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April 01, 2007

『日本の戦争力vs.北朝鮮、中国』

Sensou_ryoku2

『日本の戦争力vs.北朝鮮、中国』小川和久、アスコム

 05年に出した『日本の「戦争力」』のアップ・デート版。

 アップ・デートした最大の要因は北朝鮮が核実験を行ったからで、前著の《万一、北朝鮮が核弾頭を完成させてミサイルに搭載すれば、日本にとって深刻な脅威となります。これは何をおいても阻止しなければなりません》《同盟国アメリカがやらないならば、日本は日米同盟を破棄してでも、北朝鮮を攻撃する能力を自ら備え、場合によっては核武装し、金正日総書記を暗殺してでも、絶対にやめさせるというほどの覚悟を示しておく必要があります》(p.252-3)という部分がどう変わったかを読みたかったのですが、結論的に云えばとんでもなかったですね。

 前著では《現時点で間違いなくいえるのは、北朝鮮はミサイルの弾頭として搭載できる核兵器は保有していないであろうということです》(p.251)と書いているのに、今回は《いや、弾道ミサイルの弾頭として搭載できる程度までは、小型化が進んでいると思います》(p.18)と書いている。

 このヒトお得意のフレーズに"Facts and Figures"(事実とデータ)というのがあるんですが、なんで1年ちょっとで議論の前提となるような事実とデータが180度ひっくり返ってしまったのか、その説明がないのは、あまり堅苦しい云い方はしたくはありませんが、言論人としてのモラルを疑います。しかも、2年前にはご丁寧にも《現時点で間違いなくいえる》とまで断言しているのにですよw

 万が一、致命的な見落としがあって事実とデータが180度違ってしまったことを、寛容にも認めてあげたとしましょう。それならば、対応策としてあげていた日米安保条約を破棄し、日本も核武装し、金総書記の暗殺計画するという具体案について練り上げた話を披露してもらえばいいことになります。百歩譲ってその方法論なら読んでみたい気もします。

 しかし、なんと、方法論もまるっきり変わっちゃっているんですなぁ。

 今回の本では、なんと最悪のシナリオは《金正日総書記が死去または執務不可能状態になり、クーデターが勃発して北朝鮮国内が大混乱に陥》り《核弾頭を搭載したノドンが誤って発射される》ことだというんですわ(p.40)。

 いやー、久々にあきれました。

 こんなんじゃ、軍事評論家なんて、また誰も信用されなくなりますよ。所詮はマガイもんだ、と。

 著者はなんでも官邸の日本版NSCを考える委員となっているそうですが、いやー、こんなんことじゃ先が思いやられますなw。基本的な"Facts and Figures"(事実とデータ)の間違いに頬被りして、たった1年ちょいで対応策もガラリと180度変えたことにも説明はないような無責任なヒトが委員をつとめてらっしゃるんですから。しかも、笑っちゃうのが、安倍首相の国家安全保障問題担当の小池百合子補佐官に関して《まさにもってこいの人事だったと思います》(p.205)とおべっかを使うことだけは忘れないんですから。こんなヒトが委員となって議論された中身なんかは、正直、見たくもないですなw

 それにしても、つくづく悲しいのは「美しい国」の首相を人事が上手いとホメているところですよね。我らが「美しい国」の首相は、もしかして私なんぞ下々の者が知らないいいところをたくさんお持ちなのかもしれませんが、人事だけはヘタというのだけは定評があると思うんですけどねぇw

 呆れかえってモノも云えないという本を久々に読みましたw

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