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March 11, 2005

"商事部"が堀江社長の訴え認める

 専門外なのであまり詳しくはないのだが、東京地裁の民事8部は通称"商事部"と呼ばれ、全ての地裁の中で最高のステータスを持っているらしい。

 東京に本社を置く大企業同士のトラブルを専門的に扱っているため、所属するのは優秀な裁判官。大企業同士がトラブルに毛を逆立てて生きるか死ぬかの訴訟を裁くわけだから。

 ライブドアの仮処分申請を担当していた西岡清一郎部長は、例えばヤマト運輸が郵政公社を相手どった訴訟も担当している。エース中のエースともいわれている。この人の裁判記録とか手に入る人は一度読んだら面白いと思うのだが、とにかく大企業に雇われた”敏腕”と呼ばれる弁護士たちを小馬鹿にしまくって裁判を進める姿は痛快すぎる。高いカネで雇われていた弁護士が、一気に評判を落とすこともあるらしい。上には上がいるもんだ、とつくづく思ったりもする。

 まあ、上級審でどうなるかわからないが、"商事部"がライブドアの仮処分申請を認めて、新株予約権発行を差し止めたのは小さくない出来事だと思う。

 あまり、興味はない話題だったが(見方を変えれば単なる退屈な買収劇だし)、堀江社長がエンタメ系のフジサンケイグループの中で産経新聞が妙なオピニオン紙になっているのはおかしい、みたいな発言をしていて、そこからちょっと変わった。

 サンケイは夕刊をやめたので、本当にそろそろ経済紙に戻る潮時なんじゃなかいかと思うし(同グループのビジネス・アイは総合経済紙の中では最も退屈な新聞だ)。

 ちなみに、ぼくは一回もサイケイ新聞は買ったことはありません。今後も買うつもりはありません。堀江社長が経済紙にしたら買います。

[追記]

 ここに載ってる決定要旨は、実に面白い。論理的な文章というのは、こういうもんなんだろうな。

「ニッポン放送の新株予約権発行の差し止めを認めた東京地裁決定」

 1 特に有利な条件による新株予約権の発行といえるか

 新株予約権の有利発行に当たるかどうかは、オプション評価理論に基づいて算出された新株予約権の発行時点における価額(公正な発行価格)と取締役会において決定された発行価額とを比較して判断することになる。本件発行価額の算出方法について明らかに不合理な点は認められないから、本件新株予約権の発行が特に有利な条件による発行であるとまでいうことはできない。

 2 著しく不公正な方法による新株予約権発行といえるか

 不公正発行とは、不当な目的を達成する手段として新株予約権発行が利用される場合をいう。株式会社においてその支配権につき争いがあり、従来の株主の持ち株比率に重大な影響を及ぼすような数の新株予約権が発行され、それが第三者に割り当てられる場合に、その新株予約権発行が支配権を争う特定の株主の持ち株比率を低下させ、現経営陣の支配権を維持することを主要な目的としてされたものであるときは、会社ひいては株主全体の利益の保護という観点からその新株予約権発行を正当化する特段の事情がない限り、不当な目的を達成する手段として新株予約権発行が利用される場合に当たるというべきである。

 ニッポン放送による新株予約権の発行は現在の取締役の地位保全を主たる目的とするものということはできないが、現経営陣と同様にフジサンケイグループに属する経営陣による支配権の維持を目的とするものであり、なお現経営陣の支配権を維持することを主たる目的とするものというべきである。

 これに対し、ニッポン放送は、本件新株予約権の発行は、ニッポン放送の企業価値の毀損(きそん)を防ぎ、企業価値を維持・向上させ、また放送の公共性を確保するために行ったものであり、本件新株予約権の発行は正当なものであると主張している。

 特定の株主の支配権取得により、かかる利益が毀損される場合には、これを防止することを目的としてそのために相当な手段をとることが許される場合があるというべきであるが、現経営陣の支配権の維持を主たる目的とする新株予約権の発行が原則として許されないことからすると、企業価値の毀損防止のための手段としての新株予約権の発行を正当化する特段の事情があるというためには、特定の株主の支配権取得により企業価値が著しく毀損されることが明らかであることを要すると解すべきである。

 そして本件では、ライブドアの支配権取得によりニッポン放送の企業価値が著しく毀損されることが明らかであるとまでは認められない。

 また、ニッポン放送は、ライブドアが証券取引法に違反してニッポン放送の株式を取得しており、その防衛として本件新株予約権を発行した旨を主張するが、ライブドアが証券取引法に違反していると認めることもできない。

 したがって、本件新株予約権の発行は、著しく不公正な方法による新株予約権発行であると認められる。

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Comments

ホリエモンが一番エンターテイナーだと思う。面白いっすね。

Posted by: やん太 | March 12, 2005 at 04:37 PM

広島にいく日の朝、キオスクで立ちすくんじゃいました。
サンケイは除くとして、どの新聞が中立的に物事をとらえて、判りやすく書いてくれてるのか、普段文章を読みこなしてないツケがこういうところにまわってきますね。
結局、迷う時間がなかったし、日経は会社で購読していることもあって東京新聞にしてしまいました。

ビジネス・アイはよく購読のおねがいが会社にポスティングされてきます。
サンプルも入ってたりして。「とってみます?」とお伺いをたてたところ、速攻NOだったので、ウチの会社も取りません。

Posted by: PINA | March 15, 2005 at 09:48 AM

49%いったみたいですね
フジは脇が甘かったということなんでしょうな
あの日枝だという会長は取締役会でクーデターを起して実権を把握したぐらいだから、攻めには強いかもしれないけど、守りには弱いのかも。逆に、ライブドアの株を時間外取引で買うとか攻めに転じたら面白いのに。

Posted by: pata | March 16, 2005 at 02:22 PM

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