが効いていてほとんどモンテネグロは何もできなかったですね。ボール支配率も2/3は日本だったんじゃないでしょうか。

 ただ、後半、モンテネグロが3トップ気味に仕掛けてくると、中盤の3人も疲れてきたせいか、あるいはモンテネグロの3人のFWにDFがマンマークでくっついているせいか、中盤がガラ開きになって押し込まれていましたね。そうした時間帯の中でセットプレーからのPKもありましたし、いいミドルも何発か打たれました。それにしても、あれだけどフリーな選手をCKでつくっちゃマズイでしょ。

 その後、水野を入れてサイド攻撃が復活したけど、一番、状態のいい水野が張っているのに、可能性の少ないロングシュートを中村憲剛が放って、しかもふかした場面はトルシエじゃありませんが「俊輔や松井、いい時の小野には及ばない」という感じでした。

 それにしても、これは『悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記』木村元彦、集英社、2000の感想でも書いたことですが、旧ユーゴに対する国連など国際社会による制裁が続いていた時期からずっと、日本は旧ユーゴスラヴィアのサッカーにとって、飛び地になっていたというか、遠いサンクチュアリになっていたというか、ヨーロッパで行き場を失った選手や監督たちの生活の場にもなったし、独立したばかりのモンテネグロの2試合目の試合も日本で行われたということは、日本サッカーにとって将来、かけがえのない財産になると思います。もちろん、オシム監督も旧ユーゴからの贈り物ですし。

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Comments

シャルル・デュトワ、フィリップ・トルシエ、カルロス・ゴーンと、三人のフランス人が日本で指導を務めたというのに、いまいちフランスイズムを吸収できなかったというか、まあ、摩擦からか結果的に何かしら生まれたようではありますが。三人お互いに仲悪そうで、一緒にされたくはないでしょうけれど。

オシム本、新潮社から出るみたいです。mixiで関係者らしきコメントをちらっと見かけました。

Posted by: hisa | June 02, 2007 at 06:30 PM

hisaさん、どーも。新潮社っていう版元に、マトモな本を期待しちゃいますねぇ。

Posted by: pata | June 02, 2007 at 09:22 PM

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