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July 01, 2005

『世にも美しい数学入門』

mathematic

『世にも美しい数学入門』藤原正彦、小川洋子、ちくまプリマー新書

 事故で記憶に障害を負い、80分しか記憶が持続しない天才老数学者が、彼の世話をすることとなった通いの家政婦の「私」それに阪神タイガースファンの息子・ルートに、世界が驚きと喜びに満ちていることを「友愛数」で説明してくれる、という小説『博士の愛した数式』を書いた小川さんと、元ネタを提供した藤原正彦の対談。

 ノーベル賞に数学部門がないのは、もし数学賞をつくったらノーベルの恋敵のミッタク・レフラーが獲ってしまうので、それを阻止するためだった(p.28)みたいなゴシップから、毎朝6個ずつ新しい定理を発見して、自分をインドから呼んでくれた英国の数学者の元に報告したというインドの天才バラモンであるラマヌジャンの話なんかは驚きに満ちている(pp.38-)。ということでラマヌジャンの件だけで藤原先生の『心は孤独な数学者』も購入してしまったほど。そして整数を使った美しい定理の数々もいちいち納得させられる(写真)。

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 そしてフェルマーの定理を解くにあたってアンドリュー・ワイルズは「谷山=志村予想」の証明を通して行い、最終的には岩澤理論を使って難関を突破して、350年間、誰も解けなかった問題を解いたというあたりは「よく、日本人に独創性がないなんて批判する変な評論家とか学者がいますけど、まあ、そういうことをいう人の独創性がないことはわかりますけれども(笑)日本人というのは、ほんとうにすごい独創性、美的感受性を持っているですね。欧米の国々は日本が猿真似国家だとか言って自信を失わせようとする。ライバルに対しては、戦略上、相手の自信をなくさせるのが一番効果的ですから」(p.83)なんて感じで良い気分にはさせてくれる。

 あと縦軸に虚数、横軸に実数を置いた座標軸で3+5iなどの複素数(実数と虚数とで構成されている数)を表したガウス平面で、「なんなんだろうな」と思っていた虚数の"感じ"がつかめたのは嬉しい(p.117-118)。理系の世界は30年前に振り切られているような人間にとっては驚きに満ちた素晴らしい本だった。

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