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July 25, 2004

川崎B級グルメガイド#1「綾」

綾 神奈川県川崎市宮前区犬蔵1-9-21 044-976-5433

 「極東の讃岐うどん」の名店として名高い「綾」を最初に知ったのは、忘れもしない2年前。『danchyu』02/10号。ヤンキー頭の若い店主が真剣にうんどを打っている姿は、なかなか好感もてる感じだった。しかし、なにせ場所は川崎市の宮前平。地図で調べても宮前平から歩いて20分ぐらいかかるし。まるで陸の孤島。横浜からもアクセス悪いな、と思いつつ日々をすごしていたが、一念発起、朝も早よから地下鉄に乗っていったのを思い出す。

 横浜市営地下鉄の三沢下町まで歩いて、終点のあざみ野へ。そこから田園都市線に乗り換えて宮前平までオンレールで40分ぐらい。田園都市線とクロスする4車線の尻手黒川道路をひたすら東名川崎ICを目指して歩く。歩く。東名の下をくぐり、さらに300メートルぐらい歩いてやっと目指す「綾」を発見。道路沿いによくある、ありふれた外観の店だが店の前には、よしずばりのかわりに大きな紺色の布で「綾」。その紺色がさわやかなイメージ。

 着いたのは10:40。雨上がりの日曜日の朝だというのに、すでに16卓ある椅子は残り2つ。滑り込みセーフ。あとは注文するだけだが、その前に、この店の系譜について語らせていただきたい。

 少し解説的に書かせてもらうと、香川には「恐るべき」田尾団長命名の「宮武ファミリー」の系統の店が繁盛している。「宮武」は琴平町にあるお店の名前。巡礼の時も、もちろんまわらせていただいた。宮武の大将は気のよさそうな痩せ型のおっちゃんで、冗談を飛ばしながら店を仕切っている。その雰囲気は超Good。そしてこの琴平宮武を総帥として親戚や弟子関係の店が拡大している。一番弟子が「やまうち」そのまた弟子が「あたりや」「松岡」。そして、「あたりや」の弟子が「綾」。宮武からすれば曾孫店になるわけだ。そして今や人口に膾炙する「ひやひや」とか「あつあつ」という注文の仕方も宮武がオリジル。うどんを語る上で、宮武ファミリーがいかに欠かすことができない存在かということがおわかりいただけると思う。

 そして、巡礼記にも書いたのだが(いつかここでもアップする予定)、アタシが一番気に入ったのも何を隠そう宮武。「ちょっとウェーブのかかった縮れた麺は口の中で暴れる印象。でも、グルテンの限界を超えちゃっているようなバカ固さはない。そして、うまい。すぐにアタマに浮かんだのは「宮武をリファレンスにして、これからうどんを喰っていこう」ということ。イリコの効いたさっぱりとしたダシも最高」と自己レスしただけで、あの時の経験が鮮明に蘇っくる。ズルッ(だ、唾液が…)。
aja_1.JPG

 ということだが、綾は最近の店らしく、調理場を広くとっているのが印象的。その周りを16席のカウンターが取り囲むというつくり。調理場の奥にはさらに天ぷらなどをあげる場所があって、においがこもらないようにしている。この配慮だけでも、いかに真面目で清潔な店かということが分かると思う。座った席は、長方形の角の場所。そこから見て、左側に調理場、右側がカウンターと通路。調理場は壁沿いにうどんをすくうざる入れの入った寸胴なべ、ゆで釜、うどんを打つ台と並ぶ。そしてアイランドにはうどんを水で締める流し、そしてもりつけ場がある。

 さっそく注文したのは「ひやあつ」。これは「冷たいうどん+熱い汁」。ひやひやとあつあつはもうわかると思う。朝一番に食べるのだから、なんとなく、ぬるい感じの方が「入って」いきやすいかな、と。つか、宮武でもイチオシの「ひやあつ」は注文した。なんとも薄い上品なこがね色のだしは一見たよりなさそうだけど、うまみがとけこんでいる感じで、宮武ファミリーの伝統。これを味わうには、やっぱり「ひやあつ」でしょ。

 さて、出された一杯だが、どこか足りない。そうピカピカ感だ。うどんで一番美しかったのは山越だったが、あのピカピカ感は見ただけで目が涙で曇る。東京では「すみた」のピカピカ感も素晴らしい。それと比較すると、いまひとつなのだが、それは、まあ個人的な趣味なのかもしれない。食べる。すする。確かにうまい。が、感動はしない。350円で感動させろ、というのも酷なのかもしれない。しかし、頑張ればこの店ならできると思う。

 ということで、次は「ひやひや」。だしはつめたい方もいい。さすが宮武ファミリー。いりこがプンと効いている。うどんは関東流に少し硬い。もっと、ツルツル感がほしいかな、と。これも、まあ個人的な感想なのだが。

