革命無罪から愛国無罪への転落
中国の反日デモの報道を見ていて、唖然としたことがある。それは集まった学生、季節労働者、子供(!)などが「愛国無罪」を叫んでいたというところだ。
これは文革の際に使われた「造反有理、革命無罪」をもじったものだ。確か、1920年代の農民運動の際にも使われていたと思うが、そこからパクッたにせよ、さすが毛沢東らしい、内容はないけどタンカの切れだけは素晴らしい檄文の傑作だと思う。
文革当時の中国が今の北朝鮮並の民度であったとして、金親子よりは、文章のキレの才能だけはあった毛沢東が紅衛兵をあやつるために発した檄文は、さすがにパワーがあるといわざるを得ない。そして、そのパワーが今でも影響力を持っているわけだ。北朝鮮の親子が発したいかなる言葉も、30年後に大衆運動のパワーとはなり得ないと思うので、その点だけは、たいしたものだとは思う。
もっとも、それが今もってかの国の順法精神のなさ、武力でなければ統制できない国民性というものを生んでしまったことも事実で、毛沢東も紅衛兵の子供や孫たちが「愛国無罪」を叫んで日本大使館に卵を投げつけている姿を見て草場の陰で号泣しているに違いない。
まあ、毛沢東なんていうのは、日本共産党に影響力を行使していたときには「反米愛国」を唱えさせていたわけで、結局のところパワーポリティクスしか信じないなんでもアリの一見哲人風政治屋だったということで、つくづくスターリンと毛沢東はロシアマルクス主義が生んだ最悪の双子だと思う。
そして、マルクスのこの言葉を思い出す。「歴史は二度繰り返す。 一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」 『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』。元ネタのヘーゲルも含めて実に正しいなぁ、と。
[追記]
マルクスの引用は正確には「ヘーゲルはどこかでのべている、すべての世界史的な大事件や大人物はいわば二度あらわれるものだ、と。一度目は悲劇として、二度目は茶番として」です。
そしてマルクスが引用した箇所はヘーゲルの歴史哲学講義の中にありますが、いわば「自由な引用」にあたりまして、かなりニュアンスは違ってきます。長谷川宏訳で引用しますと、「そもそも国家の大変革というものは、それが二度くりかえされるとき、いわば、人びとに正しいものとして公認されるようになるのです。ナポレオンが二度敗北したり、ブルボン家が二度追放されたりしたのも、その例です。最初はたんなる偶然ないし可能性と思えたいたことが、くりかえされることによって、たしかな現実となるのです」(下巻p151-152)。
どちらも岩波文庫から。
[追記2]
小泉首相がメルマガで今回の件について「週末、中国で、一部のデモ隊が日本大使館や日系企業の店舗などに投石して、窓ガラスが壊されるなどの被害が出ました。中国で活躍している日本人の安全確保については中国側に責任がありますから、よく自覚していただかないといけません。再発防止に全力を尽くすよう申し入れました」とすかさず書いてきた。
テレビでの同じようなコメントに対するリアクションがすこぶるいいのだろう。
山拓じゃアンチ山拓の女性票で潰されるだろ…そうなるとまた政局の目が…なんて思っていた。もしかして補選で2敗もあるんじゃないかと思ったけど、こうなると逆に民主党が2敗の可能性も出てきた。
こんなラッキーが続く首相は今までいなかったよな…。
[追記3]
選勝利「良かった」 首相、山崎氏に助言期待
小泉純一郎首相は24日夜、衆院統一補選で2議席を獲得した自民党の勝利について
「良かった、良かった。本当に良かった。2つとも民主党の議席だったからね」と
東京・品川区の首相公邸で記者団に語った。
これに先立ち首相は羽田空港内で、福岡2区で盟友の山崎拓首相補佐官が返り咲いた
ことについて「何でも相談できるから心強い。山崎氏は外交も内政も全般的に経験が
豊富だから、いろいろな面で良い助言なり活躍を期待したい」と記者団に述べた。
首相は自民党との協議が大詰めを迎えている郵政民営化問題について「なかなか
難しいようだが、今月中には法案を提出する。それはもう変わらない」と強調、
28日までに法案を閣議決定し、提出する考えをあらためて示した。
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2005042401004112
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