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October 23, 2004

いざよいせいしんと一場投手

 良くも悪くも日本人的だなぁ、と思うのが、明大の一場投手。

 管理不行き届きを理由にオーナー職(なにがオーナーなんだか…)を辞職した人たちのことはさておいて、巨人から200万円を受け取ったことを理由に明大野球部を退部した一場投手は、横浜から60万円、阪神からも25万円を受け取っていた。まあ、厳しいことを言えば、「なんで、正直に最初から話さなかったんだ」と問い詰めるような人もいるかもしれないが、明大の別府元総監督は「やっていたことは悪いが、退部して、このこと(金銭授受問題)は終わったと思っている。どうして蒸し返すのか」「(この日夜になって阪神とも金銭授受の事実があったことを一場本人から確認したが)本人はかなり動揺しているので、人に会えるような状態ではない」とかばっている。そして、まともなスポーツ紙もこれ以上は一場投手を追求しないと思う。

 つまり、一場投手は頬被りが成功したわけだが、こうした「悪いことがバレると頬被り」というのは日本人の精神に深く根ざした本能のようなものなんじゃないかと思う。

 こういうことがあると、いつも思い出すのは、歌舞伎の「花街模様薊色縫」(さともようあざみのいろぬい)通称「十六夜清心(いざよいせいしん)」。河竹新七(黙阿弥)作の世界に誇る複雑なプロットと深い人間洞察が展開される舞台だ。

 どんなストーリーかというと、坊主が女郎と馴染んでいるうちに、にっちもさっちも行かなくなり、二人で入水心中するが死に切れない。女郎十六夜(いざよい)の方は俳諧師に救われ、子供もいることだしと、世話になることを決意。一方、坊主の清心(せいしん)の方も死に切れずに川っぷちにたたずんでいるうちに、通りかかった寺の小姓をあやまって殺してしまう(なかなか素晴らしいでしょ!)。

 そして「今日十六夜が身を投げたも、またこの若衆の金を取り、殺したことを知ったのは、お月様とおればかり」とうそぶいて悪事を重ねていく、というなんともいえない結末なんですな。特にラスト「バレなければOK」と居直るところなんざ、心に染みます。これだけシュールなヒールが主人公の出し物を、江戸時代から正月公演で演じられてきた、なんてところに日本の文化の深さというか、病んでるなぁ(いい意味で)というのを感じるのだが、それは「バレなければOK」というのを、どこかで「わかるよ、わかる!」という気持ちがあるからなんじゃないかと思う。

 通し狂言で観る時間は残念ながらないんだけど、大詰だけなら、歌舞伎座の三階席でオデンでも頬張りながら観てみたい。それから…。

 一場投手頑張れ!
kabuki.jpg

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Comments

日本人って「神様対自分」という一対一の関係じゃ無いから、
やっぱりどこかでちゃらんぽらんなんでしょうね。
「神様がみてる」っていう感覚が希薄というか。

それはともかくとして、「野球選手って285万円分も食うの
かよ?」(食事代として渡された)とびっくりしました(嘘)


Posted by: しまじろう | October 23, 2004 at 11:21 AM

しまじろうさん、どーも。

いやー、ホントにねぇ。でも、そういう東洋の美徳(美徳じゃないけどw)もなんとなく捨てがたい感じがするんすよねぇ。

Posted by: pata | October 23, 2004 at 01:12 PM

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