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February 05, 2007

『仮名手本忠臣蔵』

Kabuki_mamemaki

 今月の歌舞伎座は5年ぶりの通し狂言となる『仮名手本忠臣蔵』。ぼくはまったく熱心ではない歌舞伎ファンでして、日本の演劇史上、最多の上演回数を誇るといわれる『仮名手本忠臣蔵』も、今回、初めて大序から見ました。

 この「大序」がいいんですねぇ。

 浅黄の幕前で操り人形による役人替名(やくにんかえな)の口上があるんですわ。「えへん、えへん、えっーへぇーん。桃井若狭介、中村吉右衛門、中村吉右衛ぇ門!」」みたいな感じでずっと。そして「お茶おかしなどを召し上がりながら、ごゆるりと御見物くださりますよう」と終わると、東西声で幕が引かれるけど、鶴岡八幡宮をバックにした配役は人形みたいに動かない。竹本に役名を呼ばれてはじめて「人形に魂が入ったように」演技をはじめるという趣向は凝ってますねぇ。ぼくたちのご先祖さんたちは、本当にモダンなことを考えていたんですねぇ。

 元々は人形が演じる浄瑠璃がオリジナルであること、設定を江戸時代から『太平記』の時代に移したなど、デフォルメされた役者たちに徐々に魂が入っていくことを表わしたんでしょうか。四十七士の討ち入りをベースに、ひらがなの四十七文字になぞらえて忠臣たちがいっぱいいる蔵みたいな戯曲ということで名づけられた人形浄瑠璃の演目名ですもんね。

 吉右衛門さん演じる荒事の若狭介が素晴らしい。師直(赤穂浪士では吉良上野介)を演じる富十郎さんも憎々しい。判官(浅野内匠頭)を鮒侍と罵り、あっちへフラフラ、こっちへフラフラと手でやる所作が本当にフナが泳いでいるよう。

 梅枝さんの力弥がサササササァーっと猛烈なスピードで後ずさりする場面で、最後にヘリにひっかかってしまい、転倒しそうになっていたけど、あのスピード感も素晴らしい。ライブでみさせてもらっているという感じがすごいします。幸四郎の大星由良之助(大石内蔵助)は貫禄。

 昼の部が終わった後、富十郎さんの仕切りで豆まきもやってくれました。嬉しいかったですねぇ。

 銀座での仕事の後、ちょっと時間があったら、幕見で見たりするのはどうでしょう。700円から1300円(上演時間に応じています)で、最高のスターたちが最高の戯曲を演ずるところを見ることができるんですから。

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Comments

もうだいぶ前ですが、吉右衛門さんと富十郎さんお二人の踊りをテレビで
観たことがあります。
素踊りなので両名とも男の人の格好なのですが、途中から富十郎さんが女性
にしか見えなくなって、本当にすごいと思いました。
やはり富十郎さんですが「雪達磨」という踊りで、最後の解けてしまうところが
絶品でした。

Posted by: しまじろう | February 05, 2007 at 09:16 PM

富十郎さんは本当に芸の凄さを感じさせてくれますよねぇ
あんなに小さいのに師直が大きく感じます

Posted by: pata | February 06, 2007 at 09:52 AM

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