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January 26, 2006

『外交を喧嘩にした男』

koizumi_diplomacy

『外交を喧嘩にした男 小泉外交2000日の真実』読売新聞政治部、新潮社

 タイトルはいかにも、という感じだが、読売新聞政治部が書いている。小泉政権の外交を日朝、日米、日中関係にわけて描いている。それぞれ新しく感じた情報を書いてみる。

[日朝関係]
 首相動向欄によると、小泉首相の最初の訪朝を前に、田中均アジア大洋州局長は27回も二人きりで会っている。しかも、月曜日と金曜日が8回。「原則として、週末にXと接触していたことを裏付ける」(p.19)。なるほどねぇ。

 このXは、日朝関係が冷え込んだため、「失脚説も取りざたされていたが、実際は逆に昇進を果たしたとされる」(p.53)。

 小泉首相の再訪朝がほぼ決まった時期に、福田官房長官が年金の未加入・未納問題を理由に辞任したが、背景には事前交渉でのモメ事があったという。再訪朝の時には飯島秘書官、山崎前幹事長、そして田中局長・福田長官という3元ルートで交渉が行われたという。結局、採用されたのは朝鮮総連と交渉した飯島秘書官とのルート。そして、このルートは最後まで誰にも明かされなかった。「これが政治というものだ」(p.63)と福田官房長官は語ったというが、もちろん、その後には入閣も断っている。

 田中局長の後を引き継いだ藪中局長と金との局長級会談では「横田さんの両親がどれほど心を痛めているか、分かっているのか」と声を荒げた藪中に対し、向こうの担当者は「それなら、私にも言い分がある。私の父は赤紙一枚で日本軍に連行されたんだ」と顔を真っ赤にして言い合ったという。ダメじゃん、こういうの(p.97)。

[日米関係]

 田中真紀子外相(あの人、外相だったんだな…)が川島次官とぶつかった時、小泉首相は官邸で胸襟を開いて話し合うように諭したが、田中外相は「純ちゃんは分かってるわ。川島のクビを切ってもいいって」とうれしそうにつぶやいたという(p.115)。

 米国同時テロの時、マスード司令官の死亡確認を最初に行ったアフガンでアメリカにも頼りにされた日本人外交官がいたというが、現役なので名前はあかせないという(.129)。

 キティホークが神奈川の横須賀から出航する際、自衛隊の艦隊が護衛したが、これに対して福田長官は「刺激的なことをするな」と激怒したというが、結局「海自が警護活動」とセンセーショナルに報道されてしまったという(p.135)。

 イージス艦は米国以外では日本とスペインしか保有していないが、売却に関してはアーミテージ副長官が尽力したという。そのイージス艦を派遣することはアーミテージに対する「鶴の恩返し」だったというが、最初は慎重だった日本政府に対しては「せっかくワールドカップに出場するのに、ナカタを連れて行かないようなものだ」と説得されたという(pp.142-144)。

 また、小泉首相はブッシュ大統領に対して、「横綱相撲」のたとえを使って、国連中心の国際協調を首脳会談で説いたという(p.150)。

さらに、福田長官は最初、自衛隊の派遣に慎重だったというが、それが一変したのは、国際テロ組織から届いた脅迫状。これを見て「これは自衛のための戦いだ」ということになったという(p.176)。ふーん。

[日中関係]

 江沢民が来日して小渕首相と会談した時、30分も日本の戦争責任を非難し続け、小渕首相はたち上がって深々と頭をさげたという。このときに同席した日本人側出席者は「戦後50年以上を経ても、一国の首相が首脳会談の席で、あれだけ面罵されなければならないとは…。正直、あまりの悔しさに涙が出た」(p.225)という。確かに、個人的な感覚でも、あの時の江沢民訪日以降、中国の対日非難は激しさを増し、それに日本側がもう応えなくなった、と感じる。

 小泉首相の靖国参拝が最悪の影響を与えたのは二回目の参拝だったという。それは海南島での首相会談で「中国は、2002年は首相が靖国を参拝しないと思い込んだ。日本は、8月15日を避けて参拝すれば、中国がさほど反発しないと楽観視していた。完全なボタンのかけ違いだった」という(p.242)。

 ま、こんなところで。

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