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March 02, 2006

『福音書のラテン語テキストを読む』

latin

『福音書のラテン語テキストを読む』江澤増雄、サンパウロ

 ラテン語は少し知っていた方がいいというか、ラテン語の勘が働くと西洋哲学でも、西洋文学でも、あるいは映画などでも味わえる度合いがドーンと深くなると思う。たとえばビスコンティの『山猫』は「めでたし、聖寵満ち満てるマリア、主御身とともにまします」ではじまる天使祝詞を跪いて唱えているサリーナ公爵で始まるのだが、この冒頭のシーンを見て「何をブツブツ言ってんのかな」という感想では、ちょっと寂しい(まあ、正直にいえばぼくも人様から教えてもらって初めて「あ、そうだったの」と思ったのではありますが)。

 ま、とにかく「天使祝詞」のラテン語はAve Maria, gratia plena, Dominus tecumではじまり、これはルカ1:28のAve gratia plena, Dominus tecumからとられているんだけれども、こうした福音書の有名な句をアルファベット順に100個並べて、それぞれに文法的な解説を加えたのがこの本。

 けっこうラテン語の入門書なんかは探せばあるけど、よほどヒマでない限り「いまさらラテン語をやっても」ということで挫折するのがオチ。ならば外国詩を鑑賞するみたいに、こんな本でも枕元においといて、時々、読んでは「フーン『汝の敵を愛せ』は Diligite inimicros vestros なんか」「『野のユリ』ってのは完全なギリシア語の誤訳だけど、まあ、それはおいといて『野のユリのいかにして育つかを見よ、働くことなく、紡ぐことなし』は Considerate lilia agri quomodo crescunt, non laborant neque nent かぁ」などと感慨にふけることは可能だろう。

 ちなみに、個人的に一番カッコ良いラテン語は伝道の書の「空の空、空の空、すべては空なり」の Vanitas vanitatum, Vanitas vanitatum, et omnia Vanitas だと思う。

 ということで、やや抹香臭いのが玉に瑕だが、ラテン語でもちょっと囓ってみっか、というような場合には、いい本じゃないかと思った。

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Comments

サンパウロだからね〜。抹香臭いよねぇ。
わたしゃブルガタで該当個所探したりしてますです。

ローマ古典詩なんかのラテン語対訳集なんかもあるといいね。

Posted by: あんとに庵 | March 02, 2006 at 02:07 PM

確か岩波文庫でもチラッとラテン語原文のせてたようなのはあったんじゃないかと思うし、辞典みたいな『ギリシア、ラテン名言集』みたいなのは持ってるんすけど、もちっとちゃんとしたインターライナーっぽいのもあってもいいっすね。

Posted by: pata | March 02, 2006 at 04:08 PM

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