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June 27, 2006

26歳の停滞

ようやっと、書けるような気がしてきたので、ジーコ監督の最後の会見に沿って日本代表について書きます。「偉そうに」と思われる人がいるかもしれませんが、論争するつもりはないので、よろしくお願いします。

 「残念だったのは、あの場面で坪井が筋肉のけいれんを訴えて交代していたことだ。彼は高いボールに対しても抑える働きをしていたが、交代した後は同じリズムでプレーすることができなかった」と語っているのは、まったくその通りだと思う。ぼくもグループリーグ敗退の原因をひとつだけあげろ、といわれれば、これだと云います。あそこで1枚の交替カードを切ってしまったので、疲れの見えた2トップを替えて、追加点を狙うという方向ではなく、伸二を入れてボールを回すという方向に転換したのだと思う。日本は02年の日韓大会でも、初戦に森岡が交代しました。DFに関してはいろいろ云いたいことはあるけど、まず、試合に出たら最後まで戦術的な意味以外での交替要因をつくってはいけないと思う。そういう意味で、ワールドカップという「真実の瞬間」に日本のDFのひ弱さが出てしまったのではないかと感じています。

 「かつて、日本はバレーボールの世界で自らのアジリティを生かして世界を制した。しかし、その後は体格差で世界各国に上回られてしまっている。このようなことが日本のサッカーでは起きてほしくない」。これはもう少し、年代が下がってくれば、フィジカルエリートの少年たちは野球じゃなくてサッカーを目指す割合が増えるから、自然に解決できるんでしょうかね。そうなってほしいと思います。プロ野球の選手たちがサッカー番組に出ると、Jの選手たちと比べると2回りぐらいガッシリしていることが多い。98年大会の時、選手の出身地の8割近くは静岡周辺だったと聞いたことがあります。02年で東北や北陸まで広がりましたが(組織的な育成機関がそういったところでも整備されていったことの証)、06年では、その遺産で闘って終わったという印象です。体格面などの上積みがなかったような気がする。とにかくプロ野球の選手のようなフィジカルを持った選手たちがもってJに来てほしいと思います(特にDF)。

 それと、これは別なところで書いたことなのですが、日本人選手って20歳ぐらいまでは素晴らしいけど、それ以降、伸び悩むというか、カラダが大きくならないというか、技術的にも旨くならないというか、そんなケースが多いんじゃないかという気がしています。ヨーロッパの代理人が日本人選手の足は細すぎると云っていたけど"黄金世代"もあまり変わらない。

 また、中田英は素晴らしい肉体を持ち運動量も凄かったけど、パスミスが目立ったし、シュートも一時期よりもヘタになった気がします。申し訳ないけど技術的には後退していた感じを受けます。稲本もある程度は出来たけど、なんといいましょうか"日本人の中では"優秀なセンターハーフ止まりになっている(マーティン・ヘーゲレがバイエルンはずっとウォッチしていたのだが、稲本の停滞は理解できないと書いていた)。そして伸二も。もちろん契約の問題があるからだろうけど、26歳ぐらいで大バケして、ヨーロッパでやる、という選手はまだ出てきていない。だいたいは青田買いのレンタルで引き抜かれて返品されるというのが多い。本来、もっとも充実しなければならない時期の停滞が何を意味するのか。単なる偶然であるのか。誰か解明してほしいと思います。

【日本代表 ジーコ監督退任記者会見】「悔いも恥じることも、何もない。全身全霊で打ち込めた4年間だった」 [ J's GOAL ]


●日本サッカー協会 川淵三郎キャプテン
「ワールドカップでの日本代表があのような結果に終わり、多くの皆様が期待を持って見守ってくださったにも関わらず残念で、また心からお詫びを申し上げます。
ジーコ監督とは、4年間信頼し合いやってきました。成功すれば賞賛を、失敗すれば罵声を浴びる世界ではあります。しかし、ジーコ監督からはいろいろな意味で教わることも多く、日本サッカーもまた選手それぞれもたくさんのものを得たことと思います。それを今後、どう生かしていくかが重要なことだと考えます」


●日本代表 ジーコ監督
・4年間を振り返って
「再びこうして皆様にごあいさつできることを幸せに思います。これが最後ではなく、できれば良い関係を保ち続けられればと心に思っているところです。
この場を借りて感謝を申し上げたいのは、まず15年ほど前に私と日本の橋渡しをしてくださった住友金属、そして鹿島アントラーズの関係者の方々です。それがなければ、日本とつながりを持つことは想像もできなかったし、日本代表監督の大任の基礎も作り得なかったと思います。
鹿島での10年近くの後、川淵キャプテンをはじめ日本サッカー協会からは4年間の長きにわたり私を信じていただき、代表監督を務めさせていただいた。感謝しています。それから多くのファン・サポーターに支えられ、メディアのみなさんにも最大限の協力をいただいた。最後まで信頼していただいたことで、よい仕事ができたと思っています」

