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September 10, 2004

スポーツ選手の労働者性

 今日の朝日の朝刊で前中労委会長の花見忠教授が「プロ野球スト 選手には正当な理由がある」と題する投稿を行っていた。なかなか見所がある投稿だったし、投稿はアサヒ・コムには載らないと思うので、不詳アタシでもうしわけないが、まとめてみたい。

1)一部の球団代表が「個人的には選手会を労働組合とは認識していない」と発言し、実行委員会の議長が「選手会は労働組合としての性格に疑問がある」と発言したことは、憲法28条の団結権を無視し、労組の存在を否認する行為。

2)圧倒的多数でスト権を確立している労組を公然と否認して交渉を拒否することは、労組法7条で禁止された団交拒否以上に、悪質な組合介入、組合否認とみなされるべき。

3)こうした不当労働行為は救済手続きによって、最終的に禁固、罰金で処罰されるべき(労組法28条)。

4)そもそも、選手会が経営者側の交渉拒否を不当労働行為として救済申し立てを行ってきた都労委の資格審査で、選手会は適法な労働組合として公認されている。今年3月の和解交渉でも覚書や協定書で、経営者側の誠実な交渉義務が確認されている。

5)その一方で選手会の組合資格を否認するような発言を行い、特別委も開催しないことは重大な法律違反。

6)米大リーグ、欧州のサッカー選手を含め、プロスポーツ選手が労働者としての性格を持つということは、契約における地位の不安定性などの観点から、国際的にも定説となっている。

7)球団合併は経営の専権事項という理由付けは、球団経営のあり方が選手の雇用機会や労働条件に大きく影響するので、団体交渉事項であることは疑いない。

8)「そもそも団体交渉の精神の基本は、効率的であると同時に社会的責任をもった経営が企業のために働く人たちとの十分な意思疎通なしにはありえないという点にある」

 オーナー側の主張はこっぱ微塵にされていると思う。特に、一昨日のオーナー会議における宮内オーナーの発言は違法性が高い。あるJRの労担とたまたま話しをしていて、このことを話題にしたら「あの親会社にはちゃとした勤労担当の部署はあるのかな。親分があんな発言したら、即、提訴で大変なことになるのに」とあきれていた。

 同じ朝日の朝刊に、藤原帰一さんと宮台真司さんが「9.11から3年」というテーマで一面を使って対談している。その中で藤原さんが「米国はいま『資本主義』という言葉とちょうど同じようなものになっています。『問題はあるかもしれないけれど、それ以外に何があるわけ?』という」と語っている。

 確かに歴史の無意識として成立した資本主義以外には何もないかしもしれないし、それなりに合理的なシステムだと思うけど、問題はそれの運用なんだ、ということを改めて感じた。

 法曹界、特に労働法の関係者は、今回の選手会のストに関して、積極的な発言が目立つ。ほぼ30年近く、脚光を浴びてこなかったということを考えれば、こうした専門家がここぞとばかりに前に出てくるのは微笑ましい感じもするが、同時に資本主義の一人勝ちという状況は「社会的責任をもった経営が必要なんだ」という当たり前のことが忘れ去られ、政府の八条委員会の委員長までつとめたような人物が、不当労働行為そのものの発言を行うということにつながっていくんだと思う。

 まだ交渉中なので選手会としては提訴などは行わない方がいいかもしれないが、決裂した後は民主党にも働きかけて、この問題で揺さぶったらどうかと思う。不当労働行為というのはそんなに軽いことではないのだから。

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