讃岐饂飩巡礼紀 その1
1年前の思い出。別なBBSに文章だけ乗っけていたものだが、夏休みということで、チラッと写真を整理してここにも載っけさせてもらうことにする。
巡礼の志
待ちに待った、うどんの聖地、讃岐への巡礼を果たす日が来た。聖地巡礼を志したのは、わすれもしない2000年の秋、『恐るべきさぬきうどん』の文庫版(新潮OH文庫)を読んだときだ。いまや四国学院大学の教授におさまっている田尾和俊さん率いる麺通団著の聖典は、聖地・讃岐から遠くはなれ、まっ黒なダシに首まで浸かった魔都・東京の住人にも、巡礼のココロを呼び起こしたのだった。しかし、現実は厳しい。巡礼には出たくとも、仕事があり、タイミングがあり、カネの問題もあり、季節の問題もある。
なにをヤワなと言われそうだが、四国をこよなく愛して、出張の機会は必ず逃さず機上の人となってきたアタシは四国の夏がことさら厳しいことを体で知っている。暑いなんてもんじゃない。また、訪れるところが、冷暖房の設備など望むべくもない製麺所であることを考えると、寒い冬に雨なんか降られた日にゃたまんない、という思いもある(なにが巡礼だといわれそうだが)。
航空運賃をどうするか
ということで雌伏3年、構想2年、ついにその日はやってきた。2002年4月12日、それが我が聖地巡礼の日と定められた。なぜ、この日が決められたかというと、航空各社のバースデイ特割を使おうという思惑もあったからだ。というのも密かに巡礼の志を固めていると、食品メーカーに勤めている愚妹がかぎつけてきて、一緒に連れて行けという。かつおダシといりこダシの研究をしたいという。その志や良しとはいうものの、2人だと通常料金ならば航空料金は往復で8万円ぐらいかかってしまう。しかもアタシは仮にも兄。航空運賃ぐらいは出さねばならない。なんとか半分の4万円にしたい、ということで、バースデイ割引を狙ったのだ。団体ツアーなんか見つけて、そこにもぐりこめばいいじゃないと人はいうが、それはアタシの行動を知らなさぎる。先天性劇症多動症(ADHD)の患者でもある我が身を考えると、いちいち行動を規制されると、うどんを味わう前に巡礼を中断して帰ってしまうという恐れさえあるのだ(しかし、後でわかったのだが、普通のスーパー割引や特割などを使っても2ヶ月ぐらい前の予約にはなるけど、半値でいける…)。ということで2月に愛する全日空で予約を完了、ただちに運賃はクレジットカードで引き落とされ、後にはひけなくなった。
聖地での足の確保
日程は日帰りと決めた。いくら、うどんが好きだとはいえ、2日連続でうどんを喰いまくるのでは、うどん嫌いになる可能性も出てくる。「なにごともおだやかに、そして中庸を」身上としているので(笑ってはいけない)、ここは日帰りの強行軍でバーッとうどんの名店を攻めまくることにした(矛盾は気にしない)。
次に地元での交通手段である。いまや、高松空港にはうどん探訪naviを搭載したレンタカーが常備されているという。1500ccクラスならば一日借りても安いもの。しかも、アタシはゴールドカードになって20年という腕ももっている。ここはレンタカーで「しゅるっと一筆書きのようにうどんルートを回ろうか」と愚妹に尋ねると絶対にイヤだという。まあ、実質20年間クルマを運転しておらず、いまや下り坂の坂道発進ぐらいしか自信のないことを考えれば、その気持ちもわからないでもない。すばやく別の案を考える必要に迫られた結果、多少高くはつくが、タクシーをチャーターしようということになった。空港で待っているタクシーに声をかけて、1日2万円ぐらいで回ってもらおうという寸法である。
ルートマップの作成
聖典『恐るべきさぬきうどん』では、地元誌の編集長である田尾氏がなんども道にまよって、ようやく目的の店に到達できたという場面が何回も描かれている。あるいはバイクの林道ツーリングの途中に発見した水車小屋のような店さえ登場する(谷川米穀店)。いくら地元のタクシーの運転手さんであっても、迷うかもしれない。よって、いかに高松空港を基点と終点にして、効率的に回るかを考えなければならない。
高知地図の上に透明な時計の文字盤をレイアーのような載せたと想像して、「4」のあたりが高松空港である。
まず時計回りにいくか、反時計回りでいくかだが、これはすぐに結論が出た。一日3000食が出て、大阪からも明石大橋を渡る観光バスで客を呼び寄せるという「山越」(やまごえ)に客が並びすぎる前にたどり着きたい。時計でいえば4と8の中間あたりの、メーカー名が書き込まれているあたりが山越である。よって、やや変則的ではあるが時計回りとこの時点で決まる。
次に行く店だが、せっかく高い飛行機代とタクシー代をはずんでいくのだから、山間部の秘境にある店も一軒ぐらいは訪問したい。検討の結果、「7」ぐらいのところにある「山内」に決定。後は、「8」あたりの宮武「10」あたりの中村「11」のおか泉、「12」の彦江と時を刻み、「2」あたりに位置する高松市内の名店をめぐってから、再び「4」の高松空港にもどって感動のフィナーレを迎えるというプランを考え出す。
完璧である。感動の予感に打ち震える。
あとはインターネットで住所と地図を調べてプリントアウトとしてダブルクリップでとめれば旅の支度は完了。さあ、いざ讃岐へ!。
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