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November 20, 2004

『里の国の中世』

『里の国の中世―常陸・北下総の歴史世界』網野善彦、平凡社ライブラリー

 今年2月にお亡くなりになった後、9月に出た本。傑作『海と列島の中世』を思いおこす題名に期待はしたが、まあ、なんといいますか、そこそこ。

 なんでかというと、これは1986年に刊行された『茨城県史 中世編』(通史)の中から、網野先生の執筆部分をまとめたものだから。それにしても、水戸学の水脈が息づいているんだろうか、茨城には。県史の、ある部分とはいえ網野先生に委託するとはおごっている。生糸で有名な土地にある高校が、制服のデザインをゴルチエに頼むようなもんだ(うまくない喩えかもしれんが)。

 ざっくりとした印象を語らせてもらえば、『蒙古襲来』以来の網野史観で東国の歴史を語りつつ、平忠常の乱と奥羽の大乱、保元・平治の乱、承久の乱などの政治的なトピックスがあったときに、常陸・下総の武士たちがどのような活躍をしたのかに話を戻す、みたいな印象。いちいち常陸・下総に話を戻すから、多少まどろっこしい。もちろん委託先からしてみれば、そこに話をもっていってもらわなけば、高いカネ(?)を払った意味がないのでしょうがないかもしれないが。

 「常陸・下総の歴史イノチ」というヒトからみれば、それは面白いかもしれないが、まあ、正直、詳しく語られてもあまり興味はもてない。しかし、最後の方になって、北条得宗家が、どんどん、常陸・下総で気に喰わない勢力を取り潰していって、いつの間にか、一番よさそうなところは所領にしていた、というくだりは素晴らしかった。図を大事にしていた方だから、p.79の佐竹氏優勢の勢力図からp.243図の北条氏優勢の図をみれば、この間の歴史の激しさがよくわかるようにはなっている。

 ぼくは日本史に関してはまったく素人なので、間違った認識で勝手に思っていることなのかもしれないが、いつか佐竹氏のことは調べてみたいと思っている。奥州最大の戦いといわれた二万三千の伊達vs一万六千の芦名方を中心とした佐竹、芦名連合が戦った1587年の摺上原(すりあげはら)の合戦などは、地味かもしれないが、大河ドラマ級とまではいわないにしても、東京12chの12時間時代劇級(まだやっているのかな…)の出来事だと思っているので…。
satononakano_chusei.bmp

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