『和田の130キロ台はなぜ打ちにくいか』
『和田の130キロ台はなぜ打ちにくいか』佐野真、講談社
新書はワンイシュー。しかし、ここまでワンイシューでいいんでしょうか、みたいな本だが、ホークスの和田には興味があったので購入。
野球では子供の頃からピッチャーをやってきたというか基本的にピッチャー以外をやったことがない。入ったのが硬式野球部のない高校だったといのは、かなり自分の人生を狂わせた原因のひとつではないかと思うのだが、その後も草野球で投げている。まあ、その程度の経験ではあるけれど、好きなピッチャーが現れると、美術品でも鑑賞するような気分で見ることにしている。
ホークスの和田は学生時代からヘンなピッチャーだなと思っていた。江川の奪三振記録を抜いたにもかかわらず、まったく豪腕タイプではない。六大学のレベルが落ちたのかな、とも思うが、それにしても奪三振率はすごい。美しい投球フォームから1試合に23個の三振を獲ったこともある西崎幸広のようなタイプともちょっと違う。西崎はスライダーのキレで三振を獲っていたが、和田はストレートを空振りさせるタイプ。
この本の結論を書いてしまえば、三振を多くとれる秘訣はボールの回転数の多さだろう、としている。だろう、と書いたのは、実際にボールの回転数を計っていないから。こんなんでよく講談社の編集が出させたとアキレてしまうが、まあ、ほかに面白いところがあるのでやや許す。初速と終速の差が、松阪クラスで7~8キロあるのに対し、和田は4~5キロしかないという。ということで、キャッチャーのミットに収まるまでの回転数は40回転ぐらいに達しているだろう、としている。
ここらへんをNHKあたりで実験してくれないかな、と思う。
個人的にはボールの回転数もあるけど、やっぱりボール隠しのフォーム(ずっと打者から見て、グラブがボールを握っている手を隠している)と、バックスイングの小ささではないかと思っているのだが。
野球のワールドカップはプロ野球選手会の反対で開催が危ぶまれてはいるが、もし、決勝で投げさせるのだったら、やはり和田ではないだろうか。それほど打ちにくいピッチャーだと思う。
あと、グラブを親指で押さえ込むような方法で閉じているという話は初めてきいた(pp.74-75)。これはさつそく試してみるつもりw。
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