 にしても、感心なのは、ひとつの釜に入れるたびに、主人の八河(やかわ)さんが、うどんを打つこと。直径50cmぐらいの生地をみるみる伸ばしていく。伸ばしてはひっくり返す。そのたびに生地が台を打つ音が心地よい。しばしみとれて写真もとらせてもらう。そして、切る。宮武のおっちゃんみたいな手包丁ではなく、うどんを切るための専用の断ち切り機みたいな包丁を使っている。また、うどんは最初、釜全体で泳がせ、あげる3分ぐらい前からざるですくっていた。それを、まるでクマが鮭を背負うような感じでスレンダーでなかなか美形の奥さんが締めるために水場へ運ぶ。

 締める水は、二つの蛇口から勢いよく出す。そして、うどんを締めるだけの水も中型の浄水器につないでいる。さすがだ。ちなみに、うどんを打つ水は大井松田の酒造メーカーまで汲みにいくそうだ。

 こうした作業をみとれているだけでは手持ち無沙汰なので、缶のスーパードライ350mlをセルフでとってきて飲む。おつまみはもちろん天ぷら。これもあぶらのにおいが漂わないようにということでガラスのケースに入っている。丸いボールが串に三つ刺さっているえびボール、平天、そしてかきあげ。各100円で、ビールとともに食べ終わったときに自己申告する。宮武ファミリーなら、げそ天が喰いたかったのが、ない。少し残念。

 ということで、ゆでたて締めたてを待って、最後に「しょうゆ」を注文。柚子果汁のビンをくれる。3杯目だし、天ぷらも食べているので、おろしがねとともに出してくれたしょうがが少なくなってきたので、店員さんが足してくれる。なかなかよく気がつく(もっとも、しょうゆうどんは柚子とねぎだけで喰いたいが)。うどんはやっぱり少し硬い。

 しかし、この店は偉い。ちやんといろんなことに気をつかってやっています、ということがさりげなく分かるから。浄水器の大型フィルターだって、流し台の下に収納すればいいかもしれないが、やっぱりむき出しにしておくことで「水に気をつかっているんだな」ということがわかる。奥にノレンで仕切った調理場があるから、そこで揚げ物をやっているんだなとか、天ぷらはケースにいれて油のにおいを少しでも出させないようにしているんだな、とか。いろいろ「気をつかってます」ということが伝わってくる。しかも声高には主張しない。なんつうか応援したくなる感じ。ファングラブとかあったら入りたい。そんな店。田園都市線ということで、二子玉川からだったら20分なので、いつか練習帰りにもいきたい。とはいっても土曜日とかは午後3時には玉切れする場合が多いというが…。

 もう一杯いけそうだったが、何事もほどほどが大切だということで、うどん3杯、天ぷら3品、ビール1杯できりあげることに。行列もあったし。ちなみにお勘定は1500円。安すぎる…。
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Comments

はじめまして。
何かの拍子にこちらのBLOGに辿りついて以来、B級グルメネタの更新を楽しみに読んでおります。
ワタシも住まいが横浜根岸、職場が溜池、去年香川に巡礼に出向いたばかりということで、こちらの情報は一々参考にさせて頂いております。(前から気にしていたが入る勇気の無かった銀座のニューキャッスルもこちらの記事を読んでチャレンジできました^^;)
特に巡礼ではまったウドンは、まさかしょっちゅう聖地に赴く訳にもいかず、このように関東近郊でウマイ店を取り上げていらっしゃるのは本当に頼りになります。
今後の更新にも大いに期待しております。がんばってください!

ところで一つ質問させていただきたいのですが、グルメネタのバックナンバーをまとめて読みたいと思っているのですが、右メニュー欄の「バックナンバー」を押下しても特に表示されないようなのです。
これがワタシの閲覧環境のせいなのか、それとも現在メニューとしては提供されていらっしゃらないのか、そのあたりを教えていただければ幸いです。突然コメントを投稿し不躾な質問で恐縮ですが、宜しくお願いいたします。

Posted by: サンダァ | July 25, 2004 at 04:49 PM

うわぁー、嬉しいなぁ。
本当にどうもありがとうございます!
ということで、ここ重いのでコメントつけやすくするためにバックナンバー表示させていなかったのですが、火曜日にバックナンバー表示に戻しますので、ごらんになってくださいまし。

Posted by: pata | July 25, 2004 at 06:35 PM

拝見いたしました!ご配慮いただきまして有難うございました。

連続して見るとタマランものがありますねぇ(°¬°
見れば見るほどワタシが興味を持っている「旨い」の方向と一致するものばかりで、こちらこそ嬉しくかつ大変ありがたいと思っております。
紹介されている文章がまた、良くあるウマイモノ系Blogにありがちなハシャギ過ぎや気取り過ぎとは一線を画していて、読み易くかつソソられます。職場で読んでは辛抱たまらん気分になっております。

今後もちょくちょく拝見させて頂きます。宜しくお願いいたします。

Posted by: サンダァ | July 27, 2004 at 11:16 PM

いやー、恐縮です。サンダァさんの褒め言葉も、褒められる方にとっては「辛抱たまらん気分」になるぐらい嬉しいっす。
これからも、よろしお願いいたします。

Posted by: pata | July 27, 2004 at 11:25 PM

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