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June 04, 2007

『哲学の歴史 4 ルネサンス』

Histoire_de_la_philosophie

『哲学の歴史 4 15-16世紀 (4)』伊藤博明(編)、中央公論新社

 創業120周年記念で刊行される全12巻の本格的な「哲学史」だそうです。

 しかし、塩野七生さんが引用するトインビーではありませんが、不完全かもしれないけれど通史は一人で書いた方がいいと思いますし、寄せ集めでは何を言いたいのか…という感じにどうしてもなってしまいます。ただ、学部の学生さんや、あるいはレポートに追われる文系院生にとって講談社の『人類の知的遺産』が永遠の友であるように、サクッと使える本があるというのは悪くはないかもしれません。

 ということで手にとって立ち読みしてみたんですが「なんか『人類の知的遺産』の地味な人も全部入れたかわりにページは相当薄くしましたバージョンかな」と思って一度は置いたんです。でも、ルターが哲学者として入っているのが気にかかり、そこを改めて読んでみたら、尊敬する清水哲郎先生が書いておられるので、まあ、義理かな、と思って購入しました。

 吉本隆明さんではありませんが、哲学が宗教という形をとらなくてはならなかった時代、キリスト教の実践的改革者の思想も、また哲学的でなければならなかった、ということなんでしょうか。人間の意志は自己のものを求める(quaerere quae sua sunt)ために奴隷的であるというあたは読ませてくれます(p.407-)。その意志の奴隷制の主張がドゥンス・スコトゥスやオッカムあたりにからもってきたあたりは(p.417-)『3 中世 神との対話 信仰と知の調和』に期待をもたせてくれます。最後の『ルターの哲学はいわば十字架の神学に隠れた哲学である』(p.428)というまとめも決まっています。

 『第11巻◆20世紀 II 論理・数学・言語 科学の世紀と哲学』も同時配本されています。

【主な収録人名・事項】
●ペトラルカ
●ブルーニ
●アルベルティ
●パルミエーリ
●ニコラウス・クザーヌス
●フィチーノ
●ピーコ・デッラ・ミランドラ
●ポンポナッツィ
●マキアヴェッリ
●エラスムス
●トマス・モア
●ルター
●ジャン・ボダン
●モンテーニュ
●カルダーノ
●テレージオ
●パトリッツィ
●ブルーノ
●スアレス
●カンパネッラ
●ガリレオ
●フランシス・ベイコン
●ヴァッラと反スコラ学
●新しい論理学
●哲学史上のルネサンス
●キリスト教的カバラー
●「賢者の石」の探究
●図書館・書斎、そして印刷術
●写本収集と文献学
●ダンテとルネサンス
●ジョルジョーネ《三人の哲学者》
●ルネサンス思想とデカルト
●「騎士の哲学」
●魔術とオカルト哲学

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