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December 24, 2006

06年の新刊書ベストワンは『昆虫 脅威の微少脳』

Insects

 今年、このBlogで取り上げさせてもらった本は約100冊。うち、新刊書は50冊弱でした。昨年は118冊で、その時点で「読む本の量、質とも以前より3割減ぐらいになっているんじゃないかと感じる」と書いていますが、こうした傾向は加速しているようです。人文書の良書がどんどん減ってきて、時間を削ってでも読みたいという本が少なくなっているからなんじゃないかと言い訳じみたことも実は思っているわけですが。

 まあ、申し訳ありませんが、勝手に恒例化している「今年の何冊」にもおつきあいいただき、また、来年もよろしくお願いいたします。

 50冊程度しか新刊書を読んでいないので、忸怩たるものはあるのですが、中途半端にせよ4冊をあげるとしたら以下のものとなります。

『昆虫 脅威の微少脳』水波誠、中公新書
『ファルージャ 栄光なき死闘 アメリカ軍兵士たちの20ヵ月』ビング ウェスト(竹熊誠訳) 、早川書房
『危機の宰相』沢木耕太郎、魁星出版
『官邸主導 小泉純一郎の革命』清水真人、日本経済新聞社

で、強引に一冊だけと云われたら、やっぱり、もう世界はバイオに突っ走っちゃっているからということで『昆虫 脅威の微少脳』水波誠、中公新書をあげたいと思います。いつものように何も差し上げるものはございませんが、パチパチと拍手を。

『オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える』木村元彦、集英社インターナショナル
 出し遅れの証文みたいだけど、奥付が05/12なので、書評年度では06年にあたります。まさか、この本を読み終えた後、この人が日本代表の監督になるとは思わなかったが、ぜひ、木村さんのユーゴ三部作を読み進めてほしいと思います。木村さんの三部作は90年代におけるユーゴスラビアの歴史をライブで追いながら、現代における民族主義あるいはナショナリズムの問題について、深く考えることができたと思うから。

『松井教授の東大駒場講義録 地球、生命、文明の普遍性を宇宙に探る』松井孝典、集英社新書
 今夏、冥王星が惑星から除外されましたが、これを読んでいれば、さもありなんと思います。1995年に最初に見つかって以来、2005年5月までに惑星系は138個見つかっているというんですから(p.149)。「地球の生物圏はあとどれぐらい存続できるのか?」という解答が5億年というのも明快。太陽は1億年に1%くらいの割合で光度を増していき、そのため地球は地表の温度を一定に保つために二酸化炭素を減らしてきたが、5億年後には大気中の二酸化炭素は今の10分の1ぐらいに減り、それではシノバクテリアを含めて光合成生物が生きられないので、生物圏はなくなる、というんですな。

『キリストの勝利 ローマ人の物語XIV』塩野七生、新潮社
 ダブるので書きませんが、表紙のアンブロシウスと歴代皇帝の面構えの違いをみても、世界帝国としてのローマは終わったということが実感できます。

『官邸主導 小泉純一郎の革命』清水真人、日本経済新聞社
全会一致の総務会を経て自民党本部が呑まなければ何も動かなかったという「双頭の鷲」のシステムが何も変えられない状態を生みだしていたことへの反省から、政権交替可能な二大政党制を目指した小選挙区制を生みだし、小選挙区制度に「総裁や党執行部が独裁的な権力を持つ」と最も反対した小泉が、実は故・橋本龍太郎首相から着々と強化された首相の権力基盤を武器に、一気に医療制度や道路公団さらには郵政まで変えてみせたという、流れを浮かび上がらせている。 官邸主導の基盤となる経済財政諮問会議をうまくまとめるポスト竹中の存在が心配というのは、早くも迷走しはじめた安部政権にピタリとあてはまる。首相の権力とは煎じ詰めれば「衆院議員全員のクビを一瞬にして切ることができる衆院の解散権」であるということを冷徹に見すえた小泉首相の凄みが改めてわかる。

『ファルージャ 栄光なき死闘 アメリカ軍兵士たちの20ヵ月』ビング ウェスト(竹熊誠訳) 、早川書房
当初、安定化期間としては18ヵ月が想定されていたというが、まだ混乱はおさまらない。そんな中で行われた米軍によるファルージャ攻撃を『ブラックホークダウン』のような筆致で描いたノンフィクション。今の米軍はエミネムの曲を大音量でかけながら突撃するというのは知らなかった。任務に明確さが欠けていたと批判する最後の総括はフェア(pp.512-)。

