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May 24, 2005

『日本文明77の鍵』

japan77

『日本文明77の鍵』梅棹忠夫、文春新書

 前書きによると、日本でホテル事業者の世界的な大会が開かれた1983年に、大阪のホテルプラザの社長が「世界のホテルマンに日本をよく知って貰いたい」ということで、梅棹先生に相談、77のキーワードを選んで5人の若手の学者さんたちがサクッとまとめた本を英語版で配ったというのがこの本の成り立ち。評判が評判を呼び、日本語版も出され、その後さらに改訂版も出されたが、今度は新書として登場した。

 京大の先生というのは、こういうのを相談されやすい雰囲気って持っていると思う。「先斗町でも京大の先生たちは特別料金で飲めるらしい。うらやましい限り」というのを千葉大の先生から聞いたことがあるが、なんか街ぐるみで、学者さんたちを囲っているというか世話している感じもして、いい話だと思う。

 ということだが、短時間で、しかも学術論文ではないので引用などはフリーにやって、必ずしも証明されにくいことも勢いで書いている性格の本だからこその発見に満ちている。というか研究室で話されているようなことを、一般の読者向けにわかりやすく書いてくれているから、面白いったらありゃしない。

 例えば、天皇の三種の神器(鏡、剣、玉)が石器、青銅器、鉄器時代を象徴しているという話(p.52)や、同じ「金属器」というキーワードのところで、日本など中国の周辺諸国である時期に青銅器が大量に出るのは、中国が一足先に鉄器時代に入って青銅に余剰が生じたためとか(p.50)。「古代、都市は神殿であった」という梅棹仮説で三内丸山遺跡を説明しているところ(pp.37-40)。日本のもっとも影響を受けた文明受容は古代中国と16世紀のスペイン、ポルトガルとの接触、それに明治維新における西欧近代文明だったとか、徳川幕藩体制が壊れる直接的なキッカケは開国するかどうかの判断があまりにも重要な決定であったために、雄藩に意見を求めたことにあるとか(これ以降『発言権』が『既得権』となり、幕府の要職にある者だけでなく合議で決めるべきと考えられるようになった p.189)。

あと「1480年から1941年までの460年間に世界各国が対面した戦争の回数は以下の通りである。イギリス78回、フランス71回、スペイン64回、ロシア61回、オーストリア52回、イタリア25回、ドイツ23回、アメリカ合衆国13回。そして日本は9回であった。いかにヨーロッパ文明が戦争とともに発達した文明であるか理解できよう」(p.193)なんていう紹介もうれしい。

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Comments

初めまして。RX5と申します。
 詳しい書評で、記事内容にも共感いたしましたので、TBさせていただきました。

Posted by: RX5 | June 30, 2005 at 05:37 PM

TBありがとうございました。 「農と自然」のエントリー、面白いです!

Posted by: pata | June 30, 2005 at 07:03 PM

レスありがとうございます。
書評の方、これからも読ませて頂きます。

「農と自然」、わりと好評のようですので、これからも、興味を持って頂けるような話題で書いていきたいと思います。よろしくお願いします。

Posted by: RX5 | July 01, 2005 at 12:08 PM

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文春新書 梅棹 忠夫 (編集)  本書は、外国人向けに日本を理解してもらうために書いた英文が元になっており、「日本文明を、その歴史的奥行きの中から理解させるような書物を・・・」という目的で、1985年に日本語版がつくられた。その後の世の中の変化や新たな知見を踏まえて若干加筆され、今年、再版された。  77の話題(切り口)は、日本人ならば、いずれもそれなりに知っている項目であるものの、改めて読んでみると「なるほどそう言うことか」とか、「えっ?誤解してた」と言うような発見があって面白い。  5人の... [Read More]

Tracked on June 30, 2005 at 05:32 PM

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