『ブッシュのホワイトハウス(上) 』
『ブッシュのホワイトハウス(上) 』ボブ・ウッドワード著、伏見威蕃 (訳)
ブッシュ政権に関するボブ・ウッドワードの本はアフガニスタン戦争を描いた『ブッシュの戦争』、イラク戦争を描いた『攻撃計画』に続く3冊目。原著のタイトルも"State of Denial: Bush at War, Part III"となっています。今回の主題は占領政策と見つからなかった大量破壊兵器について。
ウッドワードが言いたいことは、占領政策で1)脱バース党化を広範囲に実行しすぎたため、官僚たちすべてが反米になってしまったこと(バース党員でなければ教師になれなかったのに、その教師達全員を追放してしまった)2)イラク軍を買収するのではなく解体してしまったことで治安維持に使える手駒がなくなってしまったこと3)イラクの有力者会議を無視して指導層を取り込めなかったことーという三つのあやまちで泥沼化してしまった、ということですかね。
『ブッシュの戦争』と『攻撃計画』ではブッシュ・ジュニアのリーダシップに対するさりげない賛辞も見受けられましたが、イラクが泥沼化した現在、米軍という武器を扱うには、あまりにも慎重さと経験に欠けた人物という感じで描いているように思えます。また、前2著でさんざん描かれていたラムズフェルド国防長官とパウエル国務長官の確執はいよいよ深刻さを増し、二人が大統領を挟んでブリーフィングを行なう場合でも、互いに口はきかず、ブッシュが議論の上での結論を得るということができなくなっていたということも明らかにします。考えてみれば二人とも、もうブッシュ政権にはいないんですもんね。やっぱり2期8年という時間は長いです。
ボブ・ウッドワードは湾岸戦争についても『司令官たち』を書いていますが、大量破壊兵器がないと思ってシニアはイラクに攻め入って、実はフセインが粗製の核爆弾で実験する寸前だったと知ってチェイニー国防長官がすさまじい衝撃を受けたと書いています(p.327)。今回、大量破壊兵器はあると思ってジュニアは攻め入り、それを探したのですが見つからなかったというのは、マルクスではありませんが「歴史は二度繰り返す、最初は悲劇として、二度目は喜劇として」とつぶやきたくなりますね。
それにしても、この本で描かれているラムズフェルドはまるでダース・ベイダーのようです。《制服組はいまやスタッフに成り果て、礼儀正しく小さな声でつぶやくばかりだった。ラムズフェルドは、勝利を収めたと思いこんだ。国防総省を支配した、と》(p.119)。
それにしても、恐ろしいのは、上巻に日本の「に」の字も出てこないこと。サウジ、イスラエル、ロシア、中国、ヨーロッパ諸国は頻繁に出てくるのに。
こんな状況なのに、わが「美しい国」の首相は従軍慰安婦問題で強制があった、なかったとかで世界中に恥をさらしているのはたまりません。強制うんぬんよりも、慰安婦の施設をバッチリ軍自身が組織したことを大っぴらに論議していること自体が世界的に見るは恥ずかしい、というのがわからず、どんどん弁解することで赤っ恥を塗り重ねていき、あげくには慰安婦問題の真実をアメリカの新聞に出そうなんていうのは見ていてたまらないものがあります。引続き下巻を読んでいますが、日本に関して、ゴジラうんぬんでやっと出たという感じです。日本はサブカルしかないようですねw。
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