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March 07, 2006

『家族のゆくえ』

kazoku_no_yukue

『家族のゆくえ』吉本隆明、光文社

 書き下ろしだそうである。とはいっても、家族をめぐるテーマの短い文章を並べました、という印象。もうお歳だし、目も相当、弱っていると聞いているので、致し方ないところ。内容についても、これまで吉本さんが書いてきた家族論というか対幻想に関する文章の焼き直し感はいなめない。でも、それも致し方ないところ。というか「真偽がハッキリしないものをそこまで書いたらヤバいんじゃない」というようなことも、軽々と飛び越えているような感じ。例えば

 フェミニストたちは勘違いしているようだが「徳川時代以前のほうが女性優位だった面があり」「少なくとも、むかし母権制だったことがはっきりしているのは日本だけだとおもえる。これは一種日本に固有の特殊性と見ていいようだ」(p.139-)

 みたいなところ。

 あとは、少年少女期は遊ぶことが生活の全てである障害唯一の時期で、この理想が実現できなかったら、おどおどした成人ができあがる、みたいなところも新しいか(p.59)。埴谷雄高さんについての言及も久しぶり。「クモの巣のかかったような部屋に引きこもっていたって革命家は革命家なんだと、明言した。そこまで言い切った人はいない。世界中にひとりもいないといってよかった。社会主義政権をとっているところはたいてい後進国だ。『やる』ことが重要だと教えられている。埴谷さんは、クモの巣のかかった部屋でゴロゴロしていたって永久革命なんだと言い切った、考えることが大事なんだと断言したるそんなことをいったのは埴谷さんが世界で最初だとおもう」(p.50)あたりも、もう、晩年のケンカは忘れようということなのか。

 イエイツの「わたしはかつてないほどよく考え、計画をたてることができるのだが、計画し考えたことを実行するこがもはやできないのだ」と引用しているところは悲痛(p.164)。

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