« 世界史、日本史のこと | Main | 中本・新宿店のこと »

November 01, 2006

『こうしろ!未来のクラシック』

Mogi_classic

『こうしろ!未来のクラシック 茂木大輔の予言・提言・夢と現実』茂木大輔、ヤマハミュージックメディア

 最近、とみに活躍中の茂木大輔さんによるクラシック本。のだめカンタービレのネタ出しというか監修みたいなのもやっているハズで、ともかく、どんなカタチであれ、クラの世界が広がれば有難い話。

 前半はぶっ飛んだ予言と独断的な提言、真ん中に対談をもってきて、最後がN響の演奏旅行紀というゴッタ煮の四部構成。さすがに交響曲の基本構成を踏襲してます。

 前半でよかったのがクラシックはもう無形の世界遺産みたいなもので、新しい作品も生まれてはくるだろうが、これからもずっとオーケストラで演奏されていくのはせいぜい50曲程度ではないか、というあたり。ここまで言い切られたのは初めてで、なるほどな、と。序予言のタイトル通り「21世紀はリサイクル文化」の時代なのかもしれません。ベートベンやブラームスのような作品はこれから生まれそうもないし、カラヤンやバーンスタイみたいな指揮者にはかないそうもない。でも、日本のホールみたいに、響きのいいホールはないわけで、考えようによっては、世界遺産ともいうべきクラッシクを観賞する最高の環境が整いつつあるインフラをもっと活用すべきなのかも。

 バッハ、ハイドンでは新しい曲の発見も相次いでいるというのも楽しみで、ケーテン時代のバッハの楽譜が大量に発見されたら、コンクールの課題曲なんかも変ってくるだろうという指摘も、なるほどな、と。

 また、N響の海外公演の演奏プログラムを考えると、ベートベンやブラームス、ブルックナーなどドイツの交響曲やフランスの印象派音楽も本場でやるには難しく、チャイコやドボルジャークなども日本人のイメージからはかけ離れるし、シベリウスやプロコフィエフは難解で採算的に難しいので、いつもベルリオーズの「幻想交響曲」かバルトークの「管弦楽のための協奏曲」になってしまう、というあたりの話も〝さもありなん〟と面白かった(p.168)。

 最後の旅日記(茂木さんはズージャの人のようにビータと云う)も傑作。ロシアではアンコールが3曲というのが常識で疲れるとかという話も面白いし《ベートベンの交響曲を聞くことは、なんだかドラマチックであり、最後には知っている旋律が堂々と回帰して、なんだか自分自身が人生に勝利したような解放感を味わい、ブラボーと叫び、拍手することができる》が、本当に楽しむためには勉強が必要という話は素晴らしい。《音楽史、形式、和声、作曲家の生涯、世界史的背景などの知識を持つことなく、調性も和声も主題も展開も判別できる観賞能力を鍛えることなく、ただただ音楽をたくさん聞いたり演奏家の出身国を暗記したり演奏したり楽器の指使いを覚えるだけで、音楽がわかった、とは、とうてい言えない》というのは耳が痛い話でしたね。

表紙と挿絵がひさうちみちお画伯というのもイイ。

|

« 世界史、日本史のこと | Main | 中本・新宿店のこと »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/12516015

Listed below are links to weblogs that reference 『こうしろ!未来のクラシック』:

« 世界史、日本史のこと | Main | 中本・新宿店のこと »