« 『言語/性/権力』 | Main | PCの調子がおかしい »

May 26, 2004

東京B級グルメガイド#44「すみた」

すみた 北区中十条2-5-11 演芸場通り 3905-0099

 中が暗い店なので、いつもあまりよい写真がとれず掲載を延ばしてきたのだが、まあ、腕が悪いのは仕方ないということで"極東"の讃岐うどんでは一番旨いと思っている「すみた」のことを書こうと思う。

 「すみた」のある十条駅は「すみた」のある演芸場通りに近い出口がない。200メートルぐらいホームの分だけ歩かないと演芸場通りには出られないかたちになっている。いつもホームから路地に飛び降りてしまおうかと思うのだが、足をくじいたりするとシャレにならないんでやめることにしている。

 演芸場通りというだけあって「歌と笑いと涙の大衆演劇」の劇場がある。「都(みやこ)なんとか」みたいな、いかにもという芸名の座長の一座が公演をやっていたりする。入り口からはおばばたちの笑い声も漏れてきて、なんつうかのんびりとした雰囲気は漂うが、同時にマイナー感も果たしなく広がる。そういえば、ホームに平行している道の途中に「ユニオン座」とかいう劇団のアトリエもあるけど、十条って演劇が盛んな町なのだろうか。

 とにかく十条の演芸条通りというのは、軽のクルマしか入れないような細い道。ジブリの『おもひでぽろぽろ』に出てくる商店街をさらに狭くインチメイトにした感じ。そこを100メートルぐらい入ったところの民家の1階が「すみた」。近くには『トトロ』に出てくるような大きなケヤキの木がある家があったりして雰囲気もいい。しかし、夕方だとうら寂しい。最初にいったときは昼間に「夜のうどんはありますか?」と確認した。まだ覚えているのだが「23玉残っていて、予約が2組入っていますが、1順目なら大丈夫です」という答えだった。ということで6時の開店時間を外で待ったが、たちまち5人が後ろに並ぶという人気ぶり。さすがだな、と思った。

 以下は最初の訪問の時の話。
sumita1.jpg

 「おまちどうさま」というおばばの声とともにのれんがかけられ、店内に。噂には聞いていたが、14席と狭い。うどんは茹で上がるまで時間がかかるので、おでんを食べながら待つのが渋いと聞いていたので、さっそく、たまごと牛スジ(ともに100円也)を注文。悦凱陣(よろこびがいじん)があるのも外の看板で確認していたので、さっそく冷で頼む。うどんはもちろん「かしわざる 750円也」。巨人の元木選手によく似た若い店主が寡黙に支度する。店内にテレビも置かれていて、求道的な雰囲気をあえて壊しているのが素晴らしい。これではうんちくを語ってもヤボなだけ。

 隣で並んでいた30代のサラリーマンが常連らしく「はじめてですよね?」と聞いてきたので、2年間待ちましたと答える。このリーマンもうどん待ちのビール&おでん派。ほぼ週2ペースで通っているが売り切れ仕舞いもけっこう経験しているという。「今日はラッキーでしたよ」と祝福される。

 さて、おでんだが、甘辛い汁に頼りなさげなややすっぱいカラシという讃岐風。でも、これが凱陣に合うんだな。すなわちお代わり。「ペース速いっすね」と言われるが、ぬはははと2杯目をなめる。

 とかなんとかいってるうちに、かしわざるが出てきた。さっそく、冷たい汁につけてかしわ天をいただく。!なんてスパイシーでやわらかいんだ。旨い。旨すぎる。汁にかしわのあぶらの膜がちょっと張ったところで、さっそくうどんを一口。というが、なかなかうまく猪口に入りきらない。たぐってもたぐっても伸びてくる。主人曰く「うちのうどんは1メートルはありますから」とのこと。しかも、まったく切れそうな気配もない素晴らしいコシ。食べる前から期待が膨らむ。そして…旨い。やや関東風に固めの仕上がりだが、喉越しのよさがそれをおぎなってあまりある。宮武のうどんをやや固くした感じか。口の中で跳ねる感じが若々しい。
sumita2.jpg
 隣のリーマンが話しかけてくるので、一押しメニューのニンニク天も頼む。これもホッコリしていて旨い!最初はうどん酒場としてスタートしたのを納得。さらに、リーマンが「喰いっぷりがいいから、もう一杯いけるでしょ」とのことで、「締めにすだちチューと食べるとサイコー」というカレーうどんも頼む。もちろんすだちチューも。

