『「脳」整理法』
『「脳」整理法』茂木健一郎
blogでも、本でも書きまくっている著者の本は、単行本では買う気が起きなかったが、新書になったので一冊、ヒマつぶしに買ってみた。
「むき出しの素材としての体験では足りず、『整理』されてはじめて立ち上がりうる『意味』は、私たちが世界の中で生きていくうえで大切な役割を果たしています」(p.12)
どっかで聞いたような話だな。
「人間という生命の躍動(エラン・ヴィタール)に結びついた、ダイナミックで能動的な情報の『整理』こそ志向し、問題にしたいのです」(p.19)
ベルグソンか…。elan vital。つか、小林秀雄の『感想』のパクリ?「直観」こそあまり出てこないけど…
この本で言いたかったのは、人間は「平均年齢は70歳」など統計的な「世界知」の世界に生きてはいるけど、「『今』を特別な存在とみなす『人間の時間』が、私たちの生活を支えています」(p.41)ということと、そして「ある程度規則があり、またある程度ランダムであるという人生における遇有性とは、実に味わい深いもので」「他者が全く予測不能ではなく、遇有的存在であるからこそ、私たちはお互いに心を惹かれあうのです」(p.64)ということなんだろうと思う。でも、それって、今さらって感じでしょ。やさしく書いてあるだけ。
論拠が何なのかわからないというより、そもそも本来の大きなテーマであるハズの心が脳という物質からどのように生み出されているか、というビッグ・クエスチョンに対しては何も答えていないと思う。風を感じたり、風景に感動したりする質感(クオリア)が大切だ、と言ってるだけ。
今後、この人の本はスルーできる、と確信したことが、この本を読んでの収穫。
つか、文系の業績に対してリスペクトなさすぎ。パクリ先じゃないの?と思うような「小林秀雄」賞を受賞したというのは冗談としか思えない…。
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