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June 09, 2004

『精神病』

『精神病』笠原嘉

題名の精神病とあるが、内容は分裂病に関するものがほとんど。分裂病の本をなぜ読むかというと、それは「分裂病の心理学が人間にとっての自己と非自己について考える機会を与えてくれ」るからだろうと思う(P.47)。

笠原先生は『予診・初診・初期治療』がいまだ研修医や初心の精神科医の必携本になっているらしいが、この本でも原因は何かという探求をしつつも、よくわからないということを正直に明らかにした上で、50年に及ぶ経験をベースにした、やさしい語り口で自分の分裂病理解を語っている。

強調しているのは、現代における分裂病の軽症化と、加齢による軽快化ではないかと思った。軽症化に関しては「伝統的な価値の体系から逸脱する行動や思考を青年たちがそれほど抵抗感なくやれるようになった現代では、現実を脱し現実をこえる世界を持つことを特徴とするこの精神病に独特の心理も、平均人の心理との間に昔ほど大きなギャップをもたなくなりつつある」(p.198)と平易に説明している。

これはもっと小ムズカシく言ってほしい部分もあるが、まあそうなんだろうな、と思う。

香山リカさんなんかも書いているけど、同じような問題としてエディプスコンプレックスの減少というのもどこかで関係があるんじゃないかと思う。ぼくの世代ぐらいだと、オヤジというのは煙たいとしかいいようのない存在だったが、そうした鬱陶しさを感じる人たちの割合がグラデーションをかけるように少なくなっている。なんか個人的には気味が悪いのだが、まあ、これも流れなのかもしれない。
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