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August 19, 2004

U23強化はお終いに

山本昌邦さんに対しては感情的なバッシングはしたくない。批判することはかまわないが、もし「不肖サッカーファミリィ」だという自覚があるのなら、建設的な意見を述べるべきだと思うから。ということで、草莽のいちサッカーファンとしての意見を以下、箇条書きで。

1)今回のU23は「02年7月末に山本監督が就任してから、五輪前までに費やした国際試合は41回。合宿期間、試合数、予算は五輪出場国の中で最大規模だった」という。ぼくは、もう、これだけのリソースを23歳以下というノビシロの少なくなってきた選手たちにかけるのは反対だ。今回でオリンピックは卒業したらどうか。しかも、ぼくの目が大したことないのかもれしないが、やっぱり谷間の世代だと思うし。日本サッカー協会はメキシコオリンピックの銅メダル伝説が長く続きすぎたため、過剰にオリンピックに力を入れすぎている。U23での長期合宿なんかはやめて、強化はクラブにまかせるべきだと思う(FC東京はこの1年間、U23の合宿、強化試合のために、少なくとも年間で勝ち点10は損させられているんじゃないかな)。

2)もちろん、U23に集まる観客、テレビ放映料のおかげで日本全体の強化費が膨らむのは貴重だが、そろそろ(代表厨は別として)、サポートするクラブを持つような人たちは、今後、U23の試合には観戦に行かないとか、長期合宿の拘束へ反対するなど、何らかの抗議する姿勢をみせていったらどうかと思う。

3)戦術面でいえば、前にも書いたが、キチンとした守備のシステムを最後まで構築できなかった、というのが最大の問題点だったと思う。『山本昌邦備忘録』(山本昌邦、講談社)で山本さんは、ワールドカップのベルギー戦の先発キーパーに曽ケ端を使いたいといったトゥルシエに猛反対したという場面を書き残した。また、トルコ戦で西澤を先発で使うという奇策を思いとどませられなかったのを悔いている(p.336)。コーチに相談もなく勝手に決めたと非難していたと思うのだが、ならば、あのイタリア戦の4-3-3はなんだといいたい。「4バックはチーム立ち上げの02年8月の中国戦と昨年8月のパレスチナ戦でやっただけ。駒野を左で使ったのも初」みたいな奇策をヨーロッパチャンピオンのイタリアに仕掛けた理由がわからない。

4)田嶋さんと山本さんは、トゥルシエにひっかきまわれた経験から、潤沢な強化費を思う存分つかって、納得のいくまで強化したかったのだろうが、最後まで守備のシステムが整わないなど根本的なところで、まったくダメだったと思う。日本人監督でいきたいのかもしれないが、ここは外国人コーチを呼んできて、身内の批判の目にさらされながら強化していくという方法が必要ではないかと思う。どうしても、日本人だけでは甘えがでる。日本はそうした社会だ。それが山本監督の「イマイチ感」を助長させたんだと思う。

5)日本サッカー協会的に経験値を積んだことは、「死のグループ」に入ったリーグ戦の3試合をどう戦っていくかというテストを本気モードでやれたということだと思う。今回のオリンピックで山本監督や選手たちは「強豪と戦えて嬉しい」と言っていたが、本当にブラジルに勝ってオリンピックに出てきたパラグアイ、しかもカルドーソのいるパラグアイに勝てる気がしていたとしたら、お笑い種だったと思う。また、ヨーロッパチャンピンのイタリアに勝てる気がしていたとしたら、それもお笑い種だ。ここは2試合を2引き分けでしのぎ、最後のガーナ戦に勝負をかけ、パラグアイvsイタリア戦の両チームに対しプレッシャーをかける、みたいな読みが必要だったのではないか。そうした「死のグループリーグを勝ちきる戦術」みたいなものが今後、必要になってくると思う。特に、もし出られたとして06年のドイツ大会は「死のグループ」に入れられる可能性は高いと思う。もっと、冷静な「3試合をどう乗り切るのかの読み」が必要になってくると思う。

 最後に『山本昌邦備忘録』(山本昌邦、講談社)に関して、前に書いたことをまとめてみたい。

この本はバックステージものとして秀逸だった。篇々トルシエ批判にうめつくされていて、それもそれなりに面白かったけど、DVD『六月の勝利の歌を忘れない』を思い浮かべながら、あの日々のことをあらためて味えた。トルシエが夜、練習するのが好きだったから、Aチームの練習風景は照明の元でノスタルジックに写り、Bチームの練習は炎天下で厳しいのかな、とか。

 98年W杯の日本代表メンバーのうち7割ぐらいは静岡地区の出身だと思うけど、02年にはそれが拡大し、小笠原みたいな東北出の選手も出場している。『山本昌邦備忘録』で、大船渡高校の斉藤重信監督が嫁の実家に帰っていた山本さんに「小笠原というすごい中学生が来てくれることになったんだよ」と嬉しそうに語っていたというエピシードが紹介されている(p.302)。日本のサッカーはこうした宝物のような人たちが選手を手塩にかけて育ててくれたおかげで成り立っているんだな、と改めて思ったりして。

 中身も興味シンシンだったけど、なによりも、こういう本が講談社から出て版を重ねているということが、サッカー文化が根付いてきたことをあらわしているんじゃないかと思う。

 山本昌邦備忘録にサカマガと名指しでは書いてないけど、写真の扱いをめぐってトラブル起こすトルトルのことを「本当に情けなかった」と書いていたりするのも面白かったし、トルコ戦の暴走をとめられなかった自分を責めているのもフェアだと思う(p.336)。山本さんのことをウチワの話を暴露したと妙に小奇麗な理屈で批判する人間がいるが、こういったもんはどんどん暴露してくれないと、ウチらは幅広い判断できないからね。そういった意味では貴重な本だと思うし、サッカーファンにとって、必読書でありつづけることは間違いない。

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