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August 10, 2004

讃岐饂飩巡礼記 その4 了

おか泉でマターリおか泉
綾歌郡宇多津町浜八番丁129-10 0877-49-4422
これまでの行程を大まかに言えば、徳島との県境に近い秘境「谷川米穀店」からどんどん瀬戸内海の方に向かっていく、みたいな感じ。早朝からの強行軍に、移動はタクシーとはいえ、車中ではウトウトしてしまう。宮武を出た時間は13:55という記録はメモっているのだが、おか泉の到着時間はわらない。でも、所要時間は15分ぐらいだったと思う。

場所は瀬戸大橋の坂出ICより車で10分程度のところにあり、駐車場も41台分を備えているという一般店の王者みたいな店がおか泉である。一言でいえば高級店。宮武の天ぷらの衣がしっとりしていて、それがまたなんともいえない素朴な味わいだとすれば、おか泉は一応、パリパリのサクサクの衣を目指しました、という感じ(もちろん東京の超高級天ぷら店とは比ぶべくないが)。

店内は清潔でイスとかテーブルもしっかりしている。これまでの製麺所みたいなところと比べたら雲泥の差。思わず「ビール、生でふたつ。あ、大ジョッキ」とうどんを注文する前にオーダーしてしまう。ビールが来る前に、店の中央にある「茶店」から長い串にささったおでんもとってくる。そしてなみなみと注がれたビールをプハーッと飲めば、やはりホッとする。ありがたい。マータリ。
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さすがに、こうなるとうどんは2つ喰えないので、名物冷や天おろし850円をひとつだけ頼む。しかし、これは結果的には失敗。天ぷらのボリュームがありすぎて、うどんが脇役になってしまっている。不思議なのは隣で食べていたぶっかけにはすだちがついてくるのに、冷や天おろしにはレモンがついてくること。ままよと、しぼって食べれば、弾力性が感じられる麺だ。生じょうゆも旨い。しょうゆはこの店オリジナルのうどん用生しょうゆ。これはお土産にはGoodなので、さっそく何本か買っておく。

しかし、それ以上の印象は残念ながら残っていない。

確かに麺は旨いし、オリジナルのうどん用生しょうゆも素晴らしい。しかし、どこなくビジネスというか「企画」を感じてしまうのだ。冷や天おろしのそそり立つ海老も、なくとなく演出過剰を感じてしまう。確かに観光バスの会社などには貴重な店だと思う。店内はきれいだし、大型バスも入れる駐車場だってある。そして、しっかり旨い。でも、これまで入った山越、谷川米穀店、なかむら、宮武にはあった感動がないのである。なーんて贅沢なことを話ながらビールを飲む。

