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September 26, 2004

『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』岩波書店

 『ねじまき鳥クロニクル』を書き終えた後ぐらいの時期に、村上春樹が臨床心理学者の河合隼雄さんに京都へ会いに行き、2回の対談を行ったものをまとめた本。本の存在自体は知っていたが、『アフターダーク』の後、ねじまき鳥を再読したりしたので、Amazonのマーケットプレイスから100円で購入。安い。

 前半のテーマは社会とのコミットメントとデタッチメント。デタッチメントからスタートした村上春樹さんが、「自分とは何かということをずっとさかのぼっていくと、社会と歴史ということ全体の洗い直しに行きつかざるをえない、ということになってしまうのです」(pp.59-60)などと説明するが、一番面白かったのは、アメリカの人生相談。

 裸で家事をすることが好きな主婦が、ある日、男が入ってきてレイプされてしまい、すごく暗くしか世の中をとらえられなくなり人生観が変わってしまった、という相談に対して「裸で家事をするのは気持ちいいかもしれないが、ちょっと極端だし、危険だ」と答えたら、「私も裸で家事をしている」という主婦からの投書がどんどんきて、回答したコラムニストが「これほどたくさん裸で家事をする主婦がいるとは知らなかった」と裸家事愛好家たちの権利を守らなくてはならない、というようなやりとりがシステマチックに行われているという。いやー、世の中、まだ分からないことだらけだな、と改めて感心した。

 二回目の対談では、村上春樹さんが自分自身で作品の遍歴を語る、みたいな趣向。『風の歌を聴け』でデビューした頃は、死とセックスについては書くまいと思っていたが、『ノルウェイの森』でそのものズバリ死とセックスだけの小説を書き、その後、暴力について描いている、という。『ねじまき鳥』での皮剥ぎやバットで殴るシーン、『海辺のカフカ』のジョニー・ウォーカーの猫殺し、『アフターダーク』の白川の暴行などの流れが恥ずかしながらやっと読めたような気がした。
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