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May 20, 2004

陳舜臣訳『ルバイヤート』

『ルバイヤート』オマルハイヤーム 、陳舜臣訳

 『街道をゆく 台湾紀行』『哈日哈 ハーリーズ なぜ日本が好きなのか』と台湾ものを立て続けに読んだ後、フト、今年の春先に出た陳舜臣訳の『ルバイヤート』の序文を思い返した。

ちょっと前に、ある掲示板で「陳さんは台湾出身。日本の大学で学んではいましたが、学徒出陣から逃れることができ、台湾出身者に徴兵令が施行された1945年には適齢期をオーバーしていたということもあって、なんとか戦争の時期を乗り切ります。しかし、命の心配がなくなったものの、台湾が中国に返還され、日本国籍を失うこととなり、国立大学での職を得ることが不可能になってしまうのです。私立大学に職を求めようにも、インド語やペルシア語学科などはなく、一度、台湾に帰ることとなります。
 しかし、そうした間にも『ルバイヤートを写した紙片はつねに私の身辺にあり』(p.8)『ペルシア語の原詩は筺底に秘したといっても、私の脳裏にあるのだから、ときどき口を衝いてでてくることはあった』というのです。この序文には感動しました」

と書いたのだが、戦時中さまざまな想いのもとで、ひとりルバイヤートの日本語訳を続けていた陳舜臣さんには、台湾の人だからこその理想化された「故国・日本」への純粋な想いがあったのだろうと思う。ぼくにはどうしようもないけれども、そうした人たちが台湾にいるということは忘れないことにしよう、と。『哈日哈ハーリーズ』には、日本語教育を受け、マンダリンを拒否し、孫と会話できなくなってしまったお年よりの話が出てくるが

サーキーよ、かつて行きすぎた人
誇らかに塵土に眠れり
行きて酒を干せ、われ真実を語らん
ああ  かれら語りしは風の言葉にすぎざりき
(陳舜臣訳、集英社、p.28)

と、ひとりで、誰に読ませるためでもなく、しかし見事に日本語訳をつけていた陳舜臣さんの姿がイメージとしてオーバーラップしてくる。

今日、総統就任式を終えた陳水扁さんの治世が安らかなものであることを。
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