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February 10, 2006

『「長生き」が地球を滅ぼす』

motokawa_tiem

『「長生き」が地球を滅ぼす 現代人の時間とエネルギー』本川達雄、阪急コミュニケーションズ

 新作だと思ったら、『時間 生物の視点とヒトの生き方 』NHK出版の焼き直しというか、タイトルを変えただけの本だった。時々、こういうことをやる版元があるのも知っているが、うーん、本川さんは尊敬しているので残念というか、いかがなものかというか…。

 それはさておき、思いっきり内容をサマライズすると、生きている動物が感じている時間はエネルギーと代謝を考慮しなければならない、ということ。

 本川さんの時間論でユニークなのはキリスト教的時間論は、生物学的な体感的時間を無視したものであるとしている点。確かに、体重あたりのエネルギー消費量が最も高い子供時代は、時間の流れが速く感じ、減ってくる老人は遅く感じるというのは納得的だ(p.141-)。だいたいそれは2倍程度だという。小学校の授業が45分、大学が90分なのも理にかなっているというあたりは見事。

 『ゾウの時間・ネズミの時間』でどんな動物も一生に心臓は15億回打って止まり、一生に使うエネルギーは30億ジュールであるとし、サイズが大きくなればなるほど、心臓はゆっくり打つから寿命は長くなるとしていたが、その方程式によると人間の寿命は26.3歳。いまの日本のように平均寿命が80歳にもなってしまうのはナゼか、というのが本書の出発点だと思う。事実、日本人の平均寿命も室町時代ぐらいまでは33歳ぐらいだったらしい。これは非常に理にかなっている本川さんはいう。つまり、生物学的に生殖活動に参加できるようになるのはだいたい15歳で、その子がまた生殖活動に参加できるようになるまで育て上げるとだいたい寿命が来て死ぬ、と。

 しかし、人間は医療も含め大量にエネルギーを使うことによって、快適な生活を送れるようにして、寿命を延ばしている、と。だいたい40倍ぐらいのエネルギーを使っているらしい。

 本川さんは、現代人はニュートンによって始まった近代科学教徒で、科学を信じてお布施を出しておけば、やがてどんな問題も解決してくれるだろう、ということで、罪の意識を感じることなくエネルギーを使い放題に使ってきた、として、果たして本当に解決できるかと疑問を呈している(p.218-)。

『時間 生物の視点とヒトの生き方 』
東京は悲しいところ はじめに
第1章 動物の時間
第2章 動物のエネルギー消費
第3章 エネルギー問題を考える
第4章 現代人の時間
第5章 ヒトの寿命・現代人の寿命
第6章 老いを生きるヒント
天国のつくり方 おわりに


『「長生き」が地球を滅ぼす 現代人の時間とエネルギー』
プロローグ 東京は悲しいところ―ネズミなみの人口密度で暮らす異常さ
第1章 動物の時間―動物によって時間は異なる
第2章 動物のエネルギー消費―恐竜は意外に小食だった
第3章 エネルギー問題を考える―日本人はゾウなみのエネルギーを使う
第4章 現代人の時間―人はエネルギーを使って時間を早める
第5章 ヒトの寿命・現代人の寿命―縄文人の寿命は三〇歳
第6章 老いを生きるヒント―意味のある時間は次世代のために働くことによって生まれる
エピローグ 天国のつくり方―ナマコに学ぶ究極の省エネ
付録

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