『昭和の墓碑銘』新潮新書
『昭和の墓碑銘』新潮新書
今年は週刊新潮の創刊50周年記念ということで、いろんな企画の本が出されているが、これなんかは、そうしたもののうちでも、最優秀のものではないか。
意外な人物が取り上げられていてる、というのが第一印象だが、鳩山家の大ママ鳩山薫さん、近衛文麿夫人の近衛千代子さん、美智子妃の母親である正田美子さんなどの美しくも気品あふれる写真が印象的。
それと比べると、ノモンハンやガダルカナルなどで多くの日本兵を無駄死にさせた辻政信や、日米開戦時の嶋田海相、木戸日記の木戸幸一などのなんと品のないことか。
辻は何をトチ狂ったか国会議員となったが、元陸軍少将に「非人道的な虐殺事件の責任者で、捕虜の生き肝を食った男」と辞職勧告を突きつけられる。
嶋田は、海軍がウンと言わなければ東条が開戦に踏み切れなかったにもかかわらず"内乱が起こるかもしれない"と消極的な賛意でズルズルと開戦に同意し、サイパン島が落ちれば日本中が爆撃可能になって、その時点でアウトなのに放棄することを決定して、「東条を倒すにはつっかい棒の嶋田をはずせ」ということで辞任に追い込まれるというぶざまさ。
知らなかったのでは日本IBMの創始者ともいうべき水品浩氏。戦前、ホレリス式のIBM製計算機を輸入し、戦後、「日本ワトソン」のちの「日本アイ・ビー・エム」を創設し、昭和35年まで社長をつとめたのが水品氏だった。氏はIBMの創設者であるワトソン氏から、計算機の故障などの際のサービス技術を教えてもらい、日米開戦時には100台もの機械を日本でレンタルしていたという。
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