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January 02, 2006

『ホーキング、宇宙のすべてを語る』

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『ホーキング、宇宙のすべてを語る』スティーヴン・ホーキング (著), レナード・ムロディナウ (著), 佐藤 勝彦 (翻訳)

 05年夏に出ていたが、なんとなく読まないでいて、正月休みの時にでもこんなことをボーッと考えられればいいんじゃないということで、残しておいた本。

 世界的なベストセラーになった前作『ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで』の続編というか、訳者後書きがすべてを語っていると思うのだが、20年近くたって「宇宙論の研究分野が理論主導から大きく観測主導の時代となり、多くの新たな発見が行われた」ことを反映した内容となっている。宇宙背景放射探査衛星による探査結果とビックバンのインフレーション理論の一致、ハッブル望遠鏡の観測による不規則な銀河の浮かび上がり、137億年という「3けたの有効数字」となった宇宙の起源などがそれ(p.250)。また、超ひも理論の発展による十次元あるいは十一次元の世界観なども、すくなくとも「分かったような気にさせる」ぐらいには書かれている。

 もちろん物理原則は単なる仮説で、観測や実験結果を生き延びているもの、というシニカルで冷静な視点もきちんと書かれている(p.30)。「宇宙が膨張しているという発見は二十世紀の偉大な知的革命の一つでした」(p.97)というのも改めて指摘されると、なるほどなぁと感じるし、さらには宇宙の膨張は加速していて「誰もこれについてははっきりとは答えられません」(p.111)というのも、ひたすらなるほどなぁと思うばかり。

 あと、超新星爆発はどの銀河でも1世紀に1回の割合で起きていて、約200万年前の更新世と鮮新世の海洋生物の大量絶滅は、さそり座・ケンタウルス座連合体近くの星団で起きた超新星からの宇宙線によって引き起こされたという学説の紹介には、ただただあきれるばかりだし、次に超新星爆発を起す第一候補はカシオペア座のロー星だと特定できているというのも、いやはやと感心するばかり。しかも1万光年離れていて観測には安全だという(pp.135-)。また、お決まりのタイムマシン論議については「物理法則は巨視的な物体が過去へ情報を持っていくことを妨害するように働く」(p.190)という考え方も教えてもらった、という感じ(ブラックホールからの放射はミクロ的なレベルではタイムトラベル可能というあたりは頭真っ白になるが)。

 第11章「自然界の力と物理学の統一」は本書のヤマ場であり、最新情報満載のところだとは思うが、それを要約する能力はないので「ぜひ、読んでみてください」とお願いするしかない。できれば、生きている間に完全な統一理論が発見され、そのアウトラインだけでも理解できるような本を読みたいと思う。

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