『歴史のなかの天皇』吉田孝、岩波新書
天皇という称号を使い始めたのは天智からだが、それ以前の大王は兄弟やイトコを殺して即位することが多かったため、兄弟やイトコの支援が期待できなかったことから、大臣や大連の支持が重要になるが、大王一族は豪族層の介入をしりぞけていくために内婚化に進む、というのあたりは面白かった。

『現代ドイツ―統一後の知的軌跡』三島憲一、岩波新書
80年代まではなぜか日本とドイツで実現されていた「リベラルかつ適度にレフトであることは、皮肉にも社会的上昇の資格証明ともなっていた」社会の知的・文化的体制を思い出しました。この言葉は印象に強く残りました。

『家族のゆくえ』吉本隆明、光文社
吉本さんの本はこれ以降、読んでいない。イエイツの「わたしはかつてないほどよく考え、計画をたてることができるのだが、計画し考えたことを実行するこがもはやできないのだ」と引用しているところは悲痛(p.164)。

『テレビの罠 コイズミ現象を読みとく』香山リカ、筑摩新書
香山リカさんの本は、ちゃんとしてたら時々買っている。郵政解散選挙の際、メジャー感あふれる人たちの呼びかけに「イエス」と応えるのが、日々の不安から目をそらせ、勝ち馬に乗り遅れたらおしまいという切迫した投票行動を生んだのではないか、と書いている(p.130)。

『映画のなかのアメリカ』藤原帰一、朝日新聞社
新刊の中で、最も個人的に面白かったというか、時間を忘れるほどだったのは、ひょっとしてこの本だったかも。04年の大統領選挙について、かつて南北に分かれて争ったアメリカが、いまは東部と西部に分裂してしまったとして『大いなる西部』によって典型的に描かれた西部に対する東部リベラリズム優位が崩れ、アメリカは「再び中西部の荒野に重点を移した」のではないかと分析しているところなどが印象に残ってます。

『哲学者廣松渉の告白的回想録』廣松渉、小林敏明、河出書房新社
朝鮮戦争の緒戦、米軍は戦況が悪く、釜山から追い落とされる可能性もあって、そうしたら九州で蜂起して、臨時革命政府宣言をやって「同志スターリンの軍隊の介入を要請する」というプランが「国際派が正式に決めたものじゃない」にせよ暖められていたというあたりは、いろいろ聞いていた伝説とも符号して面白かったですね(p.99)。

『芸術人類学』中沢新一、みすず書房
書き下ろしじゃなかったのが残念。山伏の初源を朝鮮半島から発生した花郎集会に求め、沖縄のアカマタ・クロマタ祭祀との共通点をさぐる「山伏の発生」は面白かった。

『危機の宰相』沢木耕太郎、魁星出版
沢木さんが描くのは<<奇病と闘い、捕虜生活に苦しみ、死病に苦しんだはずの三人が、誰よりも「楽観的」に、日本経済は成長し、日本国民は豊かになるのだ、と声を上げるために巡り会うことになる。その三人は共に元大蔵官僚だった。そして、三人は共に官僚として不遇な道を辿ってきた。三人は確かに「ルーザー」だった。しかし、日本という国を、吉田茂のいう真の「グッド・ルーザー」に仕立て上げようとすることで、三人もまた<よき敗者>となるべき道を歩み出していたのだ>>という三人(p.131)。そして文藝春秋に1977年に発表していた原稿を大幅に加筆訂正して、この時期に上梓したのは、戦後の保守政治に対して最終的には「負けた」と告白するにせよ、リベラルライトの立ち位置から批判していた者たちもグッドルーザーであるべきではないのか、ということからではないのかと思います。

『日本の個人主義』小田中直樹、ちくま新書
他者啓蒙をくみこんだ個人主義はプロセスのみ存在している、と判断しているのかもしれませんが《ぼくは、他者啓蒙は必要だと判断している。総動員体制論が述べるのと異なって、ぼくは他者啓蒙は自動的かつ機械的に動員につながるものではないと判断している。換言すれば、大塚が唱道したような、他者啓蒙をくみこんだ個人主義は存在可能である、と思っている》(p.130)というあたりに救われる感じ。

『心脳コントロール社会』小森陽一、ちくま新書
日本でやたら「テロ警戒中」「不審者や不審物に注意」という呼びかけが公共交通機関などで行われているという指摘は新鮮。ある日、小森さんが数えてみたら見かけたのは100回を超えていたそうです。こうした、日々の呼びかけが人々の無意識に働きかけることで、今の北朝鮮に対する強硬な世論というか総動員態勢がつくられているのかもしれない。

