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May 14, 2004

『ホメずにいられない2』

『ホメずにいられない2 オイラが出会ったクルマ名人芸の一部始終』福野礼一郎、双葉文庫

これも堪能した。どうも、1を含めて全体の時系列に乱れがあるようで、大型バイクの上で一発芸を披露した友人や、自身のブローカー体験など、「ホメずにいられない」という全体の趣旨からすると外れるような話も出てくるが、鉄板の気持ちがわかる鈑金屋の陽ちゃん(これはあきらかにPDCの話の前にこなくてはいけないエピソード)、ドイツから来た塗装の神様の話などは素晴らしい。

特に、ドイツから来た売れ残りの外車を特別仕様の「限定車」に仕立て上げるための塗装職人の話は、「どんな商品でもそうやって売るんだ」というのがわかるのと、福野氏が若いときに強引に押しかけていって見たという「塗装の神様」の描写の素晴らしさに感動した。

まず、このドイツ人、悪いモノでも喰ったんじゃないかというぐらい顔色もわるく貧相だという「お約束」からして笑わせてくれる。そして、日本の「名人」ならカンで調合してしまうシンナーに関しても温度計、湿度計、濃度計を使って時間をかけて測定する。しかも、持参したスプレーガンの針も念入りすぎるぐらいにチェック。捨て吹きの後の本塗りでも、日本の「名人」では絶対にやらない、スプレーの先端が塗装面にくっついてしまうのではないかというような距離からの仕上げ塗装を行なう。しかも、遅く、時間をかけて。

残業につきあわされてブーブー文句をたれていた職人たちは皆「あんなんじゃペイント面がタレて崩壊してしまう」とあきれはるが、しかし崩壊は起こらない。最後の一吹きを終ってサッと後ずさってもタレない。そして強制乾燥が終って出てきた車体の塗装面は「こりゃ陶器のツヤだ」とベテランがもらすほどの仕上がりだった。最敬礼してドイツ人を見送る職人たち。そして、当日、福野氏を誘った若い塗装職人は「ガンさばきはひときわ遅く、ひときわボディに近い。シンナーの配合、ガンの点検にも人一倍時間をかける」ベテランになっていく。その友人である陣太郎氏は最後に、こう新人塗装工に説教する「いいか。世の中にはな、名人の上を行く『神様』ってのがいるんだ。おっさんの姿をした『塗装の神様』がな」と。
fukuno_home2.jpg

素晴らしい。ブロジェクトXなんかよりも100倍感動する。あと、全体を通じてちょこっとはさまっているマンガもいい。

このほか、皮はいかになめされるのかというのもタメになった(最後にやわらかくするのは魚の油で、それが匂いを生んでいるというのは知らなかった)。

そして!なんと福野氏は、おいらが子供の頃から出入りしている恵比寿の模型屋さん「ミスタークラフト」に入り浸っていたようなのだ。昔、2階にあったスロットルレーシングとか一緒にやったかもしれない。オーナーの兄貴が関わっていた週刊○家用車などの編集たちとワイワイ騒いでいるのを横で見ていたかもしれない。どうりで、一発で気に入ったわけだ(まさか有栖川公園でウォーゲームなんかも…)。

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