・日本代表の課題
「私の指揮した日本代表は、力のある選手がそろっていた。ワールドカップでは期待された成績を収められなかったが、日本サッカーがレベルアップしたことは胸を張って申し上げられる。ただ全体を見つめると、安定した結果につなげられないという問題点がある。例えば、ワールドカップ前のドイツ戦であれほど良い試合をしても、数日後のマルタ戦では別のチームのようになってしまう。これは、経験を積むことで本物になっていくと確信している。

またワールドカップでは、体格差を強く感じた。上背の問題は仕方ない面もあるが、90分耐えうるベースの問題、たとえば上半身・下半身の強さなどをどんどん鍛えていけば、自分たちの持っている力を発揮できると思う。この体格差の問題は、個々の選手の責任ではない。彼らは、もっと若いうちに技術だけでなくフィジカルの面でも鍛えるという環境になかった。ただ彼らが資質を持ちながら、もっとコンスタントに力を発揮するためには体格も必要な要素だったと思う。
日本代表としての活動時間は短いので、これは日本サッカー協会と各クラブなどが連係して世界の最先端の国々と協力していくべきだ。たとえば、日本の選手は肉離れや骨折などの治癒に時間がかかる。また、他の国々ではあまり見ないが、日本では試合後のバスに乗り込む際に多くの選手がアイシングをしている。日本独特の食文化や習慣などによるものもあるかとは思うが、世界のケガに対する予防方法やケアの仕方などは、取り入れてよりよいものを築いてほしい。ただでさえ日本は自分たちよりも体の大きな選手と戦わねばならないのに、そこにケガを抱えていてはより大きなハンディになってしまうからだ。

ワールドカップでもアジア予選でも、最初は相手も足下でボールをキープしてくるが、最後になると上背を生かして中盤を省略したロングボールを多用してくる。特にヨーロッパでは190cm近いセンターFWを揃えている国が多い。そういう相手と真剣勝負をする時、勝点3を賭けて戦う時、日本の選手は90分間持ちこたえることができない。オーストラリア戦の後で、宮本と話したときに『いつもと違う部分の疲れがある』と言っていた。つまり、大きな選手に体を当て、バランスを崩させるために何度もジャンプを繰り返すことで、通常ではない疲れを感じたということだ。
今後、日本と戦う相手はいつもこの体格差で上回ろうとしてくると思う。それに対抗する術を学んでいくことが大事だ。

かつて、日本はバレーボールの世界で自らのアジリティを生かして世界を制した。しかし、その後は体格差で世界各国に上回られてしまっている。このようなことが日本のサッカーでは起きてほしくない。
体格を鍛えるというのは、決して無理なことではない。私はブラジル代表に長く関わってきたが、私の選手時代と今の選手たちとでは大きく違う。ただ、今のブラジル代表で活躍するロナウジーニョやカカであっても、ブラジルにいた頃には日本人と同じような体型で華奢だった。それぞれがヨーロッパのクラブに出て行くことで体つきが変わってきたのであって、その意味では日本人もきっと進歩すると思う。
アジアを見ても、中国は体格で日本を上回っているし、次回からはオーストラリアもアジア予選に参加する。ウズベキスタンなど、旧ロシアの国々もいる。アジア予選突破には、それらの国を打ち破らねばならないことを考えると、この体格差の問題は早くクリアしてほしいと思う。

体格差のせいでワールドカップで成績を残せなかったとか、言い訳をするつもりはない。ただ日本で15年、日本代表監督として4年やってきて、監督と選手以上の友情、先輩と後輩のような気持ちで言いたいのだ。
私はサッカーは芸術だと思っているが、体格差にものをいわせるサッカーは今後も続くだろう。日本が今後、勝てる試合を最後に落とすことのないように祈っている。
アフリカにも今回のガーナや前回のセネガルのような、日本のよいお手本が出てきている。アフリカ勢も当初は体格が全体的に細く世界に追いつけなかったが、ヨーロッパに出て行ったり、自国に専門家を招くことによって対等に戦えるようになってきた。日本もぜひ、そうなってほしい」

・最後に
「選手たちには『私が今後世界のどこにいても、ひとりひとりのために力になる』と声をかけた。
私のなしえなかったものを次の世代・次の人に受け継いで、生かしてほしい。
最後に、自分を信じて見守ってくれた日本の方々、仕事を任せてくれた日本サッカー協会の方々に感謝したい。
これからもコンタクトをとり続け、影に日向に見守っていきたい。当面はブラジル・リオに戻って仕事をしていくが、チャンスがあればヨーロッパで監督をしたい」