『日本宗教史』末木文美士、岩波新書
『日本書記』には唐への留学から帰った僧道慈が関わることで、すでに仏教の影響が入り込んでおり《日本の神々はその出発点からして、仏との交渉の中に自己形成をしてきた》(p.29)というあたりは知りませんでした。日本が「神の国」であるという論議は本地垂迹説の原理(東の果ての島国である日本の場合、仏は八百万の神々という権現で現れる他なかったという考え)からきているのだが、それは本来、日本の民は仏ではなく二流の存在である「神」で救われるしかなかった、という意味であることも。

『「つながり」という危ない快楽―格差のドアが閉じていく』速水由紀子、筑摩書房
お手軽な印象はぬぐえませんが『下流社会』『希望格差社会』『ご臨終メディア』などの本の書評と思えば安かったかも。《2ちゃんねるで番組を実況しながら悪口を書きこむユーザーは、実は今のテレビ界を支えている、一番コアなテレビ視聴者なのである》(p.139)なんてあたりは、小泉劇場への動員の説明としてはいいかも。

『美しい国へ』安倍晋三、文藝春秋
第三章は「ナショナリズムとはなにか」では子供の頃、東京オリンピックで味わった高揚感とか、最近のワールドカップでの盛り上がりを書いてるみたいに深みはゼロ。ラテン語のnatioに関して触れているところではゴーストライターというかとりまきの人たちの底の浅さがでていて笑えます。最近の迷走ぶりも取り巻きに人材がいないからなんじゃないかな、なんて。

『西洋哲学史 古代から中世へ』、『西洋哲学史 近代から現代へ』 熊野純彦、岩波書店
古代から中世へはよかったです。近代から現代へはフツー。

『中世の身体』ジャック ル=ゴフ 、藤原書店
中世の人口減少の要因として、教会による性の禁欲期間の設定が長くなる一方となり「人口はわずかに一八〇から一八五日ほどの性交可能日によって大きな打撃を被る」(p.58)までにいたったといのは恐ろしい。食養法は修道院で発展したというのも知らなかったし(p.151)、自分の体を抑えつけた聖フランチェスコは《身体はそれでも「兄弟」であり、病気は「姉妹」である》として、シラ書に基づき身体を一つの価値として認めたなんて話や(p.166)、修道士には泣くことが勧められるのは「涙が禁欲者の支配の対象たるべき身体の液体の体系の中に含まれているから」(p.99)というのも気がつかなかったなぁ。

『昆虫 脅威の微少脳』水波誠、中公新書
世の中はバイオの時代なんでしょうね。昆虫と脊椎動物の共通の祖先の想像図には驚く。しかも「ショウジョウバエとマウスの脳の形成に関わる少なくとも六つの共通の遺伝子が見つけられて」(p.28)いるほか、「ミツバチとヒトが同じ錯視を示」(p.69)したり、「ほ乳類でも昆虫でもアミン作動性ニューロンが学習において報酬や罰の情報を伝えるという発見は、脊椎動物と無脊椎動物の脳のデザインの共通性をまた一つ明らかにしたもの」(p.219)であるなど、様々な事例が紹介されていて興味深い。NO-サイクリックとGMPシグナル伝達系の活性化剤を投与すると一回の学習訓練で長期記憶が形成される(p.211)などは早く実用化してほしい。

『バイオポリティクス―人体を管理するとはどういうことか』米本昌平、中公新書
人体の"市場価格"は皮膚、アキレス腱、心臓弁、血管、角膜などを合わせて、最上のものでは22万ドル、通常価格では3~5万ドルに達するというですから驚き。インド、中国、東欧などでは、金持ちを対象とした医療目的の移植ツアーが大人気で、いまや観光も組みこまれたものになっているらしい。でも、そうして移植手術を受けた側も一生、免疫抑制剤なしではすごせなくなるわけで、そうしたことも含めて、一大市場なんだな、と改めて思うと同時に、政府が呼びかける臓器提供の話には絶対に乗らないぞ、と改めて思いました。

『祖先の物語 ドーキンスの生命史』リチャード・ドーキンス、小学館
上巻して読んでませんが、これってリチャード フォーティ『生命40億年全史』やアンドルー・H. ノール『生命 最初の30億年 地球に刻まれた進化の足跡』なんかの焼き直しなんじゃないのかな。

