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November 12, 2005

『サマワのいちばん暑い日』

samawa

『サマワのいちばん暑い日』宮嶋茂樹、都築事務所

 不肖・宮嶋の本は大好きだ。しかし、フランチャイズ書店にしている六本木ABCと不肖・宮嶋の本はなぜか相性がよくない。つか、ノンフィクションの棚の担当者と相性がよくないということなのか、とにかく、大分たってから「あれ新刊出てたんだ」と気がつき、あわててAmazonで買い求める、ということが多かった。先日、不肖・宮嶋氏のウェブサイトを知ったので、もうそんなことはなくなったのだが、この本はそのサイトで知って注文した一冊。題名通り、イラクのサマワで"人道支援活動"を行っている自衛隊の活動を追った記録だ。

 不肖・宮嶋はサマワで最初、ホテルに泊りパートタイムのボディガードを雇って活動していたが、やがて「週刊朝日のプレス・カードを持ったニィちゃん」と「劣化ウラン坊やNGOネェちゃん」が誘拐されたことを機に、イラク在住のジャーナリスト全員が駐屯地に保護されることになる。そして、ラジオ・プレスを除くメディアがクウェートに撤収する中、彼はどうにかセキュリティを確保して取材を続け、彼の「上官」である橋田信介氏との今生の別れをすることになる、というのがこの本だ。

 考えてみれば、彼が『ああ、堂々の自衛隊』でカンボジアPKOの自衛隊員を取材してから12年がたつ。当時はCanon T90がメインでミノルタ CLEをサブに使い、原稿や写真のやり取りは郵便を使うバッタカメラマンだったが、いまやCanon 1D Mark IIを主力にインマル担いでパソコン経由で写真を電送し、TV朝日の生中継で立ちレポまでするようなエース的存在になっている。

 そして、この本に収められている写真で一番感じたのは、自衛隊員のカッコがアカ抜けてきたということだろうか。迫撃砲かなんかが打ち込まれて、駐屯地内のコンテナに保護されることになった時、決して外には出るな、と伝えに来た自衛隊員のフリッツタイプのヘルメット、ミラータイプのサングラス、迷彩柄のマフラー型のマスクといういでたちはシブイ。アタマに白いタオルを巻いたみたいなカンボジアPKOの時の土方スタイルとは確実に違っている。カンボジアPKOの時の志願者は、まさか自分が海外展開するとは思ってもみなかった時に入隊したのだろうが、いまや、自衛隊員の志望動機のNo.1は国際貢献だという。そんな時代が一枚の写真、そして宮嶋の文章からも読み取れる。もっとも日本兵ということは「腰から吊した蚊取り線香」で十分、認識できるらしいがw。

 また、彼とは媒体も考え方も違うのに「上官」と慕っていた橋田信介氏との最後の時間は感動的だ。そして、この述懐もまた、真実なんだと思う。

「戦争がどうして人間を残酷にするか、今、私は実感した。
 犯人どもは、丸腰の61歳のジャーナリストを警告もなしに蜂の巣にし、辛うじて初弾を逃れた青年も撃ち殺した。もし犯人が目の前に現れ、人を殺しても罪に問われないという特権を与えられたなら、私は躊躇なく銃口を向け、引き金を引ける。その時、私はエゾシカを的にかけるほどの同情も哀れみも感じないだろう。
 イラクは、そういう奴らがゴマンと生息している国なのである。何がイスラムの大義だ。何が占領軍への徹底抗戦だ。こんな国は、援助どころか徹底的に破壊したいくらいである-それが、この日の正直な感想であった」(p.346)

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