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September 11, 2005

『起業バカ』

incubation_fool

『起業バカ』渡辺仁、光文社

 他にもレビューしたい本はあるのだが、サクッと読んでしまって、いくつかの情報が面白かったこの本を取り上げる。

 とにかくタイトルがいい。思わず普段行かない書店で平積みされているのを見て手にとってしまった。さすがは、元編集者というか経済誌の経営者。

 とにかく雑誌と見紛うような表紙には「起業ブームに踊らされて、すべてを失うサラリーマン」「成功するのは1500人に1人」というサマライズが載っている。まあ、これが言いたいことの全てだろう。で、購入。

 起業ブームが起こったのは、中高年のリストラが大きな原因となっている、というのが著者の見方。いまさら、劣悪な労働条件では働けない、と感じたそれまで湯にドップリつかっていたサラリーマンが、乾坤一擲の勝負をかけても、成功するほど世の中甘くはない、というわけだ。しかも、ナニをトチ狂ったか、政府までも1円株式会社などで"応援"するのだからたまらない。04年度だけで517億円もの税金をつぎ込み、結局やっていることは自己破産起業家を大量増殖させているだけではないか、と批判する。中高年の自殺が増えるわけだ。

 デイトレーダーなども実はニートと変わりないんじゃないかと言われているけど、所々に挟まれる「クーリングオフなど通用しない起業の厳しい掟」などの警句はなかなか気が利いている。

 これから社会人となるような学生さんなどにも、起業というのがいかに資金繰りで苦労しているか、というか資金繰りこそ経営なのだ、ということを理解するためにも、格好の読み物だと思う。

 しかし、疑問なところもある。例えば、「これを起業本に入れるのはいかがなものか」とは思うフランチャイズの例を多く取り上げているところ。オンブに抱っこでマニュアル通りやれば一国一城の主となれると勘違いしてフランチャイズの加盟店となった人たちは、本部のドレイとなっていく、という姿を描いているわけだが、そもそも他人に頼るような人を起業家の例としてあげてもしょうがないんじゃないか、と思う。というか紙副を稼いでいるだけじゃないかとも思う。本人の失敗談も陳腐。

 でも、なかなか面白かった。

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