« ジャイアンツファンやめました | Main | 前田教授の「選手会ストの見通し」は素晴らしいbyトーチュー »

July 10, 2004

プロ野球 幼年期の終わり

 プロ野球の関係者はオーナーサイドも監督スタッフサイドも、選手側も「自分たちがやっているのは興行であり、ファンが離れたらどうしようもなくなる」ということを忘れていたんだと思う。それは1990年代まで、経済というのは右肩上がりで、年率5%以上の成長でなければ経済成長とはいえないと思い込んでいた日本経済の状況と似ているんではないだろうか。地価という「変動要素があり、時には暴落を起こす可能性があるもの」に支えられていたことを忘れていたんだと思う。もちろん地価はファンのことだ。そしてコアなファンたちも、そうしたプロ野球の常識に、いつの間にか取り込まれていたんだと思う。

 昨日の報道でなされた気になった発言をとりあげてみたい。

[1]ニッカンスポーツの「古田会長不満爆発『無視されました』」
 これだが、もし古田がぼくたちが思っているぐらいアタマがよければ、このコメントに含まれている残念な気持ちの中には無視されたのは経営者に対する要求だけではなく、ファンたちに対する「立ち上がってくれ」という潜在的な要望が無視されたことも含んでいたと思う。ファンたちは、一部の熱狂的なロッテファン以外は合併に直接関係する当事者を除いて、「まあ、どうでもいいや」みたいなものを感じているのではないかと思った。それに対する失望感がなかったらウソだ。

 サッカーのJリーグだったら、こんなことは考えられない。すぐさまJリーグの事務所にはデモをかけられるだろうし、試合は断幕や「合併反対コール」で埋まるだろうし、当該スポンサーの企業には怒り狂ったファンが社長との面談に押しかけるだろう。しかし、プロ野球ではそんなことにはなっていないように感じる。

 ファンたちはナベツネの発言に対して、いち労働者として「なめるな!」と怒っていると思うが、必ずしも選手会とともに最後まで戦おう、みたいな雰囲気にはなっていないと思う。

 選手たちはは高額年俸の件はさておき、日ごろのファンサービスのなさ、地域に対するアクティビティのなさ、チャリティといえばテレビを呼んで自分たちがバカ騒ぎするゴルフ大会などに、根本的な不満を持っているということを忘れていると思う。

 選手会は、合併問題に関するだけでなく、地域に対するアクティビティをどう活性化すべきか、ファンとは自分たちにとってどういう存在であるのかを再確認する、ということも議題としてとりあげるべきだと思う。

[2]朝日の連合会長、渡辺オーナー発言を批判 選手会全面支援へ
 次はこれだ。日本の労働組合の組織率はついに20%を割ったが、そんな労働界を代表する連合の笹森会長が「働く側にとって見過ごすことのできない発言だ」と批判した件だ。しかし、これもポーズが気になる。

 今春、連合が中小組合の春闘対策に力を入れる方針を打ち出したのを多くの人は知らないだろう。もちろん知られているわけがない。単なるポーズだったわけだし、覚えているのは退屈な連合会長の話につき合わされて記事を書かされた記者ぐらいなもんだ。普通の人々にとって、正社員というカーストの上位に位置する大企業の組合幹部が何を言おうと、これまで彼らがやってきたことが目に見えない以上、聞く耳もたぬのは当たり前だからだ。パートや「社員2」などの存在について、笹森はもっと想いをいたさなければならない。

 笹森会長は「古田氏と近く会談したいとの意向を示した」ということだが、選手会が最初につくられたときも、当時の総評議長が同じような発言をして無視されたと思う。まあ、こんなところで名前が出るだけでも存在感がアピールできていいのかもしれんが、どのみち低落傾向には歯止めがかからんだろうし、競争力を失った産業に対する優遇税制が、日本経済の成長の足かせになっていることもわからないようでは(そして組合も自分たちがそうした企業にぶら下がっていることに無自覚である限りは)、どのみち終わっているが。

[3]スポーツニッポンの「地獄へ落ちろ、ジャイアンツ!」
 これは大阪ドームでジュニア球宴(なんつう日本的な興行…)で優秀選手賞を獲得した巨人のルーキー岩舘に対して、右翼席に陣取った近鉄ファンからブーイングとともに「地獄へ落ちろ、ジャイアンツ!」「地獄へ落ちろ、ナベツネ!」というコールが起こったというものだ。

 まあ、野球ファンというのは、こういうの慣れていないよね。Jリーグのコールリーダーだったら「いいぞいいぞ岩舘」「地獄へ落ちろナベツネ」とメリハリを利かせたコールを組織するだろう。

 共感を呼ぶ行動というがどうあるべきかということがまったくわかっていない。近鉄のバカファンはセレッソあたりのコールリーダー呼んで、話でも聞いた方がいいのでは?

 まあ、ファンも飼いならされて世間常識という時には冷たい風をあびることが少なかったんだろうな、と感じた次第。人間的に尊敬されるとまではいくわけはないが、どっか共感を呼ぶような行動でないかぎり、周りの人は引くことを知らないだろうね。

|

« ジャイアンツファンやめました | Main | 前田教授の「選手会ストの見通し」は素晴らしいbyトーチュー »

スポーツ」カテゴリの記事

Comments

ここに来て野球選手がこれまでファンとの距離感を大切にしてこなかったことのツケが出ているのではないかと思います。

野球選手もJ1の選手も年俸ン千万貰っているということで、我々からすればどちらにしろ高給取りなんですが、たとえば練習場で気軽にファンと接したり、いろいろ地元で活動をしてみたり、本人たちが意識的にやっているのかは知らないけれど、やはりJリーグの選手のほうがファンと近いイメージがありますよね。

実際、横浜フリューゲルスのときは現役の日本代表やブラジル代表の選手が駅前で署名運動やっていたり、サポーターが親会社乗り込んだり、それがメディアで大々的に載ったことは今にして考えるとこの差は大きかったですね。

古田も中村紀も本当に憤慨しているのかもしれないけれど、でもどうせ年間数億稼いでいるんだろ、みたいな覚めた感じが野球ファンには多いです。
これがチケット収入の割合が大きいJリーグと、チケットなんて売れなくてもどうでもよかった野球の差なのかもしれませんが。

Posted by: ふくはら | July 10, 2004 at 09:04 AM

フリューゲルスの時には山口やサンパイオも街頭に立ちましたからね。

近鉄の中村も、一度は商店街まわって「チケット買ってください」とお願いしてみるとか、やってみたらどうかと思う。

キリンビールがアサヒに抜かれて、一番変わったのは、地方の酒販店に営業マンがまわりはじめたことだ、と言われています。随分昔の話ですが「初めてキリンの営業マンがウチに来た」と喜んだ商店主の話を読んだことがあります。

プロ野球の選手には、こうした共感を呼ぶ「行動」が必要なんじゃないかな、と愚考する次第。

Posted by: pata | July 10, 2004 at 09:55 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/938032

Listed below are links to weblogs that reference プロ野球 幼年期の終わり:

« ジャイアンツファンやめました | Main | 前田教授の「選手会ストの見通し」は素晴らしいbyトーチュー »