« 東京B級グルメ#86「三州屋」 | Main | 東京B級グルメ#87「麺屋武蔵」 »

October 26, 2004

『続・ウィーン愛憎』

『続・ウィーン愛憎 ヨーロッパ、家族、そして私』中島義道、中公新書1770

 14年前に出た『ウィーン愛憎』の続編。

 『ウィーン愛憎』はよかった。何回も大学院や博士課程をやり直すという日本での生活の見切りをつけ、私費留学生という不安定な立場に自らを追い込み、博士論文を提出し、結婚して帰国する、という一見、サクセスストーリーのような流れだが、その中にはウィーンで知り合って結婚した奥さんが初めて妊娠した子供を流してしまい、ふたりでその子を埋めに行く話などが入る。徹底的に非効率なヨーロッパとの孤独な戦いなど、「ギドー先生ようやるわ」と陰惨な中にもユーモラスなものを感じる部分もあったが、とにかく重かった。そして、素晴らしい本だったが、この続編は家族の崩壊がテーマ。

 もう2年ぐらい中島義道さんの本は読んでいないのだが(マンネリでしょ…)、その最後に読んだあたりの本で、奥さんと息子さんと決定的な対立をやらかしてしまい、事実上の家族崩壊状態になっていることが報告されていた。その経緯がここには書かれているが、まあ、それも読んでいただければわかるとおり「ギドー先生ようやるわ」というようなもの。

 タブーとされていたものというか、あまり大っぴらに語られていなかったことがアッケラカンと書かれているところがあるとすれば「日本の人文系では、ドイツ語圏のドクターの評価はあまり高くはありません。わが国の修士論文に毛が生えた程度という正しい評価を下しています」(p.142)というあたりか(つか、日本の人文系では博士号出さなさすぎたという背景もあって、獲り易いドイツ留学を選ぶケースが少なくなかったらしいのだが)。

 後は、ヨーロッパ中心主義への反省からか、文化的多元主義がもてはやされ、私費留学時代には歯牙にもかけられていなかったヤパノロギーの研究が進んでいる状況に対して、そうした動きこそがヨーロッパ中心主義の最終形態であり「非ヨーロッパにも似たような精神活動があるはずだというにすぎず、とすると、相互文化哲学は、じつは"Euroexpansionismus"(ヨーロッパ拡張主義)と言ってもいいものなのだ」(p.158)というのは、いい指摘だと思った。

 義道先生に興味のある方は以下のがお勧め。『哲学の教科書』講談社学術文庫、『人生を"半分"降りる―哲学的生き方のすすめ』新潮OH!文庫、『ウィーン愛憎―ヨーロッパ精神との格闘』中公新書、『ひとを“嫌う”ということ』角川文庫(並びはお勧め順)。
viena_aizou_zoku.jpg

|

« 東京B級グルメ#86「三州屋」 | Main | 東京B級グルメ#87「麺屋武蔵」 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/1780024

Listed below are links to weblogs that reference 『続・ウィーン愛憎』:

« 東京B級グルメ#86「三州屋」 | Main | 東京B級グルメ#87「麺屋武蔵」 »