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December 20, 2005

『博士の愛した数式』

hakase

『博士の愛した数式』小川洋子、新潮文庫

 泣けました。今年、何冊目かの小説。ほとんど小説は読めなくなっていたけど、マイブームになった藤原正彦さんと二人三脚で書いたであろう、ということで読んでみたのだが、想像以上に素晴らしい。

 映画化されて、80分しか記憶が持たない博士を世話する家政婦さんの役には深津絵理さんがキャスティングされたというが、これ以上、考えられないハマリ役になると思う。

 母子家庭に育って高校生の時に生んだ子を育てる家政婦さんとその息子「ルート(√)」が、博士の愛情に支えられて、かけがえのない日々を過ごす。そして三人を結ぶのは阪神タイガース。中でも、博士の記憶が止まってしまった時にエースだった江夏。

 江夏の背番号は28。28の約数を全部足すと28になる完全数。つまり28=1+2+4+7+14。

 こうした数字のマジックがいろいろ出てくる。家政婦さんの誕生日は2月20日。つまり220。博士が大学から学長賞をもらった番号が284。両方の約数を足すと、220は284になり、284は220になる。こうした関係の数字は友愛数という。

 数学という巨大な神殿の中で結ばれる三人の日々のなんと静かで美しいことか。

 にしても藤原正彦さんが最近出した『国家の品格』は立ち読みしたけどヒドイ。専門家が得たその専門に関する知識は、自分ひとりが努力して得た知識だが、それから外れると、世の中の流れからフワッと得たような知識に左右されてしまう。ハイデガーがナチにまいってしまったのもそんな理由。まあ、人間の悲しさみたいなものか。

 まあ、そんなことは置いておいて、『博士の愛した数式』はぼくなんかがほめる必要もないほどの素晴らしい作品です。

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Comments

お久しぶりです。
「国家の品格」、やはり読まれましたか。
僕も読みましたが・・・。「論理⇔情緒」「武士道精神」などは別に藤原さんではなく、その手の方に語らせておけばいいのでは。
今は「詭弁論理学」を読んでます。多弁に詭弁多し、というわけで。

Posted by: 元ABC六本木 | December 20, 2005 at 10:07 PM

お久しぶりです!お元気ですか?

で、藤原先生の御著書に関してなんすけど、武士道に関しては『武士道の逆襲』菅野覚明あたりを読んだ方が、いいと思いました。完全にクリスチャンとなった元武士たちが理想化した「明治武士道」を無批判に受け入れて、大絶賛している感じで。

まあ、専門分野以外で何か書くと赤っ恥をかくような見本ですよね。

Posted by: pata | December 21, 2005 at 08:14 AM

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Tracked on December 21, 2005 at 02:05 AM

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