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October 24, 2004

『私の田中角栄日記』佐藤昭子、新潮社

『私の田中角栄日記』佐藤昭子、新潮社
 『熱情』を読んでしまった故のマイブームにより、マーケットプレイスから単行本を購入。故児玉隆也による「悲しき越山会の女王」というニックネームが有名になった田中角栄の政治団体「越山会」の金庫番、佐藤昭さんによる角栄回顧録。

 不思議に思ったのは『熱情―田中角栄をとりこにした芸者』を読んだ後だったので、果たして日記という形式が本当に成立していたのか、ということ。というのも『熱情』において「炭管事件のとき、おとうさんが、今後またこういうことがあった場合にいけないからと、二人で写した写真、領収書、その他メモ類まで、いっさいを燃やしてしまいました。そして、以後は日記も書いてはいけないと言われていました」(p.153)と書かれているからだ。角栄が再び疑獄事件による逮捕、拘留を恐れていたなら、もっと大変な立場の佐藤昭さんに、日記など書かせることは許さなかったハズだと思うのだが…。しかも、辻さんと同じように子供まで生ませている仲なんだから…(しかし、なんつう男だ…)。

 本文中にロッキード事件で取り調べを受けた際、越山会に3000万円の入金があったことが貯金通帳には記入されているが、台帳には載っていないことをいきなり聞かれた際、「それは確か、別の団体に入れる金を私が間違えて銀行の通帳に入金したものです。すぐに返しましたので、その団体から領収書が出ているはずですよ」(p.153)と自分の抜群の記憶力を誇って書いているの。それだけの記憶力があるのなら、備忘録程度で後で再構成して書けるかもしれないし、とにかく日記が本当にあるのか、ますますわからなくなった。というか、もし本当に佐藤昭日記があれば、政治学者が死後、放っておかないだろう。

 人物評では、特に面白いものはなかったが、近しいだけに愛憎が深いのか、早坂秘書、眞紀子さんに対する憎しみの感情は、かなりストレートに書かれている。中国政府が「一ヶ月で元通りにする」ということで寄こした漢方によるリハビリ団を眞紀子さんが追い返したことなどは初耳。田中派の議員たちが、認知されている京さんを使って角栄を拉致して、別な病院でリハビリさせようというようなこともほのめかされている。

 後は、一時、二階堂政権が取りざたされたことがあったが、その際に田中派の若手たちの「オヤジを逮捕させた三木のところへ花見にまで行っている。これは許せない」というような反発が、竹下派となる「創政会」結成の引き金になったという分析も初耳(p.189)。

 とにかく、田中周辺の人たちは、巷間言われているように角栄が独自の資源外交によってアメリカの虎の尾を踏んでしまったことが、失脚につながるという風に信じていることは間違いないんだな、と改めて思った(写真は文庫版のもの)。
kakuei_nikki_sato.jpg

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Tracked on October 28, 2004 at 02:51 PM

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