『道徳哲学講義』T.W. アドルノ、船戸満之訳、作品社
「もし私が古典古代の慣わしに従って基本徳の名を挙げよよと強いられるなら、多分、しぶしぶながら、他ならぬ謙譲という徳の名を挙げることしか出来ないでしょう」(p.281)などアドルノの言葉は人柄が出ているというか、ホッと救われます。虐殺の時代のセネカ、みたいな。

『追悼記録 網野善彦』赤坂憲雄、洋泉社
《1)人間が本来もっている「原始の野生」(自由さ)が、国家や権力によって失われていく過程として歴史を読み解こうとした2)権力の及ばない空間である「無縁」の存在を明らかにし、中世の都市をそれに準じる自由の横溢した世界としてとらえた3)これまで見過ごされてきた商人や職人、被差別民、女性などが歴史の中で果たしてきた役割を掘り起こし、再評価した4)「百姓は農民だけではない」と強調、農業を中心に構築されてきた従来の水田一元史観を批判した5)日本が単一民族、単一国家として成立してきたかのような"思い込み"を繰り返し否定した》(p.167)という読売新聞に掲載された峰岸純夫氏のまとめはスッキリしているけど…。くだらない薄っぺらな新書ばっかりが出るなか洋泉社の新書は良心的ですね。

『『新約聖書』の「たとえ」を解く』加藤隆、ちくま新書
ワクワクするような新しい解釈が、丁寧なコイネーの読みこみから浮かび上がる例を「放蕩息子のたとえ」「宴会への招待のたとえ」「種まきのたとえ」などでも読ませてくれる。ダヴィンチコードはジョークで、ユダの福音書は商業主義的すぎるけど、もしそんなんで興味を持った方は、こんなのが本当の学問だということがわかって面白いと思います。

『三位一体モデル TRINITY』中沢新一、東京糸井重里事務所
神は死んだが、どっこい三位一体モデルは生きているという感じで、様々な業界を三位一体モデルを使って見てみよう、という提案。それにりに面白いと思います。

『樹をみつめて』中井久夫、みすず書房
年1回、中井先生のエッセイを読むとホッとします。1)中クラスの国家にとどまるべきこと2)アングロサクソンを挑発しないこと3)近隣の恨みを買わないことを基本としたビスマルクを罷免したヴィルヘルム二世の政策によって、ドイツは世界大戦二連敗という唯一の体験をすることになるというあたりを力説していたのが新味。《日本の第二次大戦は欧州の第一次大戦に相当する。まだ、日本はほんとうの試練に逢ってないのかもしれない。歴史と地理と偶然が日本を甘やかしてきた》という悲痛な文章があとがきに書きつがれています。

『シリーズ日本近現代史 幕末・維新』井上勝生、岩波新書
岩波らしい企画。期待してます。痛快だったのは、ハリスがアメリカは非侵略国でありイギリスがアヘンを持ち込む心配もあるからアメリカの庇護に入ったらどうかと提案してきたことに対して、幕府の勘定奉行たちはオランダ別段風説書や漢訳された洋書などをつぶさに調べ、アメリカがメキシコ戦争でカルフォルニアを掠取したことや、米国商人がトルコのアヘンを毎年、大量に運んでいることなどを指摘、老中たちにキチンと意見具申しているあたり。

『生命と現実 木村敏との対話』木村敏/檜垣立哉、河出書房新社
木村敏さん自信の言葉による最良の入門書ではないでしょうかね。ピアノ、ヴァイオリン、チョロとのアンサンブルを演っている時に《ヴァイオリンもチョロも私自身が弾いているんじゃゃないかという錯覚が起こるんです。そうじゃないと次の音が出せない。次の音へと向けた私の行動は、合奏全体のそれまでの流れによって決まってくるわけだから。だから、もちろん私は自分の指を動かして弾いてるんだけども、指を動かしている主体というのか行為者ていうのか、いった実際に音を出しているのは誰なのか、それが不明確になる》《私が人と人とのあいだなんていうことで後になって考えるようになつたねその原型みたいなものは、漠然とですけれども、おそらく合奏をやりながらずっと経験していたんですね》(pp.30-33)あたりは目ウロコもんでした。

『アメリカの終わり』フランシス・フクヤマ、講談社
原書を読んだ方も、日本版に付け加えられた終章ぐらい立ち読みしてもいいんじゃないでしょうか。《核兵器開発国をこれ以上増やさないよう、核拡散抑止を狙ったイラクへの攻撃は、意に反して北朝鮮とイランの核開発のペースを速めるように促してしまったように思える》(p.233)というのは、予防戦争という考え方はビスマルクが看破したように「死ぬのが怖くて自殺するようなもの」(p.105)であるということも含めて痛烈なブッシュ批判。

