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December 23, 2004

『古文書返却の旅』

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『古文書返却の旅 戦後歴史学の一齣』網野善彦、中公新書

 ネグリ『ヨブ』に関しては書きたいんだけど、時間がとれない。ということで、書けるものから…。

 網野さんの学者人生において、漁村から集められた膨大な古文書の整理と、その返却の旅は、自身の学問をより強固なものにしていく裏打ちのようなものだったに違いない。03/04シーズンに網野さん関係の本は20冊近く読んだが、その中で、さかんに語っていた、日共時代に学会で行った観念的な発表というものが、霞ヶ浦を入り合いの湖として管理していた「霞ヶ浦四十八津」が、水戸城主の定めに抵抗していたという文書を、「他の調査で採訪された多くの文書を十分に調べもせずに『軍事基地設定に抵抗する人民』にイメージを重ねた『物語』をつくりあげ」たものだということをこの本で初めて知った(p.17-18)。

 あと、他の本でも何回か書いているが、佐渡で丁寧な「境迎え」を受けた際に、「長旅でズボンの尻がやぶれた上に、私はボール紙に革のごときものをはりつけた粗悪なカバンを持っていたが、『お持ちしましょう』と丁寧に言われ、恥ずかしく、恐縮するのみだった」(p.154)というのは、昭和30年代までの日本で背広を着て旅をしなければならなかった人の悲しみが良く出ていると思う。

 ニュースフィルムや文章だけでしか知らないが、当時は座席も悪いし、背広も一張羅しか持っていない人が多かったせいか、日本のサラリーマンは、長距離列車に乗ると、ズボンを脱ぎ、ステテコ姿になって座っていたという。その理由というのが、前まではシワになるのがイヤだったんだろうぐらいに思っていたのだが、より具体的に、穴があくのを防ぐためでもあったんだろうな、と感じた次第。

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