 カレーうどんは「五右衛門」と同じで奇をてらわずひたすから美味しいタイプ。牛スジが煮込まれて甘い。と1時間ひたすら喰いまくり飲みまくったところで、満席&2順目の行列ができる。あまり長居は無用ということで退散しようとするが、店主から「さぬき行ったでしょ、お客さん」と嬉しいお言葉。思わず山越、なかむら、谷川、宮武などの思いを語ると「S級の店けっこう制覇してますね」。これ以上長居すると滂沱と涙が流れそうだということで、お勘定を頼む。締めて4400円。これが充実の初すみただった。

 しかし、特筆すべきはフランチャイズとしている恵比寿とのアプローチの良さ。ちょうど7時に店を出て、駅についたら埼京線が待っていたので飛び乗ると10分ちょっとでもう恵比寿。キツネにつままれた感じ。

 2回目に行ったのは土曜日。山越で修行したと語るM香のうどんがあまりにも期待を裏切るものだったので、すみたのツルツルピカピカのうどんを食べなければ気がおさまらなかったからだ。しかし、その日も1時過ぎなのに10名以上が並んでいた。すなわち30分待ち。けっこう待たされるのは、中で昼間っから飲んでいる人たちがいるから。ということで、席を確保したらこっちも「オデンは平天とたまご。あ、凱陣も」と飲みの体制。うどんは、またもやかしわざる。とにかくかしわ天が旨いから。ということで、ピカピカのうどんをツルツルと「飲み」つつマターリしていると、元木を太めにした店主が、隣に座っている常連と話し出す。

店主「麺通団いった?」
男A「オープンの日に行ったわ。田尾さんがいるまではうどんも良かったけど、いなくなってからの出来はガクッと落ちたな」
店主「てんぷらはどう?」
男A「ゲソ天なんかは大したもん。パロットのマスターがしっかりしてるから。あと、つゆも旨い。だけど…」
店主「なんか問題ある?」
男A「24時間営業は辛いと思う」

ここまで聞いていて辛抱たまらず、「いやー、アタシも行ったんすよぉ」と話に加わる。

店主「うどんあげてる3人は香川からでしょ?」
男A「あんな田舎から新宿出てきて24時間営業だから、そらあ大変。しかも、店長経験ある人間がパロットのマスターひとりだから、けっこう混乱してる」
不肖「ぼくがいったときもオペレーションうまくいってなかったんすよ」
男A「まあ、最初にあれだけ客が来るとな…」
店主「ウチなんか最初、お客さん少なかったから」

てなことを話しているうちに、神田のM香の話に。以下は会話のみ。

「M香どうでした?」
「山越で修行したとかいう話を抜きに喰えば、普通だと思う」
「なんであんなこと口走ったんだろ?」
「わからない」
「まだ『うどんを研究中』とかいって本格オープンじゃないでしょ」
「ずつと正式オープンしなかったりして」
「『やまごえ』じゃなくって『やまこし』で修行したって言えばよかっのにね」
「水が悪いのかな…」

 しかし、もしかしたら改善されているかもしれない。近くにいったらまたM香で喰ってみようと思う。

|

« 『言語/性/権力』 | Main | PCの調子がおかしい »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/655575

Listed below are links to weblogs that reference 東京B級グルメガイド#44「すみた」:

« 『言語/性/権力』 | Main | PCの調子がおかしい »