『詩への小路』古井由吉、書肆山田
商業主義に背を向けた、何もかも美しい本。「清潔に寂れた教会は日曜日の郵便局に似ている」。

『翻訳教室』柴田元幸、新書館
こんな授業を受けてみたい。村上春樹『かえるくん、東京を救う』を訳したジェイ・ルービンを呼んで話を聞いたり、村上春樹本人を呼んできて翻訳について語らせたり、という素晴らしい趣向。

『王になろうとした男』ジョン・ヒューストン、宮本高晴(訳)、清流出版
読書の楽しみという面では『映画のなかのアメリカ』と同じ位楽しめた。ジョン・ヒューストンはもっと評価されていい監督だ。そして彼は人生の勝者だった。PTSDという言葉が使われる前に米軍の中でこの問題に光を当てた『光あれ』を観てみたい。

『ティンブクトゥ』ポール・オースター著、柴田元幸訳、新潮社
日本語版のp.83-からのWillyとMrs.Swansonの会話は素晴らしすぎ。もし、アメリカに、どこか、まだ憧れがあるとすれば、こうした女性がローカルな街に本当にいるかもしれない、と思うからなんじゃないのかな、なんて思いながら改めて読んでいました。

『僕の野球塾 考える力こそ最強の武器』工藤公康、講談社
これは小学校高学年から草野球までの全てのピッチャーに役立つ初めての本。素晴らしい。

『白の軍団 ベッカムとレアル・マドリードの真実』ジョン・カーリン(有沢善樹訳)、ランダムハウス講談社
イングランドの普通のジャーナリストによるしっかりした作品。1シーズンで解雇されたケイロス監督は攻撃側と守備側にわかれて6対6のミニゲームをやると、必ず守備側が勝つという世界中の監督が知っていることをペレス会長は知らないと語っていた。ペレス会長の退任も致し方ないところか。

『福音書のラテン語テキストを読む』江澤増雄、サンパウロ
ウルガタ訳の聖書をベースにラテン語の基礎を学ぶ本。文法より、こうした学び方の方がいいっすよねぇ。

以下は紹介しななくてもいいぐらいなんですが…。

『他人を見下す若者たち』速水敏彦、講談社
 今年はこうしたタイトルだけで買わせようとする安直な新書が目立ったですね。

『ロゴス・エートス・パトス 使徒言行録の演説の研究』原口尚彰、新教出版社
修論レベルでも、もっと内発的なものを感じさせてくれる論文があるんじゃないだろうか。

『昭和の墓碑銘』新潮新書
ノモンハンやガダルカナルなどで多くの日本兵を無駄死にさせた辻政信や、日米開戦時の嶋田海相、木戸日記の木戸幸一などの顔のなんと品のないことか。

『中古カメラの逆襲』赤瀬川原平、筑摩書房
この本を読んだあたりから、もう新刊書に期待できなくなってきました。

『GRデジタルワークショップ』田中長徳、エイ出版社
チュートクさんのHPでも取り上げてもらったのだが、批判の度合を落としたAmazon版だった。正直、読んだ本に関してはあまり批判的に書くのは良くないな、と改めて思いましたね。気に入らなかったら無視すればいいんだし(でもそんなことしていたら、書くネタがなくなるほど、最近の新刊はヒドイんですが…)。

『一日30分でわかる外貨“FX”投資』竹内淳、角川ONEテーマ21新書
こんなにリスクの高い金融商品を薦める本を、しかも取引会社のPRのようななカスタム出版で、角川みたいな老舗の版元が出すようになったのかと一愕を喫する。新書への信頼は終わったと改めて思いましたね。

『米軍再編と在日米軍』森本敏、文春新書
米軍には今や「航空宇宙遠征軍」(AEF)があって三沢基地(青森)のF16や嘉手納基地(沖縄)のF15などもAEFに組み込まれているなんて、ほんと知りませんでした(p.141-)。いろいろベンキョーにはなりますが、中国脅威論にどうしても持っていきたがるあたりはどうにかならんのかね、と思います。

『メンタルヘルス―学校で、家庭で、職場で』藤本修、中公新書
お医者さんが書いた本だということで読んでみたけど、ちょっとガッカリしましたね。取り上げられている例にリアリティが感じられないし。

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インドは1974年5月18日に同地で地下核実験を行なったことがあり、24年ぶり の核実験を行ったことになります [Read More]

Tracked on December 25, 2006 at 03:23 PM

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