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March 19, 2006

『深夜の告白』

double_indemnity

『深夜の告白』ビリー・ワイルダー監督

 『映画のなかのアメリカ』藤原帰一を読んで、思わず見直してしまった。監督はビリー・ワイルダー。しかし、ルビッチタッチのワイルダーではない。『地獄の英雄』などの怖いワイルダーだ。

 あまりにも有名な、隣で殺人が行われている場面でのアップになるバーバラ・スタンウィックの薄笑い。一刻も早く出なければならない場面で、なかなかかからないクルマのイグニッション!での盛り上げ方。もちろん、いつもながらの小道具もうまい使い方。フレッド・マクマレーが爪でマッチを擦って火をつける仕草。

 脚本はレイモンド・チャンドラー。いきなり、主人公のマクマレーが殺人をディクタフォン(事務用録音機)で告白する場面から始まる。刑事コロンボのような、あらかじめ犯人がわかっているというスタイル。脚本をめぐってワイルダーとチャンドラーは激しく対立したというが、この手法を考えたのはチャンドラーではないか。『レイモンド・チャンドラー語る』清水俊二訳、早川書房によると「(推理映画)ブームをつくったのが、正確な意味での推理映画とはいえませんが、『倍額保険』であることは疑いがありません」「謎と謎の解決は私の言う"マティニのなかのオリーブ"にすぎず、ほんとうにすぐれた推理小説とは、だれかが最後の章を引きちぎったことがわかっていても読みたくなるような作品です」(pp.182-183)と語っている。この『倍額保険』が『深夜の告白』の原題であるDouble Indemnity。

 ミクロス・ローザの音楽は、誰でも一度は聞いたことがあるスコアだろう。というかサスペンス映画音楽の基本。ジョン・サイツの撮影も含めて完璧な映画。

 改めてチャンドラーのセリフが素晴らしいと思ったので、原文も読むことにした。

 ぼくはビデオでしか持っていないけど、500円DVDでも売っているので、ぜひ。

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