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June 26, 2007

『日本神話の考古学』

Shinwa_koukogaku

『日本神話の考古学』森浩一、朝日文庫

 考古学研究の第一人者が記紀に関して、考古学の立場から読み解く、という内容の本。

 どういうことが可能になるかというと、例えばイザナミの死骸に関する身の毛もよだつような描写について、古墳時代の後期を反映しているというんですな。古墳前期は木棺に遺骸を納めたら、粘土などで密閉してしまったのですが、後期になると石舞台のような横穴式石室が出てきて、何人も同じところに埋葬する"家族墓"のような使われ方をしていったというんですわ。しかも、木棺も薄板に変わっていったので《石室内に入ると内部の遺骸の変化の状況がいやおうなく目撃されることになる》(p.42)、と。なるほどなぁ、と。

 また、南越王墓には38枚の銅鏡が副葬されていたというのですが、これは日本における弥生時代と古墳時代の埋葬数にほぼ一致しているんだそうです(p.93)。さらに、ここで発見された金印は、組紐を通す突起が龍蛇の文様であり、それは志賀島で発見された漢委奴国王のものと似ている、と。知らなかったなぁ…。『記』には《ウズ彦は「亀の甲に乗りて、釣りしつつ打ち羽ぶき来」た》という記述があるのですが、ベトナム北部の銅鼓には頭に羽をつけた「羽人」がよく描かれているそうで、しかもその姿は角田遺跡から出土した土器に描かれた「鳥人」にそっくり。弥生には越人文化も反映されているんですかぁ。なるほどなぁ。

 同じように「知らなかったなぁ…」と感激したのが、大国主命を親しみを持って呼ぶと「ダイコクさん」になるというんこと(p.123)。あと、記紀の出雲神話に関するあたりなんですが、高天原勢力が国譲りを要求したことに対して、最後まで反対したタケミナカタは諏訪湖のほとりに追放されたのですが、諏訪神社で7年に1度行われる御柱祭は、灯台のように高くそびえていたオリジナルの出雲大社の巨木の柱と共通性があるのではないか、なんていう話も、論証しようがないことでしょうが、読んでいて興奮してしまいましたね。

 あと、鬼瓦には半円形の3つのウズと宝珠をあらわした文様が使われているものがありますが、これは水を自由に操った海幸彦の神話を反映して、火災予防の願いを込めたものだとのことです(p.154)。

 あと、愛する日本サッカー協会のシンボルマークにもなっているヤタガラスですが、『新撰姓氏録』では、カモ氏の祖がカラスに化けて先導したと書かれてていて《隼人の居住地である宇智郡と境を接している葛城にいたカモ氏ならば、イワレ彦を宇智郡に案内するには最適である》(p.228)とのことです。

Kirishima_jingu

 実は、先日、春先の高千穂に続いて、霧島に行ってきました。半分仕事だったので、時間がなくってオリジナルの霧島神宮があった高千穂河原から高千穂峰を望むことはできなかったのが残念でたまりません。また、今度、機会があれば、ぜひ訪れてみたいと思っていますが、いまの霧島神宮もなかなかたいしたもんでした。

 やや坂道になっている長い参道のアプローチなんか、特に素晴らしかったですね。

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