すっかりくつろいで、お土産も買って、お会計はそれでも3000円はいかない。やっぱ、贅沢いっちゃバチがあたる。しかし、運転手Sさんからは「わたしらは行かないところですねぇ」とダメ出しをくらってしまった…。そして、思えば、このおか泉に立ち寄ったことが、次の2連続KOにもつながるのである…。
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松屋製麺所での大円団
松家製麺所 高松市藤塚町3-15-16 087-834-9934
おか泉でビールなんぞを飲み、いい気分になったのにバチがあたったのだろうか。なんと、次の彦江、池上とも玉切れと午後休業でKOを喰らってしまった。それにしても彦江のシチュエーションは動揺した。タクシーで行けるのは50㍍ぐらい手前まで。そこからは左右50cmぐらいの超細い路地をうねうねと通らないとたどり着けない。しかし、そこで待っていたのは玉切れ閉店の現実である。残念なのでうろついていたら、製麺所は彦江さんの家の庭につくられた簡単なバラックみたいな建物だということがわかった。記念に写真だけ撮って帰る。
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さて、次は気分を立て直していよいよ高松市内に入る。市内にはセルフの王者「さか枝」や、市内に向かう道には釜揚げの「ジャンボ」などがあるが、目指すのは「池上」だ。70歳近いおばあちゃん1人でやっている製麺所で、川の土手近くにある。運転手のSさんもウワサには聞いていたようだったが、初めて行くという。池上の午後の開店時間は16:40~17:00。このピンポイントにあわせて行かなければならないので、近くの喫茶店で時間をつぶしてから行くことにした(ちみなみに午前中は10:40~11:00)。しかし、運転手Sさんは「その前に場所だけでも確認しておきましょう」ということで、下見に。土手の上の道をノロノロと進み、だいたいこのあたりという場所に停めて、あとは徒歩で捜す。あった。台風が来たら潰れそうな小屋である。念のために近づくと民主商工会に入りましょうというポスターと「イラク戦争反対」のポスター。そうか、東京のメディアにかなり露出はされていたけど、留美子おばあちゃんは民商の人だったのね。なんかいじらしい。とかなんとか考えながら近づくと「午後やめました」との不吉な文字…。ま、まさか…とさらに近づくと、向こうからもうどんめぐりのカップルが2人でやってきて「おばあちゃーん」とかいいながら馴れ馴れしく玄関の扉をガラガラと開ける。しかし、人の気配はなし。留美子おばあちゃんのゴム長がキチンと揃えられていたのが泣けてくるが、とにかく午後はやらないぞ、という雰囲気が漂いまくっている。2連発のノックアウトである。そのカップルとは記念に(笑)写真を撮り合い分かれる。留美子おばあちゃんはきっとドッと繰り出した客に1人では対応できなくなったんだと思う。なんか悲しい。アタシもその1人だということが。
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さて、困った。実は市内の「さか枝」も午後3時までの店なのである。この時点15:30。終ってる。そうなると残りは太麺と細麺のダブル麺で名高い松家製麺所しかない。さっそく飛ばす。そして到着したのは15:45。幸い店は開いていた。のれんをくぐると「あ、今日は終わりです」とご主人。

ま、まさか。ここで3連敗で終了か…。それではあんまりだ、とご主人に訴える。東京から来て、いろいろ回って、最後は松家さんと決めていたこと。彦江、池上とKOを喰らっていることなどなど…。そしたら「普通はお客さんには出さないところなんですが、端っこの短い麺でもいいですか」とのこと。ありがたい!それでお願いしますと答えると奥さんがその麺を出してくれて湯がいてくれる。「だしはこちらです」とご主人に教えてもらったのは、どこまでも澄んだ、ロゼに近いようなダシ。ありがたく「あつあつ」にしていただく。ここはすべての工程を手作りでしているらしい。そのこだわりはちゃんと麺に反映されている。細麺ながら鋭いエッジ。旨い。さて、これでもう終わりにしよう。大満足だ。ご主人に「本当にありがとうございました」とお礼を言って舌代を聞いたら「今日は結構です」という驚きの返事。妹と顔を見合わせて「いやいや、うちらがムリをいったんですから、それでは…」といっても「また、来てくだい」と笑顔で答えるだけ。恐縮しまくって「本当にありがとうございました」といって店を出る。
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なんか、山越でも一杯90円のうどん売るのにガードマン雇って行列を整理させたり、他の店でもメチャクチャ安い値段しかとらない。この商売っ気のなさはなんなんだろう。素晴らしい。とにかくいい旅でした。今度は、出張の途中かあるいは週末にかかったら、それを利用してまた巡ってこよう。

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Comments

なつかしく読ませていただきました。
特に航空券の半券を落とすくだりが…
土曜日の試合で帽子被らずにマウンドに上がって
監督に叱られていた事実…ADHDパワーアップしてる感じw
それと、レンタカーの話から。
ポルシェ買って「チームのマスコット犬」を助手席(助手席にジョシュ…おやじギャグ!)に乗せる野望をよく語っていらっしゃいますが、無意味ゴールドカードの記録はまだ続いているんじゃあ…無理ポ!!

