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April 09, 2006

『金融政策論議の争点』

Komiya


『金融政策論議の争点』小宮隆太郎+日本経済研究センター編、日本経済新聞社

 3月9日、日銀は量的緩和政策に終止符を打った。後はゼロ金利からの脱却を目指すだけになったが、ゼロ金利+量的緩和政策という、史上例をみない異常な金融政策について、改めてチラッと考えてみようかな、ということで、積ん読状態だった大部な『金融政策論議の争点』を読んでみた。ハイ、「市場しかないのか…」でもチラッと書いた通り、小宮隆太郎さんキライじゃないんです(ただ好きなんだけど、勉強不足であまりご著書とかは読まないという不肖な信奉者なのだが…)。

 4/7金曜日の朝日に載った宮澤喜一元首相の聞き語りではないが、ゼロ金利+量的緩和は、減税も財政出動も金融機関の救済も含めて、すべてがうまくいかなかった中で、きわめて有効だったと思う。「一般の預金者にはマイナスもあった。しかし、その中で、リストラが進み、企業を救った」わけだから。≪「政府と日銀がお互いに「これしかやりようがない」というほど経済が落ち込んだ≫中で奇跡的に効いたという感じもしないでもない。

 さて、『金融政策論議の争点』だが、刊行は02/07。元日銀理事の小宮隆太郎さんがデフレ下の金融政策という未踏の領域について、事実からの論議を行おうということで進めたプロジェクトをまとめたもの。第一部は実証研究の論文が5本。その要約を行える力量はないのだが、もし1本ぐらい読んでやろうじゃない、という方がいれば、「デフレ、不良債権問題と金融政策」深尾光洋をお勧めする。個人的には『検証・日本の収益力―企業・銀行・生保の経営実態』中央経済社、2004を即注文してしまったほど。

 第2部の「日本銀行の金融政策をどう評価するか」をテーマにした討論会は面白かった。そして第3部は「日銀批判をめぐって」と題し、前2部で行われた議論を踏まえ、各論者が再び自らの考えを述べる、という形を取っている。小田中直樹先生によると座談会は≪日本の伝統芸能≫らしいが、安直なものが多い中、この本の座談会は未曾有の事態に「ファクトからスタートしていく」(p.387)という議論の姿勢がみられた素晴らしい内容だと思った。

 デフレ防止には実物資産の買いオペが有効という趣旨で、深尾さんの「国債もきれいに印刷した紙、銀行券もきれいに印刷した紙で、製造コストは日銀の業務報告書から計算すると、枚数と金額からみて一枚一七円ぐらい。人間が刷った紙切れの価値が上がり続けて困っているというのが現在のデフレである」「その価値が年率数パーセント上がっていき、その結果、税収も減っていて」困っているという説明は非常にわかりやすい(p.334)。その上で、金本位制のもとでは、デフレであれば金を買ってペーパーマネーを供給する、インフレになれば、金を売ってペーパーマネーを回収するというかたちで、実物資産オペが行われた。現在、金市場にそれだけのウェートがあるとは思えないので、やるのであれば、大量に売買しやすい、実物資産の裏付けがあって発行された株式が一番適当であろう」という論議もわかりやすい。だけど、当時の株式市場では1割アップという目標でもファンドマネージャーは誰も応募しないだろう、というのが問題だったという…。

 もう少し書くかもしれない。

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