Q:今ふりかえって、豪州戦の小野や大黒の投入を適切だったと思うか?
「小野を投入した時間帯は、1-0で日本が勝っていて相手がロングボールを多用してきたところだった。相手は背の高い選手を送り込んできた。ただ、それは日本にとって中盤を省略した相手の後ろにスペースが生まれたということでもある。小野をボランチに入れることで中田英を上げ、中村と試合の流れを変えられる選手である小野の個の能力により前がかりになった豪州のウラを突けると思った。
大黒の投入は、数回チャンスがあったので、それを生かすことを期待した。キープしろとか、特別な指示は出していない。今までも何度か彼が試合を決めてくれたことがあったし、その働きを期待した。
残念だったのは、あの場面で坪井が筋肉のけいれんを訴えて交代していたことだ。彼は高いボールに対しても抑える働きをしていたが、交代した後は同じリズムでプレーすることができなかった。
ただ、サッカーというのは同様のケースというのはないものだ。選手が私の意図通りに動いて勝ったこともあるし、そうでなかったこともある。同じシチュエーションというのはない。私はあの時、その采配で勝てると思った。だから、あの時点で適切な采配だったと思っている」

Q:今回のワールドカップで「あの時にこうしていたら…」と思う采配はあるか?
「采配についての反省はまったくない。サッカー監督というのは、後で思うのではなく瞬時に判断が求められるものだからだ。それが全権を任せられるということあり、私は結果が出なかったとしても選手のせいにしたことも言い訳もしたことがない。
ワールドカップのピッチに立てたことを幸せに思っている。特に今回は予選の段階から、選手・スタッフ・多くのみなさんと共に得てきた結果。私と同時期に就任しながら途中で任を解かれた方たちを考えれば、何と幸せなことかと思う。結果は出なかったが、持っている知識を使い、選手たちにすべての信頼を託して戦ってきた。悔いも恥じることも、何もない。全身全霊で打ち込めた4年間だった」

Q:体格差があることは大会前からわかっていたと思うが、その対策は考えていたのか?
「もちろんわかっていた。4年間、私のトレーニングを見てきた方にはわかると思うが、補強運動やベース作りは心がけてきた。だが思うようにはいかなかった。相手にリスタート(ファウル)を与えない、CKやスローインにさせないということを徹底し、相手陣に残っているFWへボールを渡すような対応をしてきた。
今回、攻撃の仕掛けの面ではよかったが、全体を通して緊張と責任の重さで、選手たちは90分間それを全うできなかった。豪州戦では、日本の良さをどう生かすかを考えていたが、それまで準備してきたのとは違う暑さの中で選手たちは頭の中が真っ白になり、酷使されてしまった。
今後も日本に対する時、相手はパワープレーを巧妙に使って攻めてくるだろう。私はそのことを言いたかった」

Q:日本に残せたと思うものは何か?
「どんな強い相手、これまではユニフォームの色を見ただけで劣等感を持っていたような相手にも、自分たちのサッカーをしっかりやれば勝てるという自信を植え付けられたと思う」

Q:今後、監督を続ける上で磨きたいと思うところは?
「すべて。監督としてだけではなく、人間として学ぶことは尽きない。
主役は選手であり、監督は選手が自信を持ってピッチに出て行くことの手助けしかできない。サッカー界で起こっていること、これから起こりうることを、自らの経験も生かして選手にインフォメーションできること。情報を見据えつつ、磨き上げたいと思う」

Q:アジア勢がベスト16に入れなかったことについて
「残念だが、ベスト16入りしたチームと比べると差があったと思う。これからアジアのチームは監督ありきという戦い方をしていては強くなれない。有名な監督を据えても、選手がレベルアップをしていく、体格差が目立つ中でそれが開かないように努力していくことだと思う。
名のある監督が就任しても、体格差のあるチームではよい成績を残していない場合が多い。彼らはヨーロッパなどに戻った時によい成績を残すケースがほとんどだ。日本や韓国などはよきライバル心を持ってここまでやってきたが、世界に目を向ける中で自分たちの良さは何かを突き詰めてやっていかないと難しいだろう」

Q:次世代の選手について
「次の監督の考え方やどういうサッカーをするのかに尽きる。私の率いてきたチームでも次のワールドカップに繋がる経験を積んだ選手たちがいると思う。ただ、豪州がアジア枠に入り、中国が北京五輪に向けて強化を図り、旧ロシアの国々も日本にとって脅威になってくる。日本もそれに負けないチーム作りを、選手選考も含めてやっていくべきだとしか今の私には申し上げられない」

以上

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