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May 21, 2004

『世界がわかる宗教社会学入門』

『世界がわかる宗教社会学入門』橋爪大三郎、筑摩書房
 なにやらハウツーモノっぽい題名だが、社会学者の先生なので仕方ない。内容はよく勉強する大学院生のレポートに、気の効いたコメントをちりばめて一丁上がり、みたいな感じだが、よく考えてみれば、あまり宗教の問題に関して横断的な批判を加えたようなものは(それこそハウツーものを除けば)あまりないから、やっぱり便利なのかもしれない。

 気の効いたというか、本当に実も蓋もないことを書くのであきれるというか素晴らしいなと思うのは「パウロもキリスト教徒をとっちめるユダヤ教の内ゲバ隊長をやっていました」(p.66)、「(教皇への)税金を払いたくなかったドイツの領主たちは、ルターの味方となりました」(p.87)、「ルター派の学説(トマス・ミンツァーの率いる農民戦争への弾圧を「反乱する農民は叩き殺すべき」と肯定)は、暴力を初めて肯定したのだと言えます。これは大事な点です。マルクス=レーニン主義なども基本はこの考え方に従っています」(p.92)、「ムハマンドは-中略-新しい究極の一神教を創造するに至る、神のメッセージを聞き始めたのです。今日の言い方では、彼は癲癇だったと思われます」(p.104)など。

 一番素晴らしいと思ったのは、言語派社会学を名乗る橋爪さんらしく、仏教の修行を言語ゲームとして理解しようとする部分。ブッダは解脱したというが、大乗仏教では次に解脱できるのは56億7000万年先の弥勒菩薩まで待たないとない、とするほどだし、だいたい覚りを開いて解脱するとはいっても覚りとは、覚ったあとでないとわからないというのだから始末におえない。ということでも橋爪さんは「覚りがすばらしいから修行を続けるのではなく、修行を続けるから覚りがすばらしいことになる」と仮定して初期仏教を、以下の言語ゲームの複合としてとらえる。
sekai_ga_wakaru_shukyo.jpg

1)覚りを訊ねあうゲーム ― 解脱をめざして修行する人びとの言語ゲーム
2)釈尊を標本とする覚りのゲーム ― 釈尊が覚りをひらいたと前提とする修行のゲーム
3)釈尊の言説を伝授するゲーム ― 釈尊の入滅後、その言説を釈尊の代わりとする
4)釈尊の戒を持するゲーム ― 3)のゲームをする修行者たちの集合=サンガを確定する
5)戒=律違反を告白しあうゲーム ― 修行の自発性と、サンガの集団秩序とを調和する

 あと、浄土信仰を阿弥陀仏はゾロアスター教の神アラマズダを仏教化したもので、一番、一神教に近いものもその理由からだ、とするところも、以前、とこかで断片的に聞いたことを整理した情報として提示してくれる(pp.15-156)。仏教テキストの構成(教、律、論の三蔵に分かれる=全てに通じていたのが三蔵法師!)とそれに対するコメントである注と疏(そ)なんていうあたりもあとで探すのに便利(p.136)。

あと、創価学会をいつか社会学的に考察したいと書いているのには期待してしまう(p.188)。どんな風に実も蓋もなくあの組織を解剖してくれるのか楽しみだ。

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