『極上中古車を作る方法』
『極上中古車を作る方法』福野礼一郎、別冊CG
福野礼一郎さんの本を紹介してくれた友人が読んでいたので購入。相変わらず、素晴らしい。
180万円で購入したロールス・ロイスのシルバースピリットをオリジナル部品を生かす方向で徹底的にレストア、というか磨き上げる。ただそれだけの本だ。ぼくはクルマを持っていないので「これは自分のガレージでも参考になるな」みたいな読み方はできなかったが、同じミスター・クラフトに通っていた元モデラーとして読むと、プラモデルを精密に組み立てる方法論でロールス・ロイスに磨きをかけること自体が痛快だった。
ウッドパネルのひび割れをスジボリ用ツールでV字に削ってから直すとか、航空機モデルのキャノピーをコンパウンドで表面が水飴にのようになるまで磨く要領で室内照明の透明カバーを磨き上げたり、極薄の吹き付け塗装の技術で皮のテカリをなくす方法など、文中で福野さんも書いているが「『いまのクルマなんてプラモデルみたいなもんだ』その通り。ようやくプラモデルくらい精密で繊細になってきた。だからDIYレストアで天下を取るのは年季の入ったドライバーではなく、年季の入ったプラモデラーだ」(p.85)ということなんだろう。
こうして磨き上げれたロールス・ロイスのシート、ウッドパネル、そしてハンドルの細さなどは写真で見てもうっとりする。大型本なので、申し訳ないけど、トイレにおかせてもらって時々見ることにしようと思う。
それにしても程度のいいロールス・ロイスを買っても中古車両価格と同じぐらいの部品代と修理代、それに550時間の労力がかかるんだな、と妙な感心(本体購入価格とあわせてレストアに要した費用は\3,659,674)。フェラーリを買うといっていた友人は、どうするんだろ、と改めて心配になってくる。なにせ、「中古車の内装などゴミためである」「中古車のインテリアは他人の古着以外の何者でもない。他人の古着を買ってきたら着る前にまずやることは…もちろん洗濯だ!」(p.48)ということだけでも大変そうだからだ。
あと、クイックブライトという洗浄剤は便利そうだから、使わないけどヤフオクで仕入れておこうと思った。
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