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July 28, 2004

『今夜すべてのバーで』追悼・中島らもさん

中島らもさんがお亡くなりになったそうな。「神戸市内で16日未明、酔って階段から転落し頭部を負傷し」「脳挫傷による外傷性脳内血腫のため神戸市内の病院で死去した」とのことで、ご家族にとってはなんだが、らしい死に方だと思った。

 随分前に、アルコールに関して友人に相談したところ「読んでみな」と紹介されたのが『今夜すべてのバーで』だった。中身に関しては、青春小説によくあるように、純粋な友だちが夭折してしまい、それを負い目に感じている主人公が同じような道を歩むが、やがて救われる、というパターンを踏襲しているが、情報は濃かった。

 それまで、なぜかバカにして読まなかった「なだいなだ」さんの本も読んだし、斉藤学さんにもややハマリの時期があった。同じように飲みすぎで悩んでいた知り合いには、必ず「この本を読んでみたら」と勧めて、実際、感謝されたことも何回かある。

 神戸で育った自身の大学生活までを描いた『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』(集英社文庫)も、バックグラウンドがわかって面白かった。

 『今夜すべてのバーで』で、中島らもさんの本音と自分へのあきらめが出ている場面は次の箇所だと思う。主人公が入院先の医師と話し合う場面だ。

「依存のことを考えるのなら、根っこは”人間がこの世に生まれてくる”、そのことまでかかっているんだ。心理学者だけの手におえるようなもんじゃないでしょ」
「本当に屁理屈の多い奴だな。仏心を出して心理学につきあってやった私が頓馬だった」
「いえ、先生には感謝してますよ」
「それが感謝している顔か。で、どうなんだ」
「何がですか」
「酒はどうするんだ」
「まだ考えてます」
「ま、飲みたきゃ飲むんだな。生きるの死ぬのの選択まで私は口を出せんから。何てったって、ただの内科医だ。飲んで死にたきゃ、そうするさ。やめるつもりなら、断酒会を紹介してやる。もういいから、行けよ」(講談社文庫、p.238)

中島さんは、やっぱり行ってしまったんだと思う。麻薬との戦いに勝って生還したのはバロウズやキースなどごく少数の者たちだけだった、みたいなことも書いてあったと思うが、まあ、今日は敗者に「黄金色のダブル」(p.247)で献杯しようと思う。
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Comments

死んじゃいましたか。。。

Posted by: ますたろう | July 28, 2004 at 12:33 AM

ねぇ…
明日、六本木で献杯しましょ

Posted by: pata | July 28, 2004 at 12:45 AM

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