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August 12, 2005

『哲学の東北』北東北の旅#1

touhoku_no_tetsugaku

 ぼくの知り合いで、昼間は銀行マンだが、日曜日には牧師になる、という人間がいる。岩手に住んでいる。実に不思議な雰囲気を持っている人で、最初はちょっとなじめない部分もあった。なんていうか、ひょうひょうとしすぎて。しかし、ある時、分かった気がした。それは中沢新一さんの『哲学の東北』の中に、普段はサラリーマンをやっているが、自分で考える本職は修験者である、という人が紹介されていたのを読んでから。「あ、そっか」と。本職の方が、常に"前"に出ているんだ、と。

 そういうことがあってから、東北を別の目で見つめるようになっていったと思う。ということで、今回も休みを利用して、北東北を旅してみた。

wakitsubo

[8/6]

 お昼まで会社。夏休み前の最後の原稿を書き上げると、山口瞳さんではないがフッと体が軽くなる気がする。残って仕事している数人に「お先に」と地下鉄で東京駅へ。暑い。35度を越えてるな…。

 大丸地下のお弁当広場に直行。ここで何を喰うかな、とウロつくあたりから旅の気分を盛り上げていきたい。いろいろ熟考の結果、旨そうなネギトロ巻きをひとつ、それにアナゴと貝に煮詰めを塗った寿司を購入。もちろん、ビールとお酒も。今回はエビスビールと八海山。万全の体制だ。

 発車まで少し時間があったので待合室へ。若い夫婦が子供を連れて、田舎の両親に顔を見せに行かなきゃいけないんだけど、子供だけが元気で…みたいな風景があちこちで広がっている。自分はこうしたシチュエーションを経験することはないんだろうな、と思いつつ見ている。

 ハヤテ15号は全席指定で満席。ということでガラにもなくグリーン車。車内を見回すとけっこう空席があるのに、二人がけの隣にもう座っている大きな男がいる。うーん、暑そうだな…としばし悩んで、空いているところに座る。しかし、やっぱりこの時期は満席なんだろうな。大宮で満席となり、追い出される形で自分の席へ。

 アテンダントというのか、女性がいろいろサービスしてくれるのだが、オシボリサービスが復活したのは嬉しい。これって、一時、なぜかやめていたサービスのハズ。でも「なんでやめたんだ!」と抗議炸裂で復活したんだろう。特に夏には嬉しいよね。ウーロン茶なんかも出してくれるし。

 ビール1本でネギトロをやっつけ、八海山でアナゴと貝にとりかかる。旨まぁ。しかし、この時期、進行方向右(つまりAB)でなければツライね、直射日光が。最初はCDの方に(つまり進行方向左)座っていたのだが、アチチ状態だった。

 それにしても東北新幹線と上越新幹線はすごい。一気に仙台、盛岡が発展したもんなぁ。盛岡なんか、昔は青森の方が発展していたぐらいなのに、いまじゃ、すごいもんな。なぜか田中角栄のことを想う。道路公団改革、郵政民営化ともに旧田中派の資金源を狙い撃ちにしたものだ。旧田中派にしてみれば、兵糧攻めにあっているようなもの。そして、その怨念は"角福戦争"にさかのぼるといわれる。その怨念が前に出すぎたので、今回の郵政民営化が否決されそうになっているんだと思う。随分前から可決後、8月15日に靖国参拝して内閣総辞職、というシナリオがささやかれていたが、そうした花道も飾れないとしたら…などとつまらぬことを考えているうちに大きな川を何本も渡る。川をわたるたびに東北が近づいてくる感じ。やがて山々も遠くに見え始める。

 おいらはこうした旅を楽しんでいるのかな。それとも、どっかで気がせいているだけなのかななどと考えているうちに、もう盛岡についてしまうのだから、最近の新幹線は速い。新花巻まではひと駅バック。

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 新花巻も暑かったが、風景が澄んでいる印象。駅前のタクシー乗り場は、大型と中型で別々だが、ある魂胆があるので大型へ。それは、たぶんヒマだろうから、ずっと待っててもらおう、みたいなことをお願いしやすいのではないかと思ったからだ。はたして、宮沢賢治記念館に行っている間、ずっと待ってくれるという。ありがたい。5時閉館なので見てまわれるのは1時間。展示物よりも、記念館が囲まれる森の方が素晴らしかった。ツクツクホウシが鳴いている森というのはええなぁ、と。展示物では自筆原稿がいっぱいあって興味深い。大きな丸い、勢いのある字だった。イーハトブの人たちは賢治を本当に愛しているんだな、と思う。本当は喫茶コーナーで森を見ながらコーヒーでも飲みたかったのだが、時間もないのでひきあげる。

 一時間あまり見学した後、賢治命名のイギリス海岸へ。いや、マジ、ここいいっすよ。遠くに早池峰が見える開けた川。ターナーの絵に出てきそうな風景が広がる。向こうには山口瞳さんが『酔いどれ紀行』で描いたことのあるような鉄橋が見える。もう一度来たい。普通にそう思った。
shumiya

 後はひた走りに走って花巻温泉へ。台の湯という古い旅館。

 花巻温泉のさらに奥にあるのが台温泉。そこで築200年の老舗が台の湯「炭屋」。なんかこじんまりとして、アンティークでイイ感じ。しかし、風呂がすごかった。なにせ源泉は93度という熱さ。水で薄めて入っても熱い熱い。ほんの数十秒つかっただけで飛び出してしまう。それでも、ヒザのうらの柔らかいところがヤケドしたように痛かった。

 食事は部屋でとるタイプ。ご飯が端境期なのにウマイ。「保存方法が進化したのと、水がいいんだと思います」とのこと。マジでここで新米を喰いたい。後はホロホロ鳥が旨かったかな。白金豚という、これも賢治命名の豚もイイ感じ。特に脂身がいい。と思いつつ夜7時からはサッカーの代表の試合を見ようと思ったのだが女子だった…。

 メシも喰ったので日本酒を飲みつつインターネットでも、と思ったがH"つながらず。FOMAはかろうじてつながる。FOMA恐るべし。ただし「つながるようになったのは最近ですけど」とのこと。

 こんな時は、寝ちまうのに限るということで『スターリングラード』を読みながら熟睡。
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Comments

台温泉には私も泊まったことありますよ~。
確か、今頃はホタルが見られたはず。

Posted by: taseko3 | August 12, 2005 at 09:01 PM

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