『ラッセルのパラドクス』
『ラッセルのパラドクス―世界を読み換える哲学』三浦俊彦、岩波新書
論理学にはあまり興味が持てないでいた。元々、ぼくのアタマがそういった方向についていけないのかもしれない。スポーツで言えば、陸上競技というか、基礎的なアスリートの能力が問われる分野が論理学なのかもしれない。個人的には、そういった分野は苦手で、小手先でチョコチョコっと遊べる球技みたいなところしか興味がわかない。でも、ま、わりとわかりやすそうだったし、読むことにしたのがこの本。
でも、やっぱり苦手なものは苦手。ラッセルのパラドクスがどんなに当時、哲学界に深刻な問題を与えたかといわれても個人的には「なぞなぞ集」としか思えない。
「Rは『自分自身の要素でない集合』だと過程しても、『自分自身の要素である集合』だと仮定しも、過程とは反対の結果が出てしまう」と図で示されてもなぁ、という感じ(p.40)。もし、興味がある方はここのあたりを立ち読みしてしっくりくれば購入してみてはいかがか。
本質的には何もわかってはいないものの、数学を矛盾から救うためという構想で書かれた『プリンキピア・マテマティカ』はゲーデルやウィトゲンシュタインによって乗り越えられちゃったんでしょ、みたいな後知恵もあるもので、どうも最後まで乗れなかった。
それに、いくらラッセルが自分自身は1回しか哲学的立場を変えていないといっても、ヘーゲル主義を捨てたといいながら、最後になって「世界は関係でできている」というのは、精神現象学じゃないのな、と原書は読んでいないものの、シロートなりに思ってしまう。
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