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October 23, 2004

『絆 父・田中角栄の熱い手』

『絆 父・田中角栄の熱い手』田中京、扶桑社 

『熱情―田中角栄をとりこにした芸者』辻和子があまりにもよかったもので、一足先に出た息子さんの本も読んでみた。

 前にも書いたけど、田中角栄の超リアリズム箴言はけっこう好きで、早坂秘書の本なんかも読んでいたんだが、さすがに息子さん相手にも説教かましまくっているのが微笑ましい。

 角栄曰く「挨拶、会釈をちゃんとしろ」「握手するときには相手の目を見ろ。そしてぐっと握れ。ぐっと握らない奴は信用するな」(p.38)。うーん、いい。普遍性がある。

 角栄曰く「お前たちは金を使えるんだから使うのはかまわん。だが、バカな使い方はするな」「最初から偉そうに人に奢ったりするこのはバカのやることだ。バラバラと出すんじゃない。本当に必要なとき、いざというときにドンと金は使うものだ、それ以外は皆と同じようにやれ」「貸した金は返ってくると思うな。あげたと思え。金の貸し借りがあるから人間関係がおかしくなる。自分でできると思うならくれてやれ。貸したと思うな」(p.54)。実践的。

 社会党の浅沼稲次郎委員長が暴漢に刺されてなくなった時、なんで敵の葬儀に行くの?と聞いた京さん向かって「バカモン!考え方こそ違っても、お互い命をかけて国を良くしようと思っている仲間だ。その仲間が命絶えたんだから、仲間として弔ってやるんだ。よく覚えておけ!」。やや脚色は入っているとは思うが、熱い。

 つとめていたCBSソニーをやめて、美食家として慣れ親しんできた和食をプロデュースする店を出したいと告げた時「バカモン!大根の皮むきだって三年もかかるんだ、店をやるなんてそんな甘いもんじゃない」。京さんも書いてるけど、大根の皮むきができるようになるまで和食の世界では三年かかるなんてことをよく知っているな、と。

 しかし、一番のエピソードはビートルズの来日を認めるかどうかということが政府与党の間で問題になったとき、ビートルズの曲を聞かせろ、と幹事長だった角栄が京さんのところに来て、選曲しだいでは影響が出ると思った京さんが「イエスタデイ」「アンド・アイ・ラブ・ハー」というバラード攻撃で「ふん、なかなかいいじゃないか」という心証を引き出すことに成功したエピソードかな(p.78-80)。京さんはご褒美にビートルズのコンサートチケットを貰ったという(『熱情―田中角栄をとりこにした芸者』p.194-195)。
tanaka_kyou.jpg

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Comments

こんばんは。
もしかしてご存知かな? とも思ったのですが、
http://blog.livedoor.jp/m-00_33187/で、
「熱情 田中角栄…」の出版秘話(?)が読めます。
最近は更新されていないのですが…。

Posted by: hiyohiyo | October 23, 2004 at 10:26 PM

hiyohiyoさん、どーも!
「今日の神楽坂」ですね。あそこ、読みにくいけど、全部読みました。
最初の頃、辻さんが話そうか、話すまいかみたいな感じで逡巡している風情がいいですよね。
でも、眞紀子さんのことには神経尖らしていましたね。

Posted by: pata | October 24, 2004 at 09:45 AM

こんばんは。
リンクきちんとはれていませんでしたね。
すみません。
そう、ちょっと読みにくいですよね(笑)

田中角栄というひとは、
男性にとっても、女性にとっても、
魅力的な人物だったみたいですね。

とりまく女性たちのなかで、
自分だったら…という性格診断もできそうです(笑)

共に生き、戦い続けることができたのなら
佐藤昭がいちばん幸せだったのかもしれないけれど…。

Posted by: hiyohiyo | October 24, 2004 at 11:28 PM

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