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May 31, 2004

東京B級グルメガイド#44「サンボ」

サンボ 外神田3丁目
クレバリーやコムサテなどPCパーツの激戦区に位置していることや、2ch自作板の秋葉飲食店スレでおばばの特異な行動が面白おかしく誇張されたこともあり、一時は伝説の店となっていた。しかし、最近ではおばばが店内の奥に引っ込み、常識的な店員が店内を仕切るようになったせいか、ちゃんと水を頼んでも持ってきてくれるようになるなど、かつて喧伝された伝説はメモリーの彼方に消えつつある。

 とにかく秋葉で牛丼といえばサンボだ。秋葉原の中央通りから1本路地に入ったところにある。牛丼専門食堂と看板でうたっているのがなんともいえない。年期の入った黄ばんだ壁紙に囲まれた店内は夏には熱気が、冬には冷気がこもる。漂うのは生臭い肉の匂い。そんな殺伐とした店内では、無造作に積み上げられている玉子の箱がモダンなオブジェにさえ感じられる。

そして店はいつも異様に静まり返っている。なぜか。それはサンボで喰うということは、一種の修行だからだ。

 一見、普通のおばちゃんに見える店の中で唯一の女性であるおばちゃんは、かつて「お水ください」と頼む客に逆ギレしてつまみ出す凶暴さをあわせもっていたという。ケータイをならしても、新聞を広げて読んでもつまみ出される。こうした「食事をしながらの団欒」を頭ごなしに否定する硬派な姿勢に惚れるヲタだけが集い、かつては店内で女・子供の姿を見かけることはなかった、というのが2chでの評価だった。サンボはガンコオヤジ系の店ではない。文句の多いガンコオヤジは客とのコミュニケーションをとるわけだが、サンボではコミニュケーションを否定しているからだ。

 適当な席についた後、即座に熱い茶が出される一瞬を逃さず大きな声でハッキリと注文しよう。サンボのシロートにとって、注文できる唯一のチャンスは、この時だけだからだ。かつて出されるのは夏でも冬でもお茶だけだった。冷たいものは外の自販機で買えばいいというのがポリシーだったのだ。
sambo_akiba.JPG

 メニューは「牛丼 並(400円)」「大盛り(500円)」「お皿(450円)」「牛皿(650円)」。あとはみそ汁(50円)と卵(50円)だけだ。お新香はなく、付け合わせはテーブルの隅に置かれたショウガだけ。「お皿」と「牛皿」の違いは肉の量だというわかりにくさも、ハナっから客とのコミュニケーションを拒否するポリシーからきているのかもしれない。しかし、数々の困難を乗り越えて出された牛丼は悪くない。困難を乗り越えたという達成感が味わいを増すのだろうか。冷静に丼を眺めれば意外にも上質な肉を使っているのが分かるはずだ。かつては脂身まみれの肉などなかった(今は牛肉が高騰しているせいかややランクが落ちている)。噛み締めれば肉の反発が感じられる。それがサンボの肉だ。タマネギも形は崩れず、きちんとタマネギの味がする。

 そして飯の量の多さ。「分け入っても分け入っても青い山」は山頭火だが、サンボは「掘っても掘っても白い飯」だ。ちなみにつゆは少ないというか無い。当然「つゆだく」を注文したらつまみ出されるだろう。前述したように、店内はとても談笑しながら食えるような雰囲気ではない。ただひたすら食って、食い終ったらすぐ立つ。会計は自己申告。おばちゃんに払ったら、艱難辛苦の旅は終わりだ。一杯の牛丼を喰う。ただそれだけのために、これだけの緊張を強いられる店はかつて秋葉になかった。

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