Posted by: pinmama | August 10, 2004 at 09:25 PM

>土曜日の試合で帽子被らずにマウンドに上がって
>監督に叱られていた事実…ADHDパワーアップしてる感じw

まだまだ伝説をつくるためにがんがりますw

Posted by: pata | August 10, 2004 at 09:54 PM

普段から拝読させてもらっていたのですが、
うどんの記事を読んでいて、郷愁感にひたりつつ、触発されたので、トラックバック&リンクさせていただきました。
今後も、記事楽しみにしていますので、よろしくお願いします。

Posted by: bard | August 12, 2004 at 12:12 AM

以前別件でトラックバックいただいたものですが、興味深く読ませていただきました。

というのも、ちょうど今週末に四国旅行に行くことになっていて、「じゃあうどんの知識も入れなきゃなー」と思っていたところだったので。

参考になりました。ありがとうございます。

まあ、本当に食べられるかが重要ではありますが・・・
休日ですし、込むんでしょうね、きっと。

Posted by: ja081982 | August 12, 2004 at 03:41 AM

bardさん、TBありがとうございました。うらやましい。地元の方ですか!
るみこおばあちゃんは、NHKでも見ました。元気でやってくれているといいですね。
ややブームは去った観はしますが、それは本物度が高まったともいえると思います。
しばらくたつと、吹きっさらしの中で、うどんを食べることで確認したいことが、一度でも巡礼に行ったことのある方なら出てくるんじゃないか、と(実は、ぼくは老後に秋冬を過ごす家を香川か徳島に持ちたいと思っているんですよ)。

Posted by: pata | August 12, 2004 at 05:33 AM

パタヤさんも、コメントありがとうございます。
>休日ですし、込むんでしょうね、きっと。

山越なんかはスゴイでしょうね。でも、価値はあると思います。一回しか行ってないのですが、次に行くとすれば「製麺所タイプ」は午前中に、一般店タイプは午後に回る、というのを基本にしようかと思っています。

ということですが、前に別のBBSに書いた書評がありますので、なんかの参考にしてください。

『超麺通団 団長田尾和俊と12人の麺徒たち』田尾和俊、西日本出版社
讃岐うどんの聖典『恐るべき~』シリーズの著者である田尾和俊さんが去年出した本。とはいっても全然知らずにいて、前に書いた「讃岐うどん大使 東京麺通団」というお店でうどんを喰った後にゲットしたので紹介。

とりあえず、今年の春、S級店のうち1/3ぐらいは制覇して「まあ、こんなもんだろ」という感じになっていたんですが、これを読んだら、また行きたくなった店がありました(宇宙を感じさせてくれる「橙」とか、鶏小屋みたいな「赤坂」とか)。奥が深すぎるっつうか、あやしい店多すぎ、みたいな。

これまでほとんど触れられてこなかった公共交通手段を使っての巡礼方法についても、新しく「麺徒」に加わった京都在住の大学院生である別p君が語っている。

また「巨大なうどんのテーマパーク 香川」から目がはなせなくなった。

と、ここまで書いて辛抱たまらなくなったので「すみた」に行くことに決めた!

Posted by: pata | August 12, 2004 at 05:41 AM

ja081982さん、

今の時期、夕方は、凪のであついですが、冷たいのをたべてください。うどんやは、日曜は休みが多いので、土曜日の勝負をかけることをお勧めします。日曜は、一般店か、わたしがお勧めする一鶴(骨付き鳥)かふみや(お好み焼き)へどうぞ。

pataさん
コメントまでいただきありがとうございます。
老後に持つ家は、香川にしてください。
私が老後に戻れば、ご案内しますので。

書評がありましたので、ご紹介しますと、
東京出身の妻は、恐るべきよりまえに、さとなおさんの本(こちらも文庫になってます。www.satonao.com)/「うまひゃひゃさぬきうどん」で、開眼して、恐るべきに入った口で、たまたま、だんな(僕自身)が、香川出身で、喜んだ口でした。
こちらもなかなか、興味深いですよ。(お読みかと思いますが)

Posted by: bard | August 12, 2004 at 10:56 AM

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