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May 12, 2007

團菊祭五月大歌舞伎もしくは海老蔵はadidas

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今日は歌舞伎座の五月興行の見物に行ってきました。今月は「團菊祭」。

《明治20年春、井上馨外務大臣の麻布・鳥居坂の私邸で、天皇をお迎えして歌舞伎をご覧に入れるという、当時としては破天荒の催しが行われた。かつては"河原もの"とまでさげすまれたこともある歌舞伎役者が社会的地位を向上させはじめた時点のこととはいえ、天皇の午前で歌舞伎を演じて見せるというのは、それこそ、眼の玉がでんぐりかえるほどの出来事だったのである》(『歌右衛門の六十年 ひとつの昭和歌舞伎史』中村歌右衛門、山川静夫、岩波新書、p.13)。

 その天覧歌舞伎から百二十年を記念して、つい先日の4月末、鳥居坂の国際文化会館で再び天覧歌舞伎としても演じられたのが「歌舞伎十八番勧進帳(かんじんちょう)」。百二十年前は弁慶が九世團十郎、富樫は初代左團次、義経が四世中村福助(のちの五世中村歌右衛門)という顔ぶれで、他の演目で出演した菊五郎を含む「團菊左」と後の歌右衛門が近代の歌舞伎をかたちづくっていった記念碑的な出来事らしいのです(なにせ、当時は能の「安宅」に着想を得た芝居なので、能の役者にカタを習おうとしたら、細かいところまでは歌舞伎役者などには教えられぬと云われたらしいんで)。

 で、今日の「團菊祭」。弁慶は十二世團十郎ですが、富樫は七世菊五郎、義経は六世中村歌右衛門の義理の長男・中村梅玉というんですから、配役だけで歴史を感じます。

 細かな所はプロの批評家にまかせて、別なことを書きますが、大衆演劇という側面も併せ持つ歌舞伎は、演目でキチンと現代に通じる「流れ」を分からせてくれるんですな。昼の部の最初は山本周五郎原作の新作歌舞伎『泥棒と若殿』。歌舞伎は常に新作を古典化させようとする試みを続けているんだというマニフェストでしょうか(でも、浄瑠璃が入らないと歌舞伎として定着するのはどうなんでしようかね…)。三津五郎と松緑が主演。

 「勧進帳」の次が「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」。ご存じ切られ与三とお富さんの話です。これを團菊の長男、海老蔵と菊之助が演じるんですからたまりません。木更津で、互いを好きになる「見染め」の場面は、どちらも絶世の美男美女でなければ舞台空間として成立しない話なんですが、いまの歌舞伎界で「見染め」をやったら、この二人が最高なんではないでしょうか。「ご両人!」のかけ声も決まっていました。

 にしても、海老蔵、素晴らしすぎます。彼のDNAが多く残されますように。全世界の男優の中で、いま海老蔵が一番きちゃっているんじゃないでしょうか。

 菊之助も大好き。新作にしては短いインターバルで通し狂言で上演される蜷川『十二夜』はもちろ行きます!。女方も二枚目も器用に演じ分けるポリバレントな才能をこれからも伸ばしていってほしいものです。

 とにかく海老蔵、菊之助の「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」を見られたのは幸せでした。あ、この狂言では四世左團次も出ています。

 そして昼の部最後は六世中村歌右衛門の実は弟である芝翫さんによる歌舞伎舞踊「女伊達」。

 昼の部は、こう並べてみると120年前の團菊左と歌右衛門へのオマージュであることもわかります。

 しかし、歌舞伎は本当に充実していますね。毎月、楽しみで仕方有りません!

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 あ、エントリーのタイトルですが、七世團十郎が好んで用いたという三筋格子の文様のこと。まるでadidasの三本線みたいな模様です。これに、替紋の蝙蝠(字に福があるからハッピーな動物として認識されていたんですな)をあしらった文様をよく用いていたということで、セリフにも出てくるんですが、もしぼくがadidasのプロモーションに携わっていたから海老蔵さんは外さないでしょうね。

ということで、その三筋に蝙蝠の文様の浴衣を着た三世菊五郎と七世團十郎の姿を描いた国豊の役者画をあしらったパンフレットもご紹介。白ワインでも飲みながらソファに座ってパンフレットを読むのも、歌舞伎座